祖父母と敷地内同居、そして突然のプロポーズ
祖母は昔からとてもやさしく、周囲から「仏様みたい」と言われるほど穏やかな人です。祖父は少し変わり者ですが、明るく場を和ませてくれる存在。そんな祖父母に花嫁姿を見せることが、私のひそかな夢でした。
30代半ばでの結婚話に、祖父は手放しで喜んでくれましたが、祖母は少し複雑な表情をしていました。「寂しくなるね」と言いながらも、表向きは笑顔を見せてくれたのです。
婚約者からのお金の相談
結婚準備を進めていたある日、A男とカフェでお茶をしていたときのことです。彼が少し言いにくそうに、「実は父が体調を崩して入院してしまった」と話し始めました。治療費などで出費がかさんでしまい、お金が足りないとのこと。そして、「一時的にお金を貸してほしい」とお願いされました。
実は、A男にお金を貸すのは初めてではありません。これまでにも数万円ほど渡したことがありましたが、毎回すぐに返してくれていたので、不安に思ったことはありませんでした。今回も「家族のことだから仕方ないよね」と思い、貸すことにしたのです。
ただ、これからは2人で家庭を築いていく身。「これからは無理に借金する前に、きちんと相談してね」と伝えました。そして、彼の借金は入籍後に計画的に返していくことを約束してくれたのです。
祖母の予想外の反応
数日後、A男が私の両親と祖父母にあいさつに来ることになりました。和やかな雰囲気で自己紹介が始まる……はずでしたが、そのとき祖母が突然、険しい表情で声を上げたのです。
「この人とは……結婚はナシで」
普段は穏やかな祖母が、まるで別人のような厳しい口調。私もA男も驚いて言葉を失いました。祖母はさらに、「あなたのことが心配なの」と私に言い、A男をじっと見つめていました。
A男は明らかに動揺している様子で、額には汗がにじみ、そわそわと落ち着かない様子でした。
祖母が見たもの
実は、祖母には思い当たることがあったのです。以前、祖母が昔勤めていたホテルに顔を出したとき、偶然A男とよく似た人物を見かけたと言います。
そのとき男性は、派手な格好をした女性と客室のチェックイン手続きをしながら誰かと電話をしており、「プロポーズした後に親が病気だって言ったら、簡単に金を引き出せた。マジでラッキー」といった趣旨の会話をしていたそうです。はっきりとした内容まではわからなかったものの、祖母は胸騒ぎを覚え、顔をしっかりと記憶していました。
そのため、私の婚約者としてA男を紹介されたとき、「もしかして、お金が目的で本当は孫と結婚するつもりはないのかも……」と祖母は不安になり、あのような強い言葉を口にしてしまったのでした。
結婚は白紙に…
結局、祖母の目撃談からA男のお金や女性問題にだらしないことが白日の下にさらされ、私は結婚を見直す決断をしました。一時は心を寄せたA男の裏切りに、私はショックを隠せませんでした。
しばらく落ち込んでいましたが、それから数カ月後、祖父母の知り合いの紹介で誠実な男性と出会い、少しずつ心が癒やされていきました。
そして数年後、無事に結婚し、祖父母に花嫁姿を見せるという夢をかなえることができたのです。あのとき、祖母の忠告がなければ得られなかった幸せだと思うと、祖母には感謝してもしきれません。
--------------
婚約者であっても、お金のやりとりには注意が必要だと考えさせられますね。たとえ愛情があっても、冷静に判断する目を持つことが、幸せな結婚への第一歩なのかもしれません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!