ある日突然、夫が義母と同居すると言い出しました。「俺に家事を手伝ってほしいほど忙しいなら、母さんに同居してもらったらいい」と言い、義母にはもう荷物をまとめるよう頼んできたと報告されました。さらに「義実家に雑用で呼ばれることもなくなるし、同居はお前のためでもある」と言うのです。
義母と同居だなんて、余計にやることが増えるに決まっている……夫は、それをわかって私にわざと意地悪してきているのです。半笑いをしながら、「よかったな」と言われました。
それから数日後、すぐに義母が大きな荷物を持ってわが家にやって来たのです。もちろん、私と義母がうまくやれるはずなどなく、家の空気は最悪です。すると、「こんなに家庭がギスギスするのは、場を和ませる子どもがいないせいだ」と急に言い出した夫。
もちろん義母は夫に激しく同意して、「嫁選びを失敗したわね」「すまん、母さん。俺に見る目がなかった」なんて言って、2人で私に暴言を吐いてきました。子宝に恵まれないのは、私だってショックです。
しかし、夫は子どもが苦手だと言い、子どもを望んでいませんでした。私がそう言い返すと、「そんなこと言ったか? あーじゃあ、あれだよ。年を取って気持ちが変わったんだよ!」となんだか焦った様子で……。
出張中のはずの夫が見知らぬ親子と
ある朝、急な出張でしばらく家を空けると言って、仕事に出かけていった夫。義母と家に2人だなんて、地獄です。夫は助けてくれませんが、夫がいるときのほうが義母からの扱いはまだマシなのです。いつ帰ってくるのか知りたくて私が夫に連絡すると……。
「いい機会だ! お前は家事が下手だから母さんに教えてもらえよ」
「俺は出張でしばらく帰らないから家事の勉強しとけ」
帰りの予定ではなく嫌みな返信をしてくる夫。こんな夫に早く帰って来てほしいと思った自分がバカらしくなり、私はそれ以上何も返しませんでした。
それから数日後の週末、用事があって出かけ、気分転換にその街にあるデパ地下を見ていたら、私は衝撃的な光景を目の当たりにしました。なんと、夫が幼い男の子と、その男の子の母親らしき女性と手を繋いで仲良く歩いていたのです。
その姿は、誰がどう見ても仲の良い家族。3人は買い物中で、男の子は夫を「パパ!」と呼び、女性は夫に「ねぇ、冷蔵庫にドレッシングってまだあったっけ?」と……。
私は隠れて様子を観察し、買い物を終えた3人の後をつけることに。すると、仲良く「ただいま〜」と言いながら同じマンションに入っていったのです。あまりの衝撃で、私はまるで夢でも見ているかのような気分でした。
「あなた、家族がいたんだね?」
そして数日ぶりに、夫に連絡を入れた私。出張は嘘で、不倫は確定です。
「は? なんだよ急に」
メッセージからも夫の動揺が見て取れました。私のメッセージはすぐに既読になりましたが、返信が来たのは10分後。きっとなんて返そうかと考えていたのでしょう。そして、考え抜いた返信がすっとぼけ。あきれます。
私は仲良く買い物をする姿を目撃したことと、マンションに入っていったことを伝えました。「出張は嘘だったのね。二重生活? 子どもはあなたの子なの?」と、私がさらに問い詰めると、不倫は認めましたが、子どもは自分の子ではないと説明してきた夫。
もはや、あの男の子が夫の子だったとしてもショックなど受けませんが、私はすべてはっきりさせて離婚しようと決意しました。
どんどん明らかになる夫のクズっぷり
さっそく私は、弁護士に相談。弁護士を通して話し合った結果、夫の不倫相手は、夫の会社の取引先で働くシングルマザー。子どもは元旦那さんとの子だったとわかりました。夫は、ひとりで子どもを育てる彼女を少しでも助けてあげたかっただけで、やましい気持ちはなかったそうです。笑わせてくれます。
下心はなく、人助けの気持ちだったと言い訳する夫には、心底あきれました。愛しているのは私だけなどと言ってきましたが、そんな愛している私が義母からいびられているのを笑って見ていたのです。そんな人の言葉を誰が信じられると言うのでしょう。
無責任にもほどがあります。私を愛しているというのが本当なら、あの子のことを親として面倒を見る気はないということです。ただの人助けなのに自分を『パパ』と呼ばせて……ひどい話です。不倫相手の女性が、夫が既婚者であると知らないのであれば、彼女に対しても最低です。
結局、夫はいいとこ取りをして、自分だけいい思いをしていただけ。厄介な義母を私に丸投げし、私に暴言を吐いてストレス発散。たまに親子ごっこを楽しんで……。夫としても、人としても許せません。
弁護士を通しての離婚話が進むにつれ、さらにいろいろとわかってきました。やはり夫は既婚者であることを隠して、不倫相手と付き合い始め、既婚者だとバレて別れを切り出されたそう。
しかし、別れたくなかった夫はずいぶん前から離婚調停をしていると嘘をついて、彼女をつなぎ止めました。彼女の同情を買うために、私のことをひどい妻だと真っ赤な嘘を言っていたのです。
私はヒステリックで暴力的。同居している病弱な義母は、毎日私からいびられて泣いている。さらに私は散財がひどく、夫は私からの暴言に耐えながら毎日、家事もすべて自分がこなしている……などと話していたそうです。もう腹が立つなどという次元ではありませんでした。
親子の人生をもてあそんだ夫の末路
その後、弁護士を通した話し合いを何度か繰り返し、離婚が成立。私は夫に慰謝料を請求。最後の最後まで言い訳をして、反省している様子がない夫とは対照的に、不倫相手は以前から罪の意識があったようで、「きちんとけじめをつけたい」と言って、慰謝料の支払いも申し出てくれました。
しっかり謝罪もしてくれたので、私は彼女からの申し出はお断りして、夫からのみ慰謝料を受け取ることに。私をバカにして、下心で彼女の心細さにつけ込んだ夫にのみ罰が下れば私は満足です。
その後、夫は、夫婦の財産を折半したものの、その大半を慰謝料として私に支払うことになったため、手元に財産はほとんど残らず、義母を養いながらカツカツの生活を送ることになりました。もちろん、不倫相手と、その子どもとの関係も終わりに。
私は夫と離婚したことで、自動的に義母との縁も切れたため、今は誰からも嫌みを言われることのない、ストレスフリーな生活を送っています。誰にも文句を言われない、自由な人生を謳歌したいと思います。
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パートナーを蔑ろにし、嘘で固めた偽りの生活は、決して長続きしません。人を傷つけた不誠実なおこないは、やがて自分自身に返り、すべてを壊していくのですね。不倫相手からは謝罪だけを受け入れ、慰謝料の支払いを断った妻の行動には感激しました。そんな他者を思いやり、誠実に行動する心を、夫にも見習ってほしいものです。ストレスのない今の穏やかな日々がこの先も続くことを願うばかりです。
【取材時期:2025年5月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。