こんにちは! 助産師のREIKOです。成熟した女性なら誰もが知っている「おりもの」。専門用語では、「おりもの」のことを「帯下(たいげ)」というんですよ。このおりもの、簡単にいうと女性器からの分泌物のことで、子宮、腟、外陰部などから分泌されているんです。妊娠中、おりものの量が増えて、不快感が増してしまう方も。でも、そんなおりものにも大切な役割があるんです。今回は、この「おりもの」についてお話しします。
「おりもの」のはたらきって?
女性の腟には乳酸菌が住んでいます。この乳酸菌の働きによって腟内は酸性に保たれていて、外部から細菌が入ってくるのを防いでいます。また、子宮の入り口からのおりものも普段は量が少なく、粘り気も強い状態で感染を防いでいます。これは細菌だけでなく、精子が子宮の中に入ってくることもジャマしているんです。
しかし、排卵が近付くと、子宮の入り口からのおりものの量が増え、サラサラになります。このように変化することで精子が子宮の中に入ってきやすくなり、受精のチャンスが増えます。また、お産近くになるとおりものの量が増えてきて、赤ちゃんが産道を通りやすくするための「潤滑油」としての役割をしてくれているんですよ。
「おりもの」がこんなときは注意!
普段のおりものは、透明~白っぽい色をしています。乳酸菌の影響で少し酸っぱいにおいがすることもありますが、妊娠中はこの酸っぱいにおいが弱まることがあります。おりものの様子が普段と違うときは、何らかのサインかもしれません。妊娠中に気を付けておいてほしいおりものについて、いくつかご紹介します。
◆茶色やピンク、血液が混じっているおりもの
切迫流・早産の恐れがあります。
◆黄色、淡いグレーのおりもので、腐った魚のにおいがするおりもの
10~30%の女性に見られる細菌性腟症の可能性があります。早産の原因となることがあります。
◆かゆみを伴うカッテージチーズのような白いぽろぽろしたおりもの
カンジダ腟炎の可能性があります。カンジダはカビの一種。妊娠中はホルモンの影響でおりものの酸性が弱まり、カンジダが繁殖しやすい環境になっています。そのため、妊娠中にカンジダ腟炎になる妊婦さんも少なくありません。
これらのほかにも、クラミジア感染症、子宮内感染などでも、おりものの色がかわったり、量が増えたりします。
◆水っぽいおりもの
破水の恐れがあります。尿漏れと間違うことも。
「おりもの」が変……どうすればいい?
おりものに関しては、妊婦健診時に医師が診察をして、おりものの状態を確認したり、定期的におりものの検査もおこなったりしています。
その結果で、菌が検出された場合、治療をおこないます。おもな治療としては、腟の中にお薬(錠剤)を入れる、カンジダ腟炎などでは塗り薬が出されることもあります。
普段から気を付けること
妊娠中、おりものが増えたと感じる妊婦さんが多くみられます。妊娠中におりものが増えるのは生理的なものですが、おりものの変化も普段から気にかけていると異常の早期発見にもつながります。
異常の早期発見、感染予防のために、妊娠中は通気性のいい、清潔な下着をつけるようにしましょう。色の薄い下着を選ぶことで、汚れがわかりやすく、気付いたらすぐ取り換えることができると思います。
おりものシートを使われている方もいらっしゃると思いますが、同じものを長時間つけていると細菌が繁殖しやすい環境になってしまうので、2~3時間を目安に取り換えるよう心がけましょう。また、清潔を保つためにせっけんでゴシゴシ……なかには腟の中まで洗ってしまう方がいらっしゃいますが、洗いすぎはかえって正常な菌まで殺してしまうので注意が必要です。
おりものが出ること自体は何の異常でもありません。おりものの量についても個人差があって、多い・少ないといった感じ方も人それぞれです。普段の自分の体を気にかけて、いつもと違うな、気になるなと思うことがあったら、かかりつけ医に相談してみてくださいね。