「ちょっと子どもを見てて!」
近所に住むママ友Aに、あるとき「週末に子ども向けのマルシェがあるからうちの子たちと一緒に行こう!」と誘われました。夫の出張が続き、連日のワンオペ育児で疲弊気味だった私でしたが、6歳の息子が行きたがったため、生後半年の娘も連れて参加することに。
Aは2歳の息子、生後3カ月の娘と一緒に参加し、親と子ども総勢6名でマルシェ会場に到着。しばらくマルシェを満喫してランチタイムになったため、私とAはそれぞれ子どもを連れてマルシェの店舗でごはんを買うことに。先にごはんをゲットした私は子どもたちと集合場所へ戻り、A親子の帰りを待っていました。
すると突然、Aがあわてて戻ってきて「ごめん! ちょっとしばらくうちの子どもたち見てて!」と言って、息子とベビーカーに乗った娘を置いて走り去っていったのです。10分ぐらい経っても戻らないA。A親子と一緒にごはんを食べようと待っていた私の息子は、おなかを空かせて不機嫌マックス! うちの娘もちょうど授乳時間がきてグズリ出しました。しまいには、Aの息子も「ママのところに行く」と泣き出し、眠っていたベビーカーの中のAの娘も、お兄ちゃんの泣き声で起きて大泣き。ひとりでは手に負えない4人の子どもの泣き声大合唱で、なかなかのピンチな状況に私は慌てふためきます。
Aの娘が乗るベビーカーを揺らしながら何とか落ち着かせていたとき、Aが「お待たせ~!」と戻ってきました。安堵した私でしたがよく見ると、なんとAの隣には仲良さそうに話す女性と3人の小学生から幼稚園ぐらいの女の子が。
「地元の同級生のB。さっき通りすがりにジュース屋の長い行列に子ども3人と並んでるの見つけて大変そうだったからさ♪」と満足そうに話すA。その言葉を聞いた私は、他人の子どものサポートでいなくなったAのために、なぜ私がひとりで4人の子どもを見ないといけなかったのだろうかとイラッとしました。
その場では言いませんでしたが、帰り際に「お昼のことだけど……。あなたがお友だちを助けたかったっていうのは素晴らしいとは思うけど、そのために私に子どもを押しつけて行ったのはよくないんじゃないかな? 私も自分の子どものことで手いっぱいだし、今度はもう少し一緒に来ている私たちのことも考えてほしいな」とやんわり忠告しました。
すると、ハッとした表情をしたAが「そ、そうだよね……。私から誘っておいて、子どもたち押し付けちゃってしんどかったよね……。同級生が困っているのを見たら、いてもたってもいられなくなっちゃって……。あなたも困ったよね……ごめんね」と言いながら、自分の子どもたちにもごめんねと伝えていました。
その後も、Aと出かけることが何回かありましたが、Aは本当に、困った人を見てみぬふりはできない性分のようで、うずうずしている場面やたまらず駆け寄って行く場面などに遭遇しました。しかし、前と違うのは、子どもたちを第一優先にして動くようになったこと。私はAの行動を見習い、自分の子どもの面倒は自分でしっかり見つつも、困っている人に手を差し伸べられるようになりたいと思うように。そしてそんな暖かな気持ちを持った親の背中を、子どもたちに見せたいと思えるきっかけとなった出来事でした。
著者:林 きくこ/30代・主婦。6歳の男の子と生後8カ月の女の子を育てる母。整理整頓が苦手で、子どものおもちゃの収納に年中悩んでいる。三食すべて納豆ご飯でもいいほど納豆が好き。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)
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