「あの子…」夏が近づき、ざわつき始めた教室
私が高校生だったころ、同じクラスに、時々おしゃべりするくらいの女の子がいました。入学当初から、すれ違うとふわっと独特なにおいがして、「あ、もしかして…」と気付いてはいたのですが、特に気にしないようにしていました。
けれど、季節が夏に近づき、汗ばむ日が増えてくると、教室の中でもそのにおいが少しずつ目立つようになりました。やがてクラスメイトたちも気付き始め、彼女の近くを通るたびに鼻をつまんで笑ったり、陰でコソコソ話したりするようになりました。
そうした様子を見るたびに、私は胸がチクチクと痛みました。誰も本人には何も言わずに笑っているのがつらかったし、それを知らずに笑顔でいる彼女を見るのも、苦しかったんです。彼女自身は、その様子にもにおいにも気付いていないようでした。
本人に伝えるべきか、悩んで…
見ていてとてもつらくて、私は一番仲の良い友人に相談しました。「本人に伝えるべきかな」と。すると友人は、「体臭って、結構深刻なこと。でも、『あなた、ちょっと…』なんて直接言ったら、絶対に傷つけるよね」と悩みながらも、私の気持ちに寄り添ってくれました。
話し合った末、私たちはまず遠回しに伝えてみようと決めました。制汗スプレーや汗拭きシートを何種類か買ってきて、「新しいの出てたよ! みんなで試してみない?」と、その子を含めて数人で使ってみることにしたんです。香りや使い心地の話で盛り上がりながら、私は心の中で「お願い、気付いて。せめて体臭ケアに興味を持って…!」と必死に祈っていました。
「伝えたい」覚悟を決めたトイレの個室
でも、変化はありませんでした。日がたつにつれ、においはますます強くなってしまって……。私はついに覚悟を決めました。嫌われるかもしれない、それでも、彼女がほかのクラスメイトから好奇の目で見られるのはつらく、見て見ぬふりはもうできなかったんです。
放課後、彼女をトイレに呼んで、私はゆっくりと言いました。
「ごめん。こんなこと言ったら、傷つけてしまうかもしれないってわかってる。でも……。Aちゃん、自分じゃ気付きにくいかもしれないけど、ちょっと気になるにおいがするときがあるかも……って思ってて。私もそうだったからわかるし、他の子が気にしてるのも感じてた。だから、どうしても伝えたかったの。本当にごめんね。大きなお世話だったら許して」
彼女は一瞬、何も言わずに私の顔を見つめて、すぐに顔を真っ赤にしてその場を去ってしまいました。
傷つけた…?すると彼女が
あぁ、やっぱり傷つけたんだ……と、私はしばらくその場で立ち尽くしていました。でも、次の日。思いがけず、彼女が私に声をかけてきたんです。
「とりあえず、昨日のシート、試してみたんだけど……どうかな?」
少し恥ずかしそうに、けれど真剣な表情でそう聞かれたとき、胸がいっぱいになりました。たしかに、においはぐっと軽減していました。
私は思わず泣きそうになりながらも、笑顔で言いました。
「すごくいいと思う! 放課後、ドラッグストアに一緒に行って、いろいろ試してみない?」
彼女は少し戸惑いながらも、ふっと笑って「うん」とうなづいてくれました。
まとめ
見て見ぬふりをすることもできたけれど、友人として、気付きにくいことほど伝える勇気も必要だと思いました。その後、彼女が身だしなみに前向きになり、自信を持って変わっていく姿を見て、伝えてよかったと心から思えました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※AI生成画像を使用しています
著者:花田佳穂/40代女性・パート
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
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