そんな私にも、心から信頼できるパートナーができました。彼とは2年前から交際しています。過去には妹に「私は今フリーなのに、お姉ちゃんに彼氏がいるのムカつく」というなんとも理不尽な理由で、恋人を奪われたこともありましたが、彼は妹に会っても気持ちが揺らぐことなく、私を大切にしてくれました。
そんな彼から先日、プロポーズを受け、私は喜んで承諾したのです。
心から信頼していた彼の裏切り
しかし私は、彼が少し前から投資に夢中になっているのが気がかりでした。1度目の少額の投資ですぐに利益が出たことがうれしかったのか、どんどんのめり込んでいき、どこか危うさを感じていたのです。
ある日、妹が突然訪ねてきて「お姉ちゃんの婚約者の連絡先を教えて」と要求してきました。もちろん断りましたが、妹は両親を介して彼の職場を突き止め、SNSを見つけ出し、直接連絡を取るように……。
それからというもの、彼はスマホを片時も手放さなくなり、私への態度も徐々に冷たくなっていきました。
そんな日々が数カ月続いたある夜、彼に高級そうな料亭へ連れて行かれた私。案内された個室には、なぜか私の両親と妹が座っていました。私が困惑していると、彼は気まずそうに口を開きました。
「ごめん。君より、妹さんを好きになってしまった。彼女のおなかには、僕の子どもがいるんだ」
あまりの衝撃に言葉を失う私を見て、妹は「私のほうがかわいくてごめんね♡ 彼はお姉ちゃんじゃなくて私を選ぶって♡」とあざ笑います。両親も「子どもができたのだから仕方ないでしょ。孫が楽しみだ」と妹の味方。私は耐えきれず店を飛び出し、唯一の味方である祖母の家へ向かいました。
黙って私の話を聞き、やさしく背中をさすってくれた祖母。いろいろな話をする中で、私が彼の投資の話をすると、祖母は「どんな銘柄か見せてごらん」と言いました。彼が投資しているという会社名を検索して見せると、祖母の目の色が変わったのです。
そして祖母は、ボソッと「なるほどね。そりゃ好都合だ」とつぶやき、「その会社は危ういね。少し前に投資を始めたばかりのお友だちからその会社への投資を相談されて、詳しく見てみたけど……しばらくすれば動きが出るかもしれないよ」と教えてくれました。
結婚式当日に、大逆転
3カ月後、彼と妹の結婚式に招待され、出席することにした私。挙式を終え、多くの招待客に祝福される2人を遠目から眺めていると、妹が私に気づいて声をかけてきます。
「お姉ちゃんの分まで幸せになるね♡」そんな妹の嫌みに続けて、彼が「これからは義理の家族としてよろしくな」と言いました。2人の言葉に頭にきましたが、私は笑顔で「ええ、よろしく。ところで、投資の調子はどう? あなたが投資している会社の良くない噂を聞いたけど……?」と返答。
その言葉に、彼は「何をいきなり」と言いながらスマホを取り出し、株価をチェックしました。そして画面を見たとたん、彼は顔面蒼白に。
「嘘だろ……大暴落してる! ど、どうしよう……損害額いくらになるんだ!?」
慌てふためく彼の横で、妹は絶叫。彼が投資していたのは、ハイリスクな金融商品だったのです。彼は、多額の利益に期待し、自分の貯金をほぼ全額、その商品に投資してしまっていました。
私がこの事実を知っていたのは、長年、投資に詳しい祖母のおかげです。祖母は彼の投資先をひと目見て、その危険性を見抜いていたのです。私が「新婚早々、大変ね」とつぶやくと、妹は泣きながら助けを求めてきました。
しかし、私には妹たちがお金に苦労しようと関係ないので「今日をもって、あなたたちとは家族の縁を切ります」と絶縁を告げ、式場を後にしました。その夜は祖母の家で、ささやかなお祝いに2人ですき焼きを囲みました。
私を傷つけた彼と妹は…
投資による多額の利益を見込んで、高級マンションを借り、高級車の購入契約もしてしまっていた彼と妹。
資産がほぼゼロになってしまった彼は多額の負債を抱えることとなり、思い描いたセレブ生活とは真逆の貧しい生活を送っているそう。妹は妊娠中で働きに出られず、彼は寝る間も惜しんで働き詰めの毎日だと風の噂で聞きました。
一方の私は、穏やかな日々を過ごしています。私にとって唯一、信頼できる相手、心強い味方の祖母とは今も仲良く頻繁に会いに行っています。もし次に誰かと縁があれば、まず最初に祖母に紹介しようと心に決めています。
◇ ◇ ◇
たとえ血がつながっている家族だとしても、信頼と尊重を大切に接していなければ、関係を続けることは難しいでしょう。自分を傷つける存在と潔く縁を切ったことは、正解だったのではないでしょうか。心から信頼できる祖母を大切にして、この先も幸せに過ごしていけるといいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。