私は実母が助産師ということもあり、里帰り出産をすることにしました。夫も「安心だね、出産頑張って」と快く送り出してくれました。
そして無事、元気な男の子を出産。産後1カ月で、私は息子と一緒に久しぶりのわが家へと戻りました。
突然の“同居宣言”
リビングで息子を寝かせ、ほっとひと息ついていたそのとき、玄関が賑やかになりました。大きな荷物を持って現れたのは、なんと義両親と義妹!
驚く私を前に、夫はニコニコしながら言いました。
「実家をリフォームすることになったから、その間一緒に暮らすことになったんだ」
……私、そんな話聞いてませんけど?
「え、何も聞いてないよ? 私、産後間もないし、こんな狭い家で急に同居とか……」と困惑する私に、夫は軽く笑って言いました。
「産後は人手が多いほうがいいだろ? みんなで子育てすればいいよ。それに、もう決まったことなんだから、今さらごちゃごちゃ言ったってしょうがないしさ」
どうやら私が里帰り中に、すべて話が進められていたようでした。
夫の身勝手、義家族の無配慮…限界がきた妻は
こうして急きょ始まった同居生活。でも、義家族は手伝うどころか、育児も家事も一切やってくれませんでした。ソファで一日中ゴロゴロ、食べては寝ての繰り返し。
「息子くん、泣いてるよ~」「ごはんは何時にできるの?」「ゴミが溜まってるわね、早く出しておいて」
毎日口だけ出してくる義両親たち。初めての育児で寝不足のうえに、大人数の家事までのしかかり、狭い家でずっと気を使う毎日……本当に限界でした。
そんな中、夫が言い出しました。
「父さんたち、お金に困ってるみたいだから、リフォーム代を300万円くらい援助しようと思ってるんだ」
……その瞬間、心がスッと冷めました。
「自分のお金から払うならいいんじゃない? まさか私たちの貯金を使おうと思ってる? ありえないでしょ」
「離婚すれば私には関係ないよね。逆の立場になって考えたことある? もうあなたの身勝手に付き合うのは無理」
私は静かに、はっきりと告げました。
本当の“家族”とは
夫は青ざめ、初めて事の大きさに気付いたようでした。困っている両親たちを放っておくことができず、私がいつも笑顔で何でも受け入れてくれると思っていたのでしょう。すぐに義家族と話し合いを始めました。その間に、私は息子を連れて実家へ戻りました。
そして翌日。夫は私の実家を訪れ、必死の形相で言いました。
「今までごめん! 同居も援助もしないことにした。だから、帰ってきてほしい」
新しい家族のかたち
私の気持ちを考え、すぐに夫が動いてくれたことに、ホッとしました。しっかり話し合ったあと、夫を信じて家に戻ることにしました。ただし、こうも伝えました。
「次また、私より義家族の肩を持つようなことがあれば、今度こそ離婚するからね」
夫のやさしさは、確かに彼の魅力です。でも、それが誰に向いているのかを見失っていたら、それは思いやりではなく、ただの“いい顔”になってしまいます。
離婚危機を乗り越え、今は子煩悩で、息子にも私にもやさしい夫。私たち夫婦は一度すれ違ったからこそ、相手の気持ちを考え、尊重していこうと約束しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。