“約束だから”が苦しみに変わるとき
そんな中でも、私は「約束だから」と自分に言い聞かせて家事や育児を頑張っていました。しかし、日に日にその“約束”が苦しくなっていったのです。
娘が泣き続けても夫はスマホ片手に無反応。娘のお世話をお願いすると夫は「育児はお前の仕事だろ?」と言うのです。これまでの担当に加え育児も担当となった私。夫は寝かしつけも、オムツ替えすらしてくれないのです。
さらに、育休で収入が減った私に対しても「その月にかかった生活費は、きっちり半分ずつ出すのが約束だから」と言い張り、負担を減らすことを拒否。家族が増えて支出は増え、物価も上がっているのに、夫は「約束だから」と一切譲らなかったのです。私が困っていても夫は「自分の貯金から出せば? 俺は決めた分しか払わない」と突っぱねるだけでした。
その後、3年間“完全折半”の生活を続けることとなり、私の貯金は減り続け、気力もすり減っていくのでした。
今さら!? 家事をするから生活費よろしくって……
そんなある日、深刻な顔で帰宅した夫が「会社を辞めてきたんだ。明日から俺がごはん作るから、生活費よろしくな」と言うのです。その言葉に腹が立った私は「なんで? 今まで通り生活費も折半ね? 自分の貯金あるでしょ?」と言い返すと夫は黙り込んでしまったのです。
その後、夫は生活費が払えないと言い出し「お金がないからママに頼むしかない!」と、義母に電話をするのでした。
翌朝、義母が「息子が大変なのに支えないなんてどういうこと!? 」と血相を変えて乗り込んできました。私は「結婚前に生活費折半だと決めたから、私が育休で収入が減少しようが家族が増えようが、物価が上がって生活費が大変だと訴えようが彼は約束したからと決まった生活費しか払いませんでした。そして育児は“約束してない”からと言って断ってきたのは彼ですよ? 私は彼の言う通り約束を守っただけです!」と暴露しました。
娘のひと言で、すべてがひっくり返った
夫は顔面蒼白になり「そんなことはない! 俺は育児だって頑張ってるじゃないか!」と慌ててイクメンのふりをして娘に近づきました。するとその瞬間、3歳の娘が「パパいや! あっちいって!」と泣き出したのです。
娘の言動にすべてを察した義母は、深くため息をつき「産後の嫁を労わらず、娘の成長に無関心のあなたを救いたいと思う人間はどこ探してもいないよ! 」と夫に一喝! そして私に向かって静かに頭を下げ「ごめんなさい。全部、息子が悪いわ」と言うのでした。
こうして義母の判断で夫は実家に帰ることに。義母の後押しもあり、私はようやく離婚をすることができました。その後、私は在宅勤務に切り替えて娘と過ごす時間が増え幸せな生活を送っています。
◇ ◇ ◇
結婚は契約ではなく、日々変わる現実に寄り添い合う共同生活。育児も家事も、“決めごと”だけでは回りません。大切なのは、状況に応じて助け合える心。「守るべきものは何か?」を見誤らないようにしたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。