義姉の強引なお願い
ある日、義姉が結婚することになり、義姉も同居している近所の義実家に呼び出された私たち夫婦。すると突然、義姉から「結婚式でスピーチしてほしいの!」とお願いされたのです。義姉は、昔からちょっとクセのあるタイプ。私が着ている服を「センスないわね〜」と笑ったり、遊びに来たときは「この部屋、誰の趣味?落ち着かない〜」と悪気なく口に出すような人で少し苦手に思っていました。
私にスピーチをしてほしいと言う義姉の魂胆は丸見えで「あなたににスピーチしてもらったら、結婚式も盛り上がると思って♪」とひと言。困惑しつつも仕方なく引き受けた私ですが、式の数日前、自宅の階段で転倒し、まさかの両足骨折! 入院し、車いすでの生活を余儀なくされました。義姉の晴れの日を心から祝福したかったのですが、とても出席できる状態ではなく……。夫や義両親、そして義姉本人にも事情を話し、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、欠席させてもらうことにしました。
ところが義姉は納得せず、「這ってでも来い!」と電話越しに怒鳴り、さらには病室まで押しかけてくる始末。お世話をしてくれていた私の姉と呆れるしかありませんでした。
式場で明かされた本性
義姉の執拗な要求に心が折れ、結局、医師に相談して「長時間はNG」「付き添い必須」といった条件付きで、一時外出の許可をもらうことに。私の姉に付き添ってもらい、車いすで式場へ向かいました。移動のたびに響く痛みに耐えながら……。
披露宴開始から30分後、車いすで会場に入った私を見て、義姉は「まさか本当に来ると思わなかった〜! 」とニヤニヤしながら言い放ったのです。義姉は私を心配するどころか、自分の結婚式が盛り上がることにご満悦の様子。車いすで痛々しく登場した私を、まるで“演出の一部”のように扱っていました。
その後、義姉の結婚相手とそのご両親が私の姿に驚き、「どうしてそんな状態で?」と事情を尋ねてきました。すると私の姉がすかさず、「実は病室まで押しかけられて、来るまで帰らない!と騒がれたんです」と暴露。義姉は「嘘よ!」と否定しましたが、私の姉はにっこり笑って「では、確認を」とスマホを取り出し、怒号の録音を再生したのです。義姉が顔面蒼白になる中、会場にはざわめきが広がり、驚きの声が漏れはじめました。なかでも新郎は動揺を隠せず、「本当に、こんなことを……?」と険しい表情で義姉を見つめていたのです。
破談とその後
こうして会場の空気は一変し、義姉の“本性”はすっかり皆の前にさらされることになったのです。 すると新郎は「この結婚、なかったことにしてください」と告げると、義姉はその場に崩れ落ち、「イヤ……お願い!待って……」と泣きながら新郎に縋りつきました。
しかし新郎は静かに手をほどき、「もう無理だよ。ごめん」と小さくつぶやいたのです。 その様子に会場は静まり返り、披露宴は中止となり、結婚も白紙に。新郎側の親族からも非難の声が相次ぎ、義姉は完全に孤立。まだ入籍前だったため結婚は白紙になり、正式に婚約破棄となりました。
一方の私は無事退院し、司会の仕事に復帰! 充実した日々を過ごしています。
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誰かの「自己満足」や「見栄」に巻き込まれたとき、我慢して合わせるのが優しさではないのかもしれません。本当に大切なのは、自分の心と体を守ること。あなたの「NO」は、きっとあなたを守ってくれます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。