初めての妊娠・出産では「悪露って何?」と思う人が多いかもしれません。悪露の状態を観察することは産後の子宮の回復状態を知る目安にもなります。ここでは悪露について、産褥期の変化や対処法、注意したい点について詳しく紹介していきます。
悪露ってなに?
悪露(おろ)とは、妊娠によって大きくなった子宮が出産後に元の大きさに戻る過程(子宮復古)の中で、子宮腔内から排出される分泌物のことです。悪露は、胎盤が剥がれた部分からの出血や分泌物が主な成分です。子宮内膜が再生され、子宮の大きさが妊娠前の状態になると悪露は出なくなります。
悪露はいつまで続くの?産褥期の悪露の変化
悪露の色は出産してから数日間は経血と同じように赤い色をしていますが、子宮復古が進むにつれて色は薄くなり、分娩8週後までには消失します。悪露がなくなるまでは次のような経過をたどっていきます。
<産褥2~3日>
血液成分が多いため見た目はほぼ血液と同じで、赤色悪露(血性悪露)と呼ばれています。量も多いのが特徴ですが、通常血液の塊が混じることはあまりありません。
<産褥3~4日以降>
悪露に含まれる血液中のヘモグロビンが変性し、悪露は褐色になります。量も徐々に減少していきます。
<産褥2週以降>
産褥約2週以降は透明で淡黄色の黄色悪露になり、2~3週間続きます。
<産褥4週頃>
この時期はの悪露にはほとんど色はついておらず、白っぽい色に変化します。この時点での悪露はおりものと変わらないようになり、悪露がなくなったと感じるようになります。
こんな悪露は要注意!
産後に排出される悪露ですが、注意しなければならない状態があります。何気なくパットを交換しがちですが、悪露の量、性状、においの変化には注意しましょう。
活動量が急に増えることによって一時的に悪露の量が増えることがありますが、悪露の量が多い状態が続いたり、血液の塊が混じっているような場合は、子宮復古不全の可能性があります。
子宮復古不全の原因はさまざまありますが、赤ちゃんを包んでいた卵膜や胎盤組織が排出される場合には、胎盤遺残(子宮内に胎盤が残っている状態)の可能性もあります。超音波検査で胎盤遺残と診断された場合、胎盤を除去する処置が必要になることがあります。
悪露に悪臭を伴う場合は、子宮内感染により炎症が起こっている可能性があります。悪臭だけでなく、悪露の性状も膿状になることがあり、発熱することもあります。子宮内感染が疑われる場合、血液検査や悪露の培養検査、抗菌薬の投与などがおこなわれます。
これらの悪露の変化に加え、下腹部痛、発熱などの症状がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
悪露が排出されている間の対処法
産後1週間程度は生理用ナプキンより大きめの「産褥パット」を使って対処します。産褥パットは生理用ナプキンより厚くて大きいため、しっかりと血液を吸収できるようになっています。悪露の量が少なくなってきたら生理ナプキンを使うといいでしょう。
出産直後は、助産師さんが悪露のチェックや産褥パットを交換しやすいように、股の部分がマジックテープで開閉できる「産褥ショーツ」を着用するのがおすすめです。この産褥ショーツは会陰部の状態を確認する時にも下着を上げ下げする必要がないため便利です。
産院によって、排泄後に陰部を清浄綿で拭き、清潔にするよう指導されることもあります。入浴の際、湯船につかることは産後1カ月健診までは不可なので、シャワーで済ませるようにしましょう。
まとめ
悪露は、出産後に子宮が妊娠前の状態に戻る過程で子宮内から排出される血液混じりの分泌物をいい、子宮の回復とともに減っていきます。悪露が多い時期はまだ子宮の状態が完全に回復していない時期ですので、無理のない範囲で行動することが大切です。