育児に消極的だった夫
夫は“自分そっくり”のわが子がかわいくてたまらない様子でしたが、おむつ替えやお風呂など、手間のかかる育児にはあまり積極的ではありませんでした。
「仕事で疲れている」と言われることも多く、私も強くお願いできずにいたのです。それでも、寝かしつけだけは引き受けてくれていました。
双子の弟の寝かしつけを任せたはずが…
わが家では、夜になると夫婦で協力して寝かしつけをおこなっていました。双子の弟は抱っこでないと寝ないタイプ。私が兄を寝かしつけ、その間に夫が弟を抱っこしてゆらゆら。兄が寝たら、最終的に私が弟も寝かしつけるという流れが定番でした。
ところが、この日は兄がなかなか寝てくれず、1時間ほどかかってようやく寝かしつけ完了。次は弟の番ですが、いつの間にか夫と弟の姿がありません。
ふとリビングのほうを見ると、煌々と照明がついていて、嫌な予感がしました
ウソでしょ!?衝撃の光景にあぜん
リビングの扉を開けると……、ベビーラックに双子の弟を寝かせ、時々足でラックを蹴って揺らしながら、缶チューハイ片手にテレビを観ている夫の姿が! しかも、弟は眠くなるどころか、目がギラギラ。
「何してるの!? この子は抱っこじゃないと寝られないんだよ! それもこんなに明るい部屋で……どういうこと!?」と私は怒りが大爆発。すると夫は、「ラックに寝かせて揺らしていれば勝手に寝るかと思って……」というあきれる返答をしてきたのです。
私は怒りを抑えつつ弟を寝室へ連れて行き、抱っこでゆらゆら。弟はあっという間にスヤスヤと眠ってくれました。小さな寝息を聞いて、私は何度も「ごめんね、ごめんね」と謝りながら、涙が止まりませんでした。
子育てをしながら、夫婦も成長していく
この日は夫も疲れていたのかもしれません。しかし、この出来事をきっかけに、私は夫に遠慮するのではなく「子育ての仲間」と考えて接するようにしました。たとえば、寝かしつけの補助のような役割だった夫にも、双子の1人の寝かしつけを最後まで任せるようにしたのです。
「この方法で寝てくれた」と、成功体験を増やすことで、夫に育児に対する自信をつけてもらいました。「自分にもできることがある」と知り、夫は育児への苦手意識が減っていったようです。
「1人のお世話だけでも大変だ」と実感した夫は、双子をワンオペで育児することがどれほどハードであるかにも気づき、双子パパの自覚も芽生えたようでした。その甲斐あってか、今ではあの寝かしつけ時の“まさかの行動”も、夫婦で笑って話せる思い出になっています。
著者:塩田 いと/40代女性。2016年生まれの双子の息子たちを育てる母。保育士として11年勤務した経験を持ち、現在はパーキンソン病の父が暮らす実家と自宅を行き来しながら、育児体験や街のスポット紹介の記事を執筆中。趣味は旅行、モットーは「一期一会」。
イラスト:ちゃこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)