前方の車を追い越そうとしたら
その日、偶然にも帰りが彼と一緒になり、「乗っていくか?」と車に乗せてもらうことに。私たちは、川沿いの狭い二車線道路を走っていました。すると、前方を遅いトラックが走っていたため、彼は追い越そうと対向車線に出ました。ところが、そのトラックは想像以上に車体が長く、追い抜く前に対向車がこちらに迫ってきたのです。
対向車も、当然こちらに気づいており、ライトを何度も点滅させて警告してきます。双方ともかなりのスピードが出ており、ブレーキを踏んでも間に合いそうにありません。しかも、彼は免許を取ったばかり。不安と恐怖が一瞬にして押し寄せ、「終わった」と心の底から思いました。
絶体絶命を実感した瞬間
生き残る手段はただ1つ……アクセルを全開にして追い越しを完了させること。彼は必死にアクセルを踏み込み、車はぐんぐん加速していきます。対向車が迫りくる中、時間がスローモーションのように感じられ、まるで映画のワンシーンのようでした。
結果として、ギリギリのところで追い抜きに成功し、私たちは生還しました。しかし、そのわずか数日後、彼は別の事故で電柱に衝突し、買ったばかりの愛車は廃車に。あの車は、どのみち短命だったのかもしれません。
今だから思うことは
あまりに一瞬の出来事だったため、そこから得た教訓は多くはありません。ただ1つ言えるのは、免許を取ったばかりの人から車に乗らないかと誘われたら、できるだけ断ったほうがいいかもしれないということ。そして、死というものは、ある日突然、思いもよらぬかたちで訪れるのだということです。
まとめ
この体験を通して、私の中には「私たちの日常は、思っている以上に死と隣り合わせなのかもしれない」という感覚が残りました。また、切羽詰まった状況では、死の恐怖は案外、静かにやってくるものなのだ――そんなことも学びました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:櫻井小/60代男性・無職。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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シニアカレンダー編集部
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