社会人1年目、まさかの塩対応
僕は25歳の新入社員。大学院を出て就職したため、同い年の同期より少し遅れて入社しています。そんな僕が入社した会社には、社内で有名な「アイドル」的存在であるAさんがいます。受付を担当していて、男女問わず人気者。気づかいができて素直で明るい、まさに高嶺の花です。
しかし、そんなAさんはなぜか僕にだけ冷たく……。
仲良くなろうとお菓子を渡したときも、「私、それ嫌いなので結構です」とピシャリ。僕の隣に座っていた先輩は笑顔で受け取ってくれましたが、Aさんの冷たい反応に心が沈んだことを覚えています。
なんで僕にだけ……というもやもやを抱えたまま、仕事に励む日々が続きました。
飲み会の夜
数日後、若手社員の飲み会が開かれました。和やかな空気の中、相変わらず男性社員たちはAさんに釘付けな様子。
そんな中、僕は女性たちと楽しく話しているAさんのもとへ。
「皆さんの飲む物、決まりましたか? まとめてオーダーするので…」
「このメモを見てください」
相変わらず冷たい彼女の態度に「会社の外でもこんな感じかぁ…」と悲しくなっていたとき、隣に座っていた先輩が話しかけてきました。
「そういえば、君とAさんって入社は別だけど同い年?」
「そうなんです。僕は大学院に進学したので入社年は違いますが、大学の同級生です」
僕とAさんは、大学からの知り合い。大学時代に話したこともありましたが、そのときはやさしく話してくれた印象で僕は彼女に惹かれていきました。そのため、今の彼女の冷たい態度は耐え難いものなのです。
「嘘…」彼女の驚きの勘違いとは
しばらくして、みんなの酔いがまわったころ、Aさんがふらりと僕の隣に座ってきたのです。Aさんの突飛な行動に驚いていると
「飲み会に来てていいの? かわいい奥さんが待ってるんじゃないの?」
と聞いてきました。僕は何のことだろう……と思いながら、「独身ですけど?」と答えると、彼女は目を丸くして固まっていました。
Aさんは、なぜか僕のことを既婚者だと勘違いしていたらしいのです。
後日、本人から聞いた話では、数カ月前に偶然テレビで僕と姉が街頭インタビューを受けている姿を見て「新婚」と思い込んだとのこと。「昨日籍を入れたんです~♡」と言っていた姉を見て勘違いしたらしいのです。実際は、姉が結婚したタイミングで、僕はただ買い物に付き合っていただけでした。
真相を知ったAさんは、顔を真っ赤にして「勘違いしていたの。ごめんなさい」と謝ってきました。
僕を疑っていた彼女とすれ違っていた想い
ある日、会社でスカートが破けてしまったAさんを人目につかない場所へ連れていき、自分のジャケットを巻いてあげたことがありました。
「ジャケット、ありがとう。すごく助かった」
冷たかった彼女の態度は、飲み会の日以降一変。僕は、大学のころのように話せることが、とてもうれしいと思っていました。
しかし、僕にはわからないことが1つ。
「どうして、僕が既婚者じゃないとわかってから態度が変わったんだろう…」
僕は、Aさんの態度が変わった理由がどうしてもわかりませんでした。
ついに伝えられた気持ち
ある日、体調が悪そうな彼女が医務室で休んでいると聞き、僕は心配で様子を見に行きました。
「大丈夫ですか? 熱は?」
そう言って僕がAさんの額に手を当てたとき。
「好き……」
小さな声だったけれど、はっきり聞こえました。Aさんは涙ぐみながら、「ずっと好きだったの。大学生のころから」と言いました。
Aさんの話によると、当時から僕の努力家な姿勢やさりげないやさしさに惹かれていたとのこと。けれど、就職活動で疎遠になり、そのまま月日が流れてしまったと言います。そんなとき、姉とのインタビューを見て、僕のことを諦めるために冷たい態度をとってしまったようでした。
大学時代、Aさんと何度か顔を合わせたことはありましたが、まさか彼女が僕にそんな想いを抱いていたとは思わなかったのでとても驚きました。
「僕も、大学生のころからずっと好きでした」
僕が本心を伝えると、Aさんは目を潤ませながら、僕に抱きついてきました。長かったすれ違いが一気に解けた瞬間でした。
これからは2人で
僕にだけ塩対応だった社内の名物美人は、今や僕の彼女に。
「勝手に勘違いして冷たい態度になっていたこと、本当にごめんね」
「あれは結構つらかったな…。でもかわいすぎるから許す!」
「何それ!」
すれ違っていた時期を乗り越えて、そう笑い合える今がとても幸せだと思います。
僕は、これから彼女のこの笑顔を守れる存在になることを心に誓いました。そして、もう二度とすれ違わないように、ちゃんと自分の気持ちを伝え続けていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されてないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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