結婚式は私たちの記念日の前日。籍は、結婚式の翌日の記念日に入れる予定です。
結婚式まで、あと1カ月余り。私は新居や引っ越しの手配も進めたいのですが、ここ最近の彼はどこか気乗りしない様子です。急に仕事が忙しくなったようで、結婚式の準備も私ばかりが進めています。家族だけのささやかな結婚式ではありますが、それでも何かと準備することはあり、彼と相談しながら進めたいのですが……。
仕事だから仕方ないとはいえ、私は少し寂しく感じていました。そこで、来週の彼の誕生日は、2人でゆっくり過ごしたいと思い、プレゼントを用意し、レストランを予約し、私は彼の誕生日を祝う準備を進めたのです。
タイミングが合わず、すれ違う私たち
しかし、彼の誕生日をお祝いすることはできませんでした。風邪をこじらせてしまったと、彼から電話があったのです。結婚式の日ではなかったことはよかったですが、誕生日に寝込むことになるなんてかわいそう……。
私は予約していたレストランをキャンセルし、彼のアパートへお見舞いに行こうとしました。しかし「君にうつしたくないから」と断る彼。結婚式が近い私に負担がかからないようにと気を遣い、彼は友人に薬や飲み物などを頼んだから大丈夫と言いました。
彼の気遣いを無駄にしたくないと思い、私は素直に彼に言われたとおり、お見舞いに行くのをやめることに。それから数日後、彼から体調はだいぶ回復したと連絡がありましたが、休んだ分の仕事が立て込んでいると言われ、会うことができず、私は彼と会って話がしたかったのですが、すれ違いの生活が続き……。
その後もなかなかタイミングが合わず、私たちは会って話す時間を取れないまま、あっという間に時間が経ってしまいました。
そして結婚式の前日、彼から突然連絡が入ったのです。
「明日の結婚式、キャンセルしてくれない?」
「夫をやっていく自信がない……」
自分は私にふさわしくない、結婚しないほうがお互いのためだと言い、別れを切り出してきたのです。
結婚式の前日に別れを切り出した彼の言い訳
「もうキャンセルしたよね??」
「は?」
私からの返信に驚く彼でしたが、私たちが顔を合わせていない、この1カ月ほどの間に、状況は大きく変わってしまいました。結婚式をキャンセルしたことだって、私はすでに電話で彼に伝えていました。
私はまず「結婚式、いったん延期にしない?」と彼に相談しました。しかし、そのときは取り込み中だったのか「OK OK、君に任せる」と適当に流されてしまい、メッセージを送っても返信は来ず……。
延期を提案して数日、彼から返信はないままでした。その後、キャンセルしたことを電話で伝えたときも「あとでかけ直すから」と言われ、話を適当に流されてしまっていたのです。かけ直すと言われた後も、彼から電話がかかってくることはなかったため、両家両親には私から詳しく事情を説明し、結婚式のキャンセルを伝えました。
結婚の取りやめを悩んだ末、ようやく私に告白したという彼は、私が式をキャンセルしていたことを知り、なぜか私を責め始めました。「電話でも相談したし、メッセージも送っていたよ?」と私が言うと、忙しくて話が頭に入っていなかった、見ていなかったと言い訳する彼。
自分から別れを切り出したにもかかわらず、「別れたいわけじゃなかった。でも、こうするしかなかったんだ」と言う彼に、すでに彼との別れを決意していた私は、「私も同じ考えよ」と伝えました。私の言葉にホッとした様子の彼は、結婚式の費用も想定より多く戻ってくると知り、安堵していました。
彼は、そのお金が自分の手元に戻ってくると思っているようですが、それはあり得ません。なぜなら……。
私が結婚式をキャンセルした理由
彼の誕生日、寝込んでいるはずの彼を、私は街で見かけてしまったのです。例の後輩の女性と腕を組み、楽しそうに歩く姿を見て、思わず立ち尽くしました。彼からいつも話に聞いていて、顔と名前を知っていたので、彼女で間違いありませんでした。
浮気を疑った私は、以前彼に紹介され連絡先を知っていた彼の同僚に連絡を取り、社内での2人の様子を聞いたのです。そして同僚から衝撃の事実を聞かされました。なんと彼は、私とはオープンな関係で浮気も公認し合っている。生活を共にする同居人として結婚という形を取る。恋愛はお互い自由にしていい。などと話していたそう……。
今どきの自分たちらしいスタイル? 私はそんな約束をした覚えはありません。想像もしていなかった展開に気を失うかと思いました。しかし、彼がオープンに浮気をしてくれていたおかげで証拠は簡単に揃いました。事情を知った彼の同僚が協力してくれて、彼の裏アカのスクショを送ってくれたのです。限られた人にしか公開していないという彼の裏アカ。特殊な趣味を楽しむ浮気相手との写真がたくさん載せられていました。
私はその証拠を手に弁護士に相談し、婚約破棄に対する慰謝料請求の準備を進めていたのです。それらのすべてを私が話し終えると、彼は「騙すつもりはなかった……」とうなだれました。「俺の人生、終わりだな」と嘆く彼に、私は「もう二度と私の前に現れないで」と告げ、連絡を断ちました。
その後、私は無事に慰謝料を受け取ることができました。彼がどうなったかは知りませんが、同僚と彼のご両親からの信頼を失ったことは確かです。再スタートを切るにも多少は苦労することでしょう。一方の私は、彼のことは吹っ切って、素敵なパートナーと出会うため婚活を始めました。今では結婚せずに済んでよかったと心から思っています。
◇ ◇ ◇
カップルや夫婦の形は、それぞれ。確かにいろいろなスタイルがあっていいと思いますが、それは2人の合意と信頼があってはじめて成り立つものです。それを利用して、妻となる人を騙した彼。結婚前に彼の本性がわかったことは不幸中の幸いでした。つらい経験でしたが、これを乗り越えて、素敵なパートナーと巡り会えることを願っています。
【取材時期:2025年9月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。