黙っていた妊娠を、オフィスの真ん中で…!?
以前勤めていた職場に、デリカシーのない同僚のAがいました。Aは20代半ばの男性で、職場の中では一番若く、男性の上司には愛想がいいので、とてもかわいがられていたのです。しかし一方で、女性相手にはとても失礼なことを言ったり、デリカシーのない発言をしたりするので、私は若干の苦手意識を持っていました。
Aは50代くらいの女性の先輩B、Cに対しても、「B先輩、そろそろシルバー人材センターに登録したらどうですかぁ」「C先輩、女性はヒールを履かないと、体型が崩れるんですよ」などと冗談めかして言っています。B先輩は「それは60代になってからよ。私にはまだ10年早いかな」と特に気に留める様子もなく返答。しかし、C先輩は私のところに近づいてきて「Aはなんて失礼なの! 私の体をじろじろ見ながらあんなことを言うなんて! 私の体型がくずれてるって言いたいのかしら!」と憤慨します。そんな愚痴を聞かされるのも正直面倒だと感じていた私は、Aとはなるべく距離をとるようにしていました。
そんなとき、私の妊娠が判明。日に日につわりがひどくなり、仕事も休みがちに。当時はコロナ禍で、さらに私は40歳と高齢出産だったこともあり不安が多く、極力人に伝えるつもりはありませんでした。
しかし、私が仕事を頻繁に休むことから、なにかに勘づいたAは、こともあろうにオフィスのど真ん中で「最近お仕事よく休んでらっしゃるけど、もしかして妊娠したんですかぁ?」「40代になっても、ご夫婦で仲よしなんですね♡」と大きな声で私に聞いたのです。一斉に社内の視線を浴び、思わぬ形で安定期に入る前に妊娠が知れ渡ってしまったことに困惑する私。
するといつもはAの失礼な話をじょうずに交わしているB先輩がAに対して「あなた、いい加減にしなさいよ! 前から失礼なことを言うなぁとは思っていたけど、これだけは許せない! 妊娠・出産はとても個人的でデリケートな話なの。それを本人の許可なしに大勢の前で言うなんて、デリカシーがなさすぎる! わかっていても知らないふりをすることも大人の世界では大事なことなのよ!」と一喝してくれたのです。
すると、いつもAをかわいがっている男性上司は、「そんなことで怒らなくてもいいじゃないか。たしかに俺も気になってたんだよ」とAをかばうように会話に割り込んできました。しかし、それに対してもB先輩は「そんなこと? 今の時代、男性が女性に妊娠したのか? なんて聞いたらセクハラですよ!」とこちらも一喝。Aは普段は笑って流してくれるB先輩からそんなに叱られるとは思っていなかったようですっかり落ち込み、「あなたの気持ちを理解しようともせずにごめんなさい」と私に謝罪してくれました。
その後、B先輩にお礼を言いに行くと、「あんまり不安に思わないでほしいんだけど、私ね、昔、初期の流産をしたことがあってね。そのとき上司にしか言ってなかったんだけど、つわりで休んでたら妊娠が周りに噂されちゃって、流産したってことを周りに報告しなきゃいけないのが、ものすごくつらかったの。だからAのああいう発言、本当に許せなくて」と、Aを叱った理由をこっそり教えてくれました。
その後、無事に長男を出産するまで、Aは私に不必要に絡んでくることはありませんでした。へたに絡んで失礼なことを言ってしまわないよう、彼なりに気をつかってくれたのでしょう。
相手を下げるような発言やプライベートなところに突っ込んだ話題は、冗談であれど聞いていていい気はしません。また、妊娠や出産に関する話題は、とてもデリケートなもの。不必要にはやし立てたり、むやみやたらに詮索したりすることは、相手や聞いている周りの人を追いつめてしまう可能性があると身をもって実感しました。これからも、相手の気持ちや周りで聞いている人の気持ちもしっかり考えて発言しなければならないな、と改めて思ったのでした。
著者:竹内美月/40代・ライター。車のおもちゃが大好きな4歳の男の子と、歌って踊るのが大好きな1歳の女の子を育てる母。平日はほぼワンオペ育児。何が起こったのかわからないほどのスピードで時間が過ぎていく、ドタバタな毎日を送っている。仕事終わりに夕飯を作りながら飲むハイボールが楽しみ。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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