知らない人から信じられない要求
戦隊ヒーローショーを見るため蛇行方式の列に並んでいると、私たちの隣に息子と同い年くらいの男の子と、3歳くらいの女の子を連れた一家が並びました。「あなたが早く準備しないからじゃん」「何回もしつこいんだよ」と夫婦げんかをしています。私が「朝はどうしてもバタつくよね」と心の中で思っていると、父親のほうが「イライラするから俺ちょっと離れとく」と、急にいなくなったのです。
「大変だな」と思いながら、私が息子にパンを食べさせていると、母親が「都合が悪くなるとすぐ逃げるの腹立つ!」と、ひとりごとを言っていました。その光景に周りの人たちも苦笑い。しばらくすると、女の子が「ねえ、おなかすいた。喉乾いた」と不機嫌になり始めました。
「ちょっと待って」と、母親がイライラしながらリュックを探すと「はぁ……コンビニで買った朝ごはんと飲み物、車に忘れてきた……」と言うのです。「なんでー、待てないよ」と女の子がごね始めます。
すると、いきなり母親が私に「ねぇ、なんかこの子たちが食べられそうなのあります?」と聞いてきたのです。びっくりした私はとっさに「え、ないです」と言いました。母親は「でも、まだその袋にパン入ってますよね」と、勝手に私の持っていたエコバッグを覗き込んできたのです。「なんで知ってるの?」と一瞬驚きましたが、私たちがエコバッグからパンを出し入れしているのを横目に見ていたのでしょう。
私が「これは食べかけなので……。飴かチョコならあるけど」と言うと、「朝から飴とかチョコなんかいらないわ。しかも、あなたのところはちょうど影だけど、こっちは日向でちょっと暑いのよ。そうだ、この子たち食べ物も飲み物もないから場所代わって。体調崩したら大変でしょ」と、さも当たり前のように訳のわからないことを言い出すではありませんか。
カチンときた私は「あなたの旦那さんに連絡すればいいのでは?」と、反論。それを聞いて、横にいた男の子が「パパー! スマホ見てないで、急いで車からごはん持って来てー!」と、大声で叫びました。その目線の先には、木の下でスマホをいじる父親が! どこに行ったのかと思っていた周囲のみんなの注目を浴びています。
「何だよ」と、父親が顔を真っ赤にしながら列に戻ると「ママが車にごはん忘れちゃったってー。ママ、おなかがすいて怒ってる」と男の子は言います。母親も顔を真っ赤にして「違うわよ! あなたたちがおなかすいたって言うから!」と、男の子の発言にたじたじ……。
車にいそいそと戻る父親を見送り、男の子が私に「うちのママたちが、ごめんね~」と大人顔負けの口調で言います。私が「大丈夫だよ。早くパパがごはん持って来てくれるといいね」と言うと、息子にフォローされて恥ずかしくなったのか、母親もしぶしぶ「無茶なこと言ってごめんなさい」と、謝罪してくれました。
子育てをしていると、出発の準備がうまくいかなかったり、忘れ物をしたりというのはあるあるだと思います。しかし、ちょっとしたアクシデントのときこそ、人間性が出やすいものです。感情に任せて周囲に失礼な態度を取ってしまわないよう、日頃から気をつけておこうと思った出来事でした。
著者:福尾ひより/30代・主婦。7歳の息子と夫と3人暮らしの主婦。パートを頑張りながら、趣味のハンドメイドやセルフネイルで息抜きしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)
【Amazonギフト券プレゼント♡】みなさまの体験談を募集しています!
妊娠中や子育て中のエピソードを大募集!「ベビーカレンダー」のニュース記事として配信、公開いたします。体験談を掲載させていただいた方の中から、抽選で毎月5名様に1000円分のAmazonギフト券をプレゼント。何度でも応募可能ですので、奮ってご応募ください♪どうぞよろしくお願いします!
私なら「何で見ず知らずのあなたにそんな事しないといけないんですか?あっち行って下さい!」とはっきり言って、後何を言って来ても無視します。