思いやりのかけらもない夫
コロナ禍に妊娠、出産を迎えた私。入院中の面会や、立ち合い出産もできない時期で、初めての出産をひとりで臨まなければならないことに、不安と緊張の日々を送っていました。
予定日2週間前のある日、自宅で破水。夫に破水したことを電話で告げると「そうか、頑張って。じゃあ仕事中だから」と言ってあっさり電話を切ったのです。随分他人事だな、と思いましたが、破水して動揺している私は急いで産院へ向かいました。
しかし破水したにもかかわらず、何時間経っても子宮口がまったく開かず、バルーンや促進剤でお産を進めるための処置が行われることに。私の不安と緊張は頂点に達します。不安な気持ちを和らげようと夫にメールを送りますが、返ってくるのは「えーじゃあ晩ごはんどうしよう?」など、どうでもいいことばかり。
「ひとりで出産を頑張っているのに励ましも、心配もしてくれないんだ」と悲しくなりました。最終的に吸引分娩となり、なおかつ両側から助産師さん2人がかりでおなかを押される壮絶な事態となり、破水から31時間たってようやくわが子が誕生。出産後に夫にもメールで状況を伝えましたが「あら。大変だったね。おつかれさま」となんとも愛想のない返事がきたのみで、私の体調や精神面を気遣う文言は一切ありません。
そして退院の日。迎えに来てくれた夫はわが子の顔を見て「これがわが子か~」とひと言。ねぎらいの言葉も、わが子を慈しむ言葉もなく、ショックを受けつつ「立ち会いしていないから実感が湧かないのかな」と思いながら家に戻りました。
しかし家に着くと夫は「今日の晩ごはん、何〜?」と聞いてくるではありませんか! 退院したばかりの私にごはんの支度をさせようとしていることに驚き、さすがに腹が立った私は「私、とっても痛い思いをして赤ちゃんを産んだばかりだよ。出血もまだひどいし、もう少し私の体調も気づかってほしい」とお願いしました。すると夫は「でも予定通り退院できただろ? そんなんまるで、かまってちゃんの子どもみたいだな」と言い放ったのです! 腹が立った私はそのまま息子と一緒に眠り、夜中のお世話もひとりでこなしました。
翌日、しばらく滞在するために私の実家に行ったところ、険悪な雰囲気を察した母が「どうしたの?」と聞きます。すると自分の発言に問題があると思っていない夫は「いや~昨日の夜、晩ごはんは何かって聞いただけで怒っちゃたんですよ」と能天気に答えました。
それを聞いた母は「え、赤ちゃんを産んで間もない娘に、晩ごはんの支度をさせようとしたの?」と鬼の形相で夫に迫ります。「出産はね、交通事故と同じくらい体にダメージがあるとも言われているの。目に見えるところに傷はないけど出血もたくさんするし、ホルモンバランスも崩れて精神的につらくなる人もいる。そんなときこそ夫婦で支え合わないでどうするの?」と静かに怒りながら夫を諭してくれました。
何も言い返せなかった夫は、「すみません……」とひと言つぶやくのみ。しかしその後インターネットで自分なりに出産について調べたようで、「何もわかっていなかった。嫌な思いをさせてしまってごめん」と言ってくれ、私の体を気づかって家事や育児を積極的にしてくれるようになりました。
当時はコロナ禍で妊娠時の母親・父親学級なども開催されておらず、夫は妊娠や出産について何もわかっていなかったようです。私も事前に夫に伝えられることはあったかもしれないと反省しましたが、自分なりに調べたり人に聞いたりして学ぶ術はあったはず。自分自身が体験できないことだからこそ、相手の気持ちや状況を思いやることが大事だと思った出来事でした。
著者:竹内美月/40代・ライター。車のおもちゃが大好きな4歳の男の子と、歌って踊るのが大好きな1歳の女の子を育てる母。平日はほぼワンオペ育児。何が起こったのかわからないほどのスピードで時間が過ぎていく、ドタバタな毎日を送っている。仕事終わりに夕飯を作りながら飲むハイボールが楽しみ。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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