オーナーの息子の気になる行動
飲食店でアルバイトをしようと面接に行った私は、その場で採用が決まりました。面接を担当したのは、オーナーの息子で、当時26歳のAさんという方でした。
帰り際に通勤手段をたずねられ、「電車です」と答えると、「時間が合えば車で送るよ」と言われました。初対面の人に送ってもらうことに少し抵抗はあったものの、オーナーの息子という立場もあって、なんとなく断りづらい雰囲気に。私は思わず「ありがとうございます」と承諾してしまいました。
初出勤までの2週間の間に、Aさんからは3回ほど電話がかかってきました。最初は「制服のサイズ確認」という業務的な内容でしたが、次からは「今、何してる?」「趣味は?」といった私的な話題に。
採用されたばかりで悪い印象を持たれたくなかった私は、当たり障りのない返事を心がけ、できるだけ早く電話を切るようにしていました。
「彼氏いたの!?」驚きの反応と急変する態度
初出勤の日、駅に向かっていると「送るって言ったのに全然いないんだもーん」と、Aさんから不満げなメッセージが届きました。約束した記憶はなかったものの、「すみません、もう出発しています」と返して、その場はなんとか切り抜けました。
数日後、勤務中の片付け中に2人きりになったタイミングで、Aさんから「明日、何してるの?」と声をかけられました。特に隠すこともなかったため、「彼氏と映画に行く予定です」と正直に伝えた私。するとAさんは、「彼氏いたの!?」と大声で驚いたのです。
この日を境に、Aさんの態度は一変しました。
これまでの過剰な親切が嘘のようになり、必要最低限の会話しか交わさなくなりました。
ただ、私にとってはむしろそのおかげで気をつかわずにアルバイトに集中できるようになり、結果的にはかえって良かったです。
職場の「噂」にびっくり
しばらくして、同僚から衝撃的な事実を聞かされました。
なんと私は「Aさんの彼女として入社した」と職場で思われていたようなのです。Aさんが「僕の彼女になってくれそうな子が入るよ」と周囲に話していたらしく、彼氏の存在を知って急に興味をなくしたという経緯だそうです。
まさか面接で採用された理由が「彼女候補」だったとは思いもよらず、私は背筋が凍る思いでした。「良い仕事を見つけた!」と思っていたのに、そんな思いは消え失せました。
何も言わないままだったら、彼のアプローチは続いていたかもしれません。そういう意味では、早い段階で「彼氏がいる」と伝えることができて、周囲の誤解も解くことができて良かったのかもしれません。その後は、しばらく働いた後、円満に仕事を辞め、このオーナーの息子とは以降、関わりはありません。仕事とプライベートの線引きの大切さを学んだ、忘れられない社会人経験のひとつとなりました。
著者:佐藤さくら/30代女性・男の子2人を育てるママ。恋に悩み、喜び、涙した数々の経験をしてきたからこそ書けるリアルな恋愛エピソードを執筆している。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートなどで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)
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