お隣さんの出産後に驚いたこと
初めての妊娠は何かと心細いもの。そんな時、近くに同じ状況の彼女がいてくれることは、本当に心強いものでした。
わざわざあいさつに来てくださったその方はとても丁寧な方で、話してみると、偶然にも私と同じくらいの週数の妊婦さんだとわかりました。私たちは急速に距離を縮め、健診のことや体の変化、出産への期待や不安など、話したいことがたくさんあって、会うのがいつも楽しみでした。
そんなある日、子どもの名前の話になりました。「もう決めてるの?」と笑顔で尋ねられ、心を許していた私はうれしくなって、当時心に決めていた娘の名前を打ち明けたのです。
「すごく素敵な名前!」と褒めてもらえたのがあまりにうれしくて、私はすっかり舞い上がってしまいました。考えていた漢字のことや、名前に込めた「こんな子に育ってほしい」という願いまで、ついあれこれと話してしまったのです。
それからも私たちの穏やかな交流は続き、やがて出産予定日が近かった彼女が、先に無事に出産しました。しかし、彼女から生まれた赤ちゃんの名前を聞いたとき、私は自分の耳を疑いました。
それは、私が「この名前がいいんだ」と彼女に話した、あの名前だったからです。
私自身も無事に出産を終え、里帰りからアパートに戻ってきたとき、その事実を知りました。腕の中には、生後3カ月になる娘。たとえお隣さんと被ってしまったとしても、おなかの中にいるときからずっと呼びかけてきたこの名前以外は考えられませんでした。
しかし、どうしても気持ちの整理がつかず、私は彼女の部屋のインターホンを鳴らしました。ですが、ドアを開けた彼女から返ってきたのは、「私もずっと前からこの名前を考えていたの。真似したわけじゃない」という、まったく悪びれる様子もない言葉でした。
悔しいやら悲しいやら、ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、私は何も言い返せませんでした。それからまもなく、気まずくなったのか彼女の一家は引っ越していき、顔を合わせることもなくなりました。
人に話すべきではなかったのかも、と後悔したこともありました。でも、すくすく育つ娘の笑顔を見ていると、今ではやっぱりこの名前をつけてあげて本当に良かったなと思えます。
たとえ同じ名前の子がすぐ近くにいたとしても、この名前に込めた想いだけは、私たちだけのもの。そう思うと、不思議とあのときの悔しい気持ちは消えて、ちょっぴり誇らしい気持ちになります。この名前は、今では私たち家族にとって大切な宝物です。
著者:前島智子/40代女性/2人の娘を持つ母。パート主婦。趣味は絵を描くことと本を読むこと。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
※AI生成画像を使用しています
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