義姉はとにかく図々しい性格で、なんでもちゃっかりタダ乗りしてきます。急に家に来ては、「ちょっとだけご飯食べさせて」と言いながら、人数分しかない夕食を食べてしまったり、台所にあるものを全部平らげていく始末。
義父母や夫にお小遣いをねだるのも日常茶飯事。高額な商品を着払いで購入しては、義父母に立て替えてもらっていますが返金は一度もしていません。浪費家の義姉には、義両親もさすがに手を焼いている様子です。何度注意しても一向に聞いてくれません。
楽しいはずの家族旅行が
ある日、義父がうれしそうに帰ってきました。
「会社の慰労会のビンゴ大会で、当たったんだよ~!」
手にしていたのは、高級ホテルのペア宿泊券。
「せっかくだからここはちょっと奮発して4人で一緒に行こうじゃないか!」
私たち夫婦は追加分の宿泊費を負担し、私たち夫婦と義父母の4人で旅行することに決まりました。
その夜もまた、義姉が突然やってきて夕食だけ食べて帰って行きました。その際、テーブルに置いてあったホテルのチケットを見つけた義姉は、しつこく旅行の日程を聞いてきました。私たち夫婦は怪訝に思いながらも、教えてしまいました。
義姉がまさかの先回り
そして旅行当日。ホテルに到着してロビーに向かうと、驚いたことに義姉が待っていました。「私だけ仲間外れなんてズルイわよ! 家族旅行なら私も誘ってくれなきゃ~」「あ、ホテル代はそっち持ちねー!」と言います。後で分かったことですが、義姉は私たちが教えた日程で事前に勝手にシングルルームを予約していたのです。
夫は「両親はペア宿泊券で無料だし、俺たちは自分たちで払うんだから、自分の分は自分で払えよ」と伝えますが、義姉は「まぁまぁ、そんな冷たいこと言わずに~♪」と話を聞きません。
義両親が「一緒に観光でもしようか」と声をかけると、「無理むり! 会うのは明日の朝チェックアウトの時ね! それまで私に関わらないで!」と。ホテル内の店舗で買い物やエステ、高級料理店のディナーなどを予定しているそう。まるで一人セレブ旅のよう。
夫は「姉貴は家族と旅行したいんじゃない、旅行にタダ乗りしようとしてるのかもな」とこぼしました。
義姉は「じゃあ、後でね~」と、私たちを置いてスタスタとエレベーターに乗り込んで行きました。
残された義姉が顔面蒼白に!
翌朝、ロビーで義姉を待っていた私たち。けれど、チェックアウトの時間を過ぎても姿を見せず、義姉のスマホに何度電話しても繋がりません。私たちは現地の体験型観光の予約をしており、出発時間が迫っていたので、義姉の分以外の会計をして私たちは先にホテルを発ちました。
後から聞いた話では、義姉は前日の晩に深酒をしてしまい、チェックアウト時間を過ぎても部屋から出てこなかったそうです。ホテルのスタッフが何度も電話をかけて、ようやく義姉を起こすことができたとのことでした。
心を入れ替えた義姉は
旅行から帰って数日後、義姉が家にやってきました。
珍しく手土産を持ってきたかと思えば、目に涙を浮かべながら、義父母に頭を下げたのです。あの日の請求は、義姉にとって目が覚めるきっかけになったようです。
「今まで、私、ずいぶん図々しかったよね……本当にごめんなさい」
「軽いつもりでお願いしてたけど、みんなにどれだけ迷惑かけてたか、やっとわかった気がする」
あの日、当たり前のように支払ってもらうつもりで散財し、それを自分で全額支払うことになって初めて、どれだけ自分が両親に負担をかけていたか気付いたと言う義姉。
後日、「パート始めたよ~」と笑いながら話す義姉の姿に、義両親もホッとした様子。
突然家に来てご飯を食べて帰ろうとしたり、着払いの荷物が届くこともなくなりました。
図々しい義姉に頭を悩ませた時期もありましたが、今は良好な関係を築けています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。