出産間近の妊婦さんが突然おなかの痛みを訴え、病院へ……。テレビドラマなどでよく見る出産のシーンですが、実際はそうでもありません。妊娠後期になると自然とおなかが張るようになり、本陣痛が来る前に前駆陣痛が起こります。特に初産婦さんにとっては陣痛がどのようなものかわからないうえ、「前駆陣痛」と「陣痛」って陣痛にも種類があるの?と思うかもしれません。いざというときに慌てないためにも、今回は前駆陣痛について解説したいと思います。
前駆陣痛とは?陣痛との違いは?
前駆陣痛とはどのような特徴があるのでしょうか?ここでは、前駆陣痛と陣痛との違いをお話しします。
●前駆陣痛
前駆陣痛は、妊娠後期に起こる不規則な子宮収縮で、お産の始まりに先駆けて起こる陣痛です。痛みの強さ、長さ、間隔が不規則で、痛みの感じ方には個人差があります。
【前駆陣痛の特徴】
・生理痛や下痢の時の症状に似た感じの痛み
・おなかの張りの強弱が不規則で一定しない
・下腹部が突っ張ったような感覚
・おなかを触ると固く張っているがすぐにやわらかくなる
・圧迫感や不快感がある
・腰痛
・姿勢を変えることで痛みが治まる
・全く症状がない人もいる
など
前駆陣痛は、お産の前兆として起こる不規則な子宮収縮です。前駆陣痛が起こらず本陣痛が来る場合もありますし、前駆陣痛が起きる時期もさまざまです。臨月に入ってからの前駆陣痛は、経過を見ていてもよいですが、妊娠37週未満での痛みを伴うおなかの張りは切迫早産の症状でもあるので、早めにかかりつけ医を受診しましょう。
●陣痛
「陣痛」というのは、「分娩陣痛」といわれるもので、1時間に6回以上、陣痛周期(おなかの張りはじめから次のおなかの張りはじめまでの時間)が10分以内の規則的な子宮収縮のことを指します。陣痛が起こることで子宮の入り口が柔らかくなり、子宮口が開いて、おなかの中の赤ちゃんが下降し、最終的に外の世界に押し出されます。
【本陣痛の特徴】
・生理痛や下痢の時の症状に似た感じの痛みが徐々に強くなっていく
・おなかの張りの強弱が規則的で間隔が徐々に短くなっていく
・安静にしていても収まらない
など
陣痛も最初は前駆陣痛と症状が同じなので、判断がつかないことがあると思います。しかし、陣痛の場合は、徐々に痛みが強くなり、痛みの間隔が短くなります。陣痛間隔を計って記録しておきましょう。陣痛間隔をカウントできる無料のアプリもあるようなので、そちらを活用してもよいですね。
初産婦の場合は、陣痛の間隔が10分おき、経産婦の場合はおなかの張りが15分おきになったら産院に電話連絡するように言われることが多いです。そのときの様子で、産院より、もう少し自宅で様子を見ましょうとか、すぐに来院してくださいなど、その後の対応について指示が出るので、慌てないように準備をしておきましょう。
前駆陣痛が来たらどうする?
前駆陣痛から陣痛が始まるまでの期間は個人差があります。前駆陣痛はしばらく安静にすると痛みがなくなりますが、忘れた頃に痛みが起こることもあります。前駆陣痛が来ると、陣痛になるのではないかと、時計とにらめっこ状態になることもあるでしょう。
夜間に前駆陣痛が来ると気になって寝付けず、睡眠不足になってしまうことも。前駆陣痛の段階で体力を消耗してしまうと、陣痛が来たときに微弱陣痛になってお産が長引いてしまう恐れもあります。休めるようであれば睡眠を優先し、お昼寝するなどして睡眠不足にならないようにしていきましょう。
また、痛みで食欲が低下し、食事の量が減ってしまうこともあります。こちらも睡眠同様、本番でエネルギー不足にならないよう、好きな食べ物や軽食、栄養補給ゼリーや水分などを摂取するようにしましょう。
音楽を聴いたり心と身体もリラックスするアロマを使用し、香りで気分を変えることもひとつの方法です。アロマセラピーを活用している産院もありますから、妊娠中のおすすめのアロマなど相談しておくのもよいでしょう。
まとめ
前駆陣痛は、陣痛が始まる前の準備運動のようなものです。また、前駆陣痛が起こらず陣痛が来る人もいますので、自分の体の変化を日頃からチェックして記録する習慣を身につけることも必要です。
臨月に入ったら、入院準備をしっかりして、外出の際は、母子手帳、診察券、健康保健証、携帯電話、連絡先のメモなどを持ち歩くようにしましょう。前駆陣痛か本陣痛か判断に迷うときは、かかりつけ医に相談し、指示を仰ぎましょう。
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