罹患率は30代後半から上昇
40代後半にピーク、その後も高水準が続く
乳がんの罹患者は99%が女性とされており、男性でも1000人に1人が罹患するといわれています。そんな乳がんには、発症のピークとなる年代が2つあるのだとか。
「乳がんは30代後半から罹患率が上昇し始め、40代後半にかけて罹患率が高まります。その後も60代前半まで高い水準が続くことがわかっています。
そもそも、がんは高齢者に多い病気です。年齢を重ねるほど遺伝子の修復異常が起きやすくなり、がんを超早期で退治する免疫力も低下します。
しかし乳がんは、他のがんと比べて比較的若い40代から発症が目立ち始める傾向にあります。
乳がんにはさまざまなタイプがあり、サブタイプというがん細胞が持っている性質で分類しています。乳がんは30代後半から罹患率が上昇し、40代後半にピークを迎え、その後も高い水準が続きます。なぜ比較的若い年代から乳がんが目立つのか、その原因はまだ解明されていません」(新見先生)
こんな症状には要注意!
乳頭から血が出る!?
乳がんの症状といえば、しこりを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。新見先生によると、乳がんの症状にはしこり以外にも目に見てわかる症状があるとのこと。一体どのようなものなのでしょうか?
「しこり以外の症状としては、乳輪や乳頭の皮膚が赤くなったりただれたりすることもあります。血性分泌物という分泌物が乳頭から出ていたら、乳がんを疑ったほうが良いですね。
これは血液の分泌物なので、血液のような赤色の液体です。母乳のようなミルク色であったり、透明な液体ではありません。
不思議なことに、乳がんでは痛みを感じないことが多いとされています。胸が痛いという患者さんの9割が、がんではないと診断されます。
そのため、しこりが一番わかりやすい症状だと思います。胸の中にビー玉のようなコリコリッとしたものを感じたら病院を受診したほうが良いでしょう」(新見先生)
もし乳がんだと診断されたら、どのような治療をおこなうのでしょうか?
「がんの状態によって異なります。まず、乳がんは大きく2種類に分けられます。
1つ目は、非浸潤がん。これはがん細胞が乳管や乳腺小葉にとどまっていて、乳房の外にがんが広がっていない状態です。この場合、多くの方は乳房の部分切除もしくは全摘出の手術で完治することがほとんどです。
2つ目は、浸潤がん。非浸潤がんとは違って、乳管や乳腺小葉の周囲にまでがんが広がっている状態を指します。浸潤がんの場合は他の部分に転移する可能性があり、手術以外にも抗がん剤や放射線での治療が必要になってきます。
もし妊娠中に乳がんが判明しても治療は可能です。妊娠継続や治療方法については、主治医とよく相談し、自分の意思を尊重して判断することが大切です」(新見先生)
乳房の摘出手術をおこなった場合、再建は必ずできるものなのでしょうか?
「基本的には再建ができないということはありません。例えば骨にまでがん細胞が浸潤してしまっていたりして別の治療が必要な場合は、再建よりも先に治療をおこないます」(新見先生)
乳がんは予防できるの?
検診を受けることが大切
乳がんで死亡する人は年間1万人を超えるのだそう。できるだけ早期発見、早期治療したいものですがどうすればいいのでしょうか?
「ブレスト・アウェアネスという乳房を意識する生活習慣があります。
まずは、自分の乳房の状態を知ること。入浴や着替えのときなどに自分の乳房を見たり触ったりして、今はどういう状態なのかを確認してください。
そして、しこりや皮膚の異常など乳房に変化がないか気を付けましょう。変化に気付いたら放置するのではなく、すぐに病院を受診してください。
また、40歳になったら乳がん検診を受けると良いでしょう。マンモグラフィーと超音波(エコー)検査では発見できる乳がんの種類が異なるため、両方を組み合わせて受けることが有効とされています。医師の判断に応じて、交互に受けたり同時に受けたりする方法もあります。
乳がん検診を受けることもブレスト・アウェアネスの1つです。日ごろから自分の乳房の状態がどんな感じなのか、いつもと変わりはないか気を付けることは乳がんの早期発見につながります」(新見先生)
まとめ
更年期世代にとって、乳がんはいつ発症してもおかしくない病気です。自分の胸の状態を知り、検診を欠かさないことで少しでも重症化のリスクを防ぐことは大切です。検診を忘れていた! という人は一度行ってみるといいかもしれませんね。
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