結婚前、夫は「家事も育児も一緒にやろう」と言ってくれていたはずなのに、実際には、なにひとつ手を貸してくれたことがありません。
自分中な夫
ある日も、私が双子の離乳食に奮闘していると、うしろから夫が「おい! 俺のメシまだかよ! 俺、腹減ったんだけど!」と言ってきました。私が子どもたちに食事をさせていることなんて、気にも留めていません。
夫は私が赤ちゃんたちのお世話で手いっぱいでも、自分のことを最優先してほしい人。待ったなしの双子育児と、自己中すぎる夫の世話で私は追い詰められていました。
夫が突然の家出!?
夫は子どもたちの泣き声にも敏感になり、毎日イライラするようになっていました。
「毎日毎日、こんなに泣き声ばっかり聞かされてたら、全然休まらないんだよ!」
そう言って、ある日とうとう「ひとりになりたい」と家を飛び出して行ったのです。
呆然とする私をよそに、夫から届いたのは短いメールが1通だけ。
『アパートを借りて一人で暮らすことにした』
何が起きたのか理解できないまま、私と双子は取り残されました。
それから3年ーーー。
急な「ただいま」
ある晴れた朝、玄関のチャイムが鳴ってドアを開けると、見覚えのある顔がそこにありました。
「ただいま~! パパが帰ってきたよぉ~♪」
何事もなかったかのようなテンションで、夫が突然家に戻って来たのです。驚き呆れる私と、きょとんとする双子。当然双子はこの人が本当のパパだとは分かっていない様子。
「ふたりとも、今日は家族だけでお出かけしよっか♪」
私のその一言に、双子は「わーい!」と笑顔に! すると夫が「おい! パパだぞ! 忘れないでくれよぉ!」と玄関で必死に叫んでいました。そんな夫を尻目に、私と双子は家を出てお出かけしました。
夫の告白
帰宅すると、まだ家の前にいた夫。仕方がないので家に入れて、話を聞くことにしました。
夫は家を出た当初、仕事が行き詰まって悩んでいたと話し始めました。家では私が双子の育児に必死だったから、とても相談できる雰囲気ではなかったのだとか。
「毎日寝不足で、仕事もうまくいかなくて……もうどうしていいかわからなくなって。どうしてもひとりになりたかったんだ」
家出は、ただの逃避だったと、夫は認めました。その後仕事を辞め、生活費のために借金をしていたので合わせる顔がなかった、就職が決まったので家に戻って来たのだと言います。
「そう。あなたは逃げたいときに逃げられていいわね。私は仕事をしながら、たったひとりで双子を育ててきたの。病気になったり、私が怪我をしたり……すごく大変だった。助けてほしいときに側にいなかった人に、今さら家族ヅラされてもね」
ゆっくり、また家族に
そう言って、私は夫が帰って来たときのために準備しておいた、記入済みの離婚届を差し出しました。
3年もの間、一度も連絡を寄こさず、妻と子どもを放っておいて、今さら家族になりたいだなんてそんな身勝手な話、許せるはずがありません。
子どもたちにとっても夫は「最初からいない人」。今さら「パパだよ」と言われても、ただただ迷惑です。
離婚の意思を伝えると、夫は必死に食い下がりましたが、そのあとしぶしぶ承諾してくれました。私は夫が失踪していた期間の生活費や養育費などを請求し、のちに離婚が成立しました。
行方知らずだった夫が何食わぬ顔で戻って来たときは大変驚きましたが、結局私たちは別々の道を歩む選択をしました。自分を優先し、平気で家族を捨てられる人なんて、家族だと思えませんでした。
あれから数年経った今、私は再婚し新しい家族ができました。今はとっても幸せです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
著者:ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班