ある日突然、家を出て行った元夫から「娘に会いたい」と連絡がありました。最近ずっと体調がすぐれないとのことで、心細くなっているのかもしれません。
「娘に会いたい」元夫の身勝手な理由とは
彼は一度も養育費を支払わず、父親としての責任を果たしていません。「会わせない」と私が拒否すると、どうやら事前に調べていたようで「養育費を払っていなくても娘に会う権利はある」と主張し、さらには「会わせないなら訴える」とまで言ってきたのです。
体調が悪くなってから彼は占いに頼ったようで、「私たち母娘が生霊を飛ばしているせいで体調が悪くなった。娘に会うことで体調は良くなる」と信じ込んでいます。たしかに私たちは彼に対して長い間怒りや恨みを抱いていましたが、今は心穏やかに日々を過ごしています。だからこそ、もう会いたいとも思いませんし、正直なところ彼のことなどどうでもいいのです。
私が頑なに面会を拒み続けると、彼は次第に焦りはじめ、「どうしても娘に会わせてほしい」と懇願してくるようになりました。「このままでは命の危険がある」と、泣きながら訴えてきたのです。
それならば――あの世へ行く前に、これまで滞納していた養育費をきちんと払ってほしい。「それができるなら娘との面会も考える」とも付け加えました。すると彼は、なんと一括で私の口座にお金を振り込んできたのです。
待ち合わせ場所で娘の姿を見た元夫が!?
日時と場所は私が指定し、後日あらためて彼に連絡しました。そして数日後、私たちは再会することになったのです。
「あの子との待ち合わせ場所ってどこ?」
「なんか墓地に着いたんだけど」
不安な様子で、彼が連絡してきました。いいえ、そこで間違っていませんよ!
「娘はそこにいるけど?」
「え……?」
最近、娘はよくその場所に行くんです。彼は一瞬ですが、女の子の姿を見かけたそうです。きっと、それが娘だと思います。彼は恐怖に震え上がり、夕暮れ時の墓地から逃げるように立ち去ったそうです。
数日後、私の銀行口座に100万円の振り込みがありました。元夫の名前で入金されていたため連絡すると、「もう勘弁してくれ。本当に悪かった」と反省の言葉を口にしました。そして続けて、「まさか、娘が亡くなっていたなんて……」と。えっ? この人、何を言ってるの? 娘は生きてますけど?
彼が墓地で見たのは、おそらく娘で間違いありません。でも、娘がそこにいたのは自由研究のためなんです。最近、娘はお墓の横にある林に生息する虫をテーマに自由研究に取り組んでいます。なので、霊園内に併設されたカフェ前で待ち合わせにしました。カフェの名前と住所だけ伝えたので、霊園の中にあるとは知らずに来たようです。
元夫には見えなかったようですが、あの日も娘のそばには今の夫がいたはずです。私は会いたくなかったので夫に任せることに。──そう、実は私は再婚しているんです。
もう関わりたくない!と思った私は元夫に…
私たちが幸せに暮らしていると知って、元夫はなぜか憤慨。「それなら、なぜ自分に生霊なんて飛ばすんだ」と言ってきました。何度も言っていますよね? そんなもの飛ばしてなんていません。お金を持ち逃げされた当時はたしかに強い恨みを抱きましたが、友人や今の夫に支えられて、今では穏やかに暮らしています。正直なところ、元夫のことなんて連絡が来るまですっかり忘れていたくらいです。
私たちが彼を恨んでいないと知ると、今度は「振り込んだ100万を返せ!」と言ってきました。貯金を持ち逃げしておいて、それはないでしょう。何度断っても、何度も「返してほしい」と連絡してくる元夫。どうやら、今の妻――つまり不倫相手だった女性のお金を、無断で持ち出して振り込んだものらしいのです。
自分のお金を勝手に使われたことに腹を立てた彼の妻は、「3日以内に返さなければ別れる」と彼に迫ったそうです。そして彼は、今や幸せに暮らし、お金にも困っていない私を見て、「助けてくれ」と言ってきました。「3年前までは夫婦だったじゃないか」「自分は娘の本当の父親だし……」などと必死に言ってきましたが、それってあまりにも身勝手すぎませんか?
当時、持ち逃げされた貯金は数百万円。でも私は、今回振り込まれた100万円で手を打つと話しました。もう二度と、私たちに関わらないでほしいのです。今の幸せな生活に水を差されたくありませんから。そう伝えると、彼は黙って電話を切っていきました。
それにしても、あの元夫がお金を振り込むなんて思ってもみませんでした。今どこで何をしているのかは知りませんが、体調が悪いのなら、占いより先に病院へ行ってほしいと思います。
◇ ◇ ◇
身勝手な元夫に振り回されて、本当に災難でしたね。ですが、少しでもお金が戻ってきたのは不幸中の幸いだったのかもしれません。つらい過去は忘れ、心から笑える日々を送ってほしいですね。
【取材時期:2025年4月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。