知らない親子から冷たい言葉
1歳の娘とのお出かけ帰り。電車に乗り込むと抱っこ紐の中にいるのが疲れたのか、泣き始めてしまいました。「もう少しだから、頑張ろうね」と声をかけながら、空いている席を探して車内を歩いていると、目の前にいた小学校低学年くらいの女の子が、私のほうを見て「うるさいなー」と小声で言ってきたのです。隣に座るその子の母親らしき女性も「そうね、うるさいから次の駅で降りましょ」と、まさかの共感する言葉を発します。
私は、「え?」と耳を疑いました。うるさくしてしまっていることは申し訳ないですが、まさかそんなことを言われるとは思っていなかったので、一瞬で体の力が抜けるような感覚があり、恥ずかしさと申し訳なさ、悔しさが一気に押し寄せてきました。私は「すみません、すみません……」と心の中で何度も唱えながら、なんとか娘をあやそうとしますが、うまくいかず……。ほかの乗客からの視線も怖く感じてしまい、結局、その親子と一緒に次の駅で降りることにしました。
ホームに出ると、少し涼しい風が吹き抜け、その開放感に張りつめていた気持ちがほどけて、涙が出そうな状態に。しかし、涙をこらえながら歩いていると私の後ろから降りてきた年配の女性が、スタスタと私を追い抜き、前を歩く先ほどの母親に向かって、「あなたも子どもを育ててるならわかるでしょ? 子どもが泣くのは当たり前。そんなふうに冷たく言わないであげてよ」と言ってくれたのです。その女性は焦ったのか耳が赤くなり、無言で女の子を引っ張って足早に去っていきました。
すぐ「ありがとうございます」と年配の女性に近づき、頭を下げた私。その女性は「いいのよ。お母さん、頑張ってるわね」とにこっと笑ってくれて、それだけで心がふっと軽くなったのを覚えています。
公共の場では、子どもの泣き声が迷惑になることはよくわかっているつもりでしたが、あからさまな嫌味を言われると、やはりショックも大きいもの。しかし、「わかってくれる人がちゃんといる」と知れたことが、何よりの救いになりました。
子連れの外出は、思うようにいかないことだらけですが、これからもマナーや周囲への気遣いは忘れず、誰かが困っているときに味方になってあげられるような人間でありたいと思った出来事でした。
著者:井島りほ/30代・ライター。3歳の女の子と6歳の男の子を育てるママ。おしゃべりが大好きで寝るのが苦手な兄妹と、にぎやかな毎日を過ごしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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