子育て中のママがパパに対して不満が多いというのをよく聞きます。全国ひとり親世帯等調査結果報告(※)によると、子育て世代の離婚率は子どもが0~2歳の時が全体の4割弱と最も高いそうです。育児が最も大変な時期にどうして離婚率が高いのでしょうか。子育て中のママのイライラと何か関係があるのでしょうか。今回は、ママのイライラの原因と、おすすめの解消法、パパにお願いしたいことをお伝えします。
ママのイライラの原因は?
育児に不慣れなパパにイライラしたり、忙しくて普段育児参加できないパパがおそるおそる育児をする様子に怒り口調になったりすることは育児中の多くのママたちが経験することでしょう。出産前はこんな感じではなかったのにと夫婦関係がぎくしゃくして、戸惑うパパも少なくありません。これはパパが育児に不慣れなことや育児参加が少ないことが原因でしょうか。実は、出産後にママの脳からたくさん分泌される「オキシトシン」というホルモンが関係しているのです。
オキシトシンは「愛情ホルモン」?
オキシトシンとは脳下垂体から分泌されるホルモンのことです。筋肉を収縮させる作用があるので、出産のときには子宮を収縮させる作用がありますし、産後は乳腺を収縮させて乳汁を分泌させる作用があります。子どもを産んで育てるときには欠かせないホルモンなのです。また、わが子やパパへの愛情を深める「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」ともいわれています。では、なぜ愛情ホルモンであるオキシトシンが、ママのイライラの原因になるのでしょうか。
オキシトシンは快の刺激によって愛情が深まりますが、逆に少しでも不快な刺激が与えられると攻撃性が高まるという働きがあります。この働きはわが子を敵から守ろうとするために母親に備わっていると考えられています。つまり、一番の味方であるべきパパが期待するように協力してくれないことで不快な感情が強くなり、ママの攻撃の対象になっているというわけです。「愛情ホルモン」「絆ホルモン」といわれるオキシトシンがパパに対する攻撃という裏腹な行動を強めているのですね。
パパにお願いしたいこと
では、多忙でなかなか育児を担うことができないパパはママに攻撃されるしかないのでしょうか。パパにも何かできることはあるのでしょうか。
ママは1日中ほとんど慣れない育児やたくさんの家事とでストレスフルな時間を過ごしていますので、ママを労い、向き合って会話をする時間を作りましょう。ただそれだけのことのようですが、パパに、自分の気持ちに寄りそって話を聞いてもらえているということがママのリラックス状態を作り、快の刺激となりオキシトシンが愛情ホルモンとして働くのです。ママがどんなに怒っていたとしてもきちんと向き合って話を聞き、一緒にママの悩みを考えていきましょう。きっと攻撃性のホルモンから愛情ホルモンに変わりますよ。
そして、ママもたまには息抜きをしましょう。パパにお子さんを預けてショッピングをしたり、お友達とお茶をしたり、体を動かすのもいいですね。一時的に「ママ」の時間から離れ、一人の女性としての時間を持つことでリフレッシュし、また日々の育児を頑張れるようになれます。
育児にお休みはなく、日々の生活に追われる中でママの緊張感やストレスはとても大きいものになっています。パパも、ママの大変さを理解して、いつも夫婦で向き合い、寄り添いあい、助けあっていくことが大切ですね。パパにできることは育児を担うことだけではありませんが、たまには「ママのリフレッシュ休暇」を作れるといいですね。
※参考:
厚生労働省HP 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告「ひとり親世帯になった時の末子の年齢」