超低出生体重児の原因のほとんどが早産?後遺症や障害のリスクは?

この記事では超低出生体重児(ちょうていしゅっせいたいじゅうじ)について、医師監修のもと解説します。低出生体重児とは、出生時の体重が2,500g未満の新生児のことを言います。超低出生体重児の原因は、ほとんどが早産です。

この記事の監修者

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

低体重児のイメージ

 

妊娠し、悪阻に悩まされたり、体調の変化に落ち込んだりしつつも、出産を控えた女性の誰もがおなかの赤ちゃんが元気に生まれてくることを願っているものです。しかし、わが子が何らかの原因で、超低出生体重児として生まれてくることもあります。ここでは、そんな超低出生体重児の合併症や障害の有無、さらに、気になる赤ちゃんの今後の成長過程について解説します。

 

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超低出生体重児とは?

低出生体重児(ていしゅっせいたいじゅうじ)とは、出生時の体重が2,500g未満の新生児のことを言います。その中でも、1,500g未満の赤ちゃんのことを極低出生体重児、さらに出生体重が1,000g未満の赤ちゃんのことを超低出生体重児といいます。日本では出生率の低下に反して、この超低出生体重児の誕生は増加傾向にあり、その要因として、女性の「やせ」が挙げられます。次に、「高齢出産の増加」と「不妊治療の普及」です。そして、以前では救えなかった命が救えるようになった「医療の進歩」があげられます。

 

超低出生体重児が生まれる原因

超低出生体重児の原因は、ほとんどが早産です。日本産科婦人科学会によると、早産とは正期産(妊娠37週0日~妊娠41週6日まで)以前の出生のことで、 日本で早産とされるのは妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産となっています。早産には母体に原因があるものと、胎児に原因があるものに分かれ、母体側の原因としては、細菌性膣症などによる前期破水、妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剥離、子宮頸管無力症です。胎児側の原因としては、多胎妊娠や、妊娠週数は進んでもおなかの中で胎児が大きくならないという子宮内胎児発育不全、胎児機能不全、重篤な胎児異常などです。この場合、残念ながら予防法がないのが現状です。


では、母体側に原因がある場合の早産は防ぐことができるのでしょうか。残念ながら、絶対に防ぐことができる予防策があるとはいえません。しかし、多くの場合は体質や感染によるため、定期健診をきちんと受けて、自分が早産になりやすい状況にないかの早期診断をしてもらうことが大切です。切迫早産という早産の危険が高まっているという診断を受けた場合は、安静・治療が必要になります。

 

超低出生体重児の合併症や障害のリスク

赤ちゃんの臓器はお母さんのおなかの中で、長い年月をかけて作られています。そのため、早産になるとそれぞれの臓器の発達段階によって、さまざまな合併症をきたすことがあります。超低出生体重児の場合は、臓器が未完成の状態がほとんどで、そのリスクは高くなります。特に、肺の未熟性のために重篤な呼吸障害等の合併症を起こしやすく、また、循環動態の変動により出血を起こしやすい傾向にあります。そのため、脳室内出血・脳室周囲白質軟化症・肺出血などをおこしやすく、重篤な状態に陥ったりその後に後遺症を残す可能性があるのです。

 

また、感染症へ罹患率も高くなります。さらに、6歳までの後遺症として、脳性麻痺17.3%、視力障害2.4%、聴力障害3.4%、知的障害26.6%となっています。これらの障害も、発生する障がいの程度や種類は生まれたときの妊娠週数だけでなく、週数に対する体重の状態によっても変わってきます。

 

超低出生体重児の成長について

超低出生体重児として生まれた赤ちゃんは、生まれたらすぐに新生児集中治療室(NICU)に入院します。そして、NICUで全身管理をおこないながら母乳や早産児用ミルクのチューブ栄養、点滴による栄養や水分補給で体重増加を目指します。

 

超低出生体重児の赤ちゃんが健康に育つためには、まず体重を増やすことが重要な課題であるといえますが、超低出生体重児の場合は2週間から1カ月ほどかかることがあります。また、超低出生体重児は体温調節機能が未熟なため、保育器での徹底した温度管理が必要です。そのうえ、肺が未熟なので、人工呼吸器を長期間使用することになります。そして、順調に体重を増やし、NICUを出た後は障害の有無や、成長について日々確認していくことが必要となります。

 

成長が極端に遅れる子、臓器に障害が残る子、逆に障害がまったくない子もいますが、超低出生体重児の赤ちゃんは、一般的な体重で生まれた赤ちゃんに比べると、成長のペースは遅く、医療機関と連携して、その子の成長に合わせた対応をしていくことが大切です。さらに、障害の有無や程度に応じて、専門家と相談しながら治療やリハビリを進めていき、その子に合った生活環境を整えてあげる必要があります。

 

まとめ

超低出生体重児としてわが子が生まれてしまったら、とても心配になるものです。しかし、小さく生まれてきた赤ちゃんも、その生命力は計り知れないものがあります。体の成長が未熟な状態で生まれてきたとしても必死に生きているその姿に、親として勇気をもらえるでしょう。不安な気持ちや知りたいことはお医者さんや看護師さんなどの医療従事者に伝え、説明やアドバイスをしてもらうことが大切です。退院後は地域の保健師のフォローも入ってきます。すべてを抱え込まず、専門家や家族、友人など、いろいろな人を頼りながら、今後の赤ちゃんの成長を見守りサポートしてあげましょう。


※参考:日本産科婦人科学会「早産・切迫早産」、厚生労働省「低出生体重児 保健指導マニュアル

 

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      マタ旅と思われるSNS投稿後、早産で生まれた子の投稿がある人もチラホラとあるらしい。マタ旅から帰って、切迫で絶対安静になっていた知り合いがいました。マタ旅と早産の関係を調べてほしい。 リアルな事実をも… もっと見る
      マタ旅と思われるSNS投稿後、早産で生まれた子の投稿がある人もチラホラとあるらしい。マタ旅から帰って、切迫で絶対安静になっていた知り合いがいました。マタ旅と早産の関係を調べてほしい。
      リアルな事実をもっと知らせてほしいです。危機感のない妊婦の方が多くなっていて、後遺症を背負わされる赤ちゃんが多くなるのは可愛そうです。早産と言う言葉があること自体、誤解されている安定期というのは、本来は存在しないのだと分かってほしい。
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      初めてコメントします。 我が家の長男が超低出生体重児の623グラムで生まれました。 週数は28週でした。 原因は、はっきりとはわからないと言われましたが ・子宮内発育不全 ・胎盤発育不全 が考えられ… もっと見る
      初めてコメントします。
      我が家の長男が超低出生体重児の623グラムで生まれました。
      週数は28週でした。

      原因は、はっきりとはわからないと言われましたが
      ・子宮内発育不全
      ・胎盤発育不全
      が考えられると言われました。

      3歳上の長女は、普通分娩39週だったので、なぜ胎盤発育不全を起こしたのかは、未だにわかりません。
      長男は今、11歳の6年生になりました。
      今のところ、体が小さいこと以外、特に障害等もなく、育っています。

      生まれてからしばらくは入退院を繰り返し、心配な日々でしたが、この子なりに強くいきていこうと頑張ってると思うと、大変さより愛おしさが増し、育てて行くのが楽しくなりました。

      世の中には、長男と同じように超低出生体重で生まれて来る子が増えていると聞きます。

      「なんでうちの子が?」
      と思うより
      「うちを選んで生まれてくれてありがとう」
      と言える人が増えて欲しいなと思います。

      思いつくままのコメントで、失礼しました。


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