私が住んでいる地域では、子どもの人数減少に伴い、近隣の学校が統合し、娘が通う小学校は家から約4kmほどの距離です。そのため私は毎朝娘を車で送迎しているのですが、いつの間にか娘と同じ小学校に通うママ友・Aさんと、その娘が便乗してくるようになったのです。
Aさんは離婚したばかりで苦労されているそうで、小学校とは逆方面にある会社で働いています。前に一度、大雨が降っていた日に娘の送迎のついでに、Aさん親子を乗せたことをきっかけにAさん親子は、私が出かける時間になると何かと理由をつけて、車に乗り込んでくるようになったのです。
それが週に1回から2回、3回と徐々に頻度が増えていき、ほぼ毎日になりました。娘同士が仲良しなこともあり、はっきり断れない性格の私は、そのままズルズルと送迎を引き受けてしまい、娘たちを小学校へ、Aさんを職場へ送り届ける毎日です。
また、Aさんの態度は日に日に横柄になっていき、最近は「送ってもらって当然」と言わんばかりの態度に。私のストレスは限界へと近づいていました。
理不尽極まりないママ友からの要求
ある日、娘が風邪を引いて学校を休むことになり、Aさんにも「今日は送迎できません」と連絡を入れました。その数分後、突然インターホンが連打され、慌てて玄関を開けるとそこには苛立っているAさんの姿が。
驚く私に、Aさんは「突然、車出せないとか言われえても困るんだけど。もっと早く言ってよね。今日は彼氏とデートなの。あなたのせいで待ち合わせに間に合わないじゃない! せめてタクシー代出してよ!」と言ったのです。この日、Aさんは仕事は休みでしたが、同じ会社で働く彼氏と会社の営業車で丸一日デートの予定なんだとか……。
あまりにも理不尽な言い分に私は言葉を失いました。詳しい事情はわかりませんが、会社の車を私用で使ってもいいのでしょうか。疑問は浮かびましたが、Aさんが休みなら問題ない!
私はタクシー代を出さずに、Aさんを送っていくことにしました。「わかりました。娘さんの送迎と、あなたを待ち合わせ場所までお連れします」そう言う私に満足げな表情を浮かべるAさん。
実はこのとき、私にはある作戦があったのです。娘の看病を夫に任せ、Aさん親子を車に乗せ出発。家から小学校までは車で10分ほど、小学校からAさんの職場までは車で30分ほどです。いつも車に乗るとすぐにAさんは職場に着くまでの間、寝ているのですが、この日もいつも通り助手席で寝始めました。
私がママ友をお連れした場所は…
約1時間後、目的地に到着したため、私はAさんを起こしました。すると、窓の外を見て大絶叫するAさん。私はAさんをご実家にお連れしたのです!
実は、Aさんのお母さんは私のヨガの生徒。先日、レッスン終わりにお話ししていたとき、お孫さんと私の娘が同い年だという話になり、お孫さんの写真を見せてくれて、Aさんのお母さんだとわかりました。
その際、「うちの娘が何か迷惑をかけたら、私に教えて!」と言ってもらったので、Aさんのお母さんには事前に事情を説明してありました。そして今朝、Aさんに理不尽な要求を突きつけられ、頭にきた私はAさんのお母さんに連絡。Aさんのお母さんから許可をもらい、Aさんの娘を小学校には送らず、一緒にご実家に連れてきたのです。
私たちが車から降りると、Aさんのお母さんが家から出てきました。Aさんの娘が「おばあちゃん!」と駆け寄り抱きつくと、Aさんのお母さんは「これからは、パパと暮らすんだよ」と笑顔で言いました。
それを聞いて「冗談じゃない! それじゃあ養育費がもらえなくなるじゃない!」と叫ぶAさん。Aさんのお母さんから聞いた話によると、Aさんは養育費目当てで娘を引き取り、ご家族からの連絡も無視し続けていたそう……。
身勝手すぎるママ友の悲惨な結末
Aさんのお母さんは慌てるAさんの前に、不倫の証拠を突きつけました。なんとAさんは、離婚前から既婚者の男性(デート予定だったAさんの彼氏)と交際しており、あろうことか、それを周囲に武勇伝のように語っていたんだとか。
「これからは、あなたが養育費を払うのよ。もちろん、不倫の慰謝料もね」Aさんのお母さんが厳しく言い放つと、「そんなの無理よ! 私お金なんてないし、彼も今の奥さんと離婚してくれないんだから!」と言って泣き出すAさん。
しかし、言い訳は許されないとばかりにAさんのお母さんは、相手の家族にも迷惑がかかるから今すぐ別れて、今の職場もやめなさいと続けます。そして、Aさんの新しい働き口も用意してあるそうで、「親戚の旅館に話は通してある! 皿洗いでもなんでもして、これから一生、働いて償っていくのよ!」と告げました。
その後、Aさんは不倫相手に再婚を迫りましたが、想いは通じず破局。元旦那さんから慰謝料を請求され、養育費も支払わなければならなくなり、現在は親戚が営む旅館で、朝から晩まで働き詰めだとAさんのお母さんから聞きました。
私はようやく平穏な日々を取り戻しました。Aさんの娘は、元旦那さんと一緒に暮らすようになり、幸せに過ごしているようで、ひと安心。転校してしまいましたが、今でも娘たちは仲が良く、手紙でやり取りを続けています。これからは、ご近所やママ友とは適度に距離を取り、うまくお付き合いしていきたいと思っています。
◇ ◇ ◇
善意から始めた親切も、相手がそれを「当たり前の権利」と勘違いした途端、関係は歪んでしまいます。理不尽な要求に対しては、曖昧な態度を続けるのではなく、きっぱりと「NO」を突きつける勇気もときには必要です。今回はお母さんとの繋がりがあり、協力を仰げましたが、自分と家族の平穏を守るためには、断る勇気を持つことと、人との間に適切な一線を引くことが何より大切なのかもしれませんね。Aさんの娘さんと、元旦那さんの幸せを願うばかりです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。