ミスしても反省しない後輩
資料にコーヒーをこぼされたり、仕事の指示を言った通りにしてくれなかったり……。細かいミスも多く、中途で入社したある女性社員に、私は手を焼いていました。
ただ、ミスがあるのは仕方がないこと。最初は「次は気をつけましょうね」と声をかけていましたが、彼女が反省する様子はまったくナシ。こちらの指摘をめんどくさそうに聞き流し、同じミスを何度も繰り返していました。そんな彼女を、私を含め周囲の同僚たちでフォローしていました。
仕事は終わっていないのに。自分都合で退勤
また、彼女は自分の仕事が終わっていないにもかかわらず、自分都合で早退してしまうことも多くありました。「この作業は、この日までにやってね」と期間に余裕を持たせてお願いしても、締め切りを守ってくれず、結局、私や同僚の誰かが彼女の仕事まで請け負うことになることが多々ありました。
ある日の夕方。「私、今日はもう上がるんで」と帰り支度を始めた彼女。彼女にはこの日、取引先に見積書を送る業務がありました。一応、終わったか確認すると、
「それなんですけど、やってもらっていいですか?」と彼女から驚きのひと言。
は? 何を言っているの??――そう言いたい気持ちをグッとこらえて、「あなたの仕事でしょ? 先方も困ってしまうから今日中にはやってもらわないと」と伝えた私。
すると彼女から「今日は、結婚する相手のご家族との食事会なんです。だからちゃんとヘアセットして、着替えて、お化粧直しもしないといけないんです。婚約者の家族との食事会に行くなと言うんですか?」と言われて……。
彼女が近々結婚することは聞いていましたが、正直、それを引き合いに出されたら……何も言えません。でも、同僚たちみんなそれぞれの都合や予定があり、その都合や予定のために、仕事を自分の中で調整しておこなっているのです。何かわからない点があれば相談してほしかったですし、社会人として「仕事が終わらなかったけれど、予定があるからそれでいい」では困ってしまいます。
ただ、「婚約者の家族との食事会」という大事な用事ですから、行かないわけにはいかないでしょう。結局、私が彼女の仕事を引き受けることにしました。
弟の結婚相手と会えず
実はこの日、私にもとても大事な予定が入っていました。私には弟がいて、このとき弟も近々結婚予定でした。そして、弟が結婚相手を紹介してくれる予定……つまり、私も弟の婚約者との食事会だったのです。
けれど、彼女の仕事を確認すると、まったく手を付けていなかったことがわかりました。時間に余裕を持たせてお願いしたのに……。結局、イチから作業をすることになり、弟の婚約者との食事会には行けなかったのです。
このときは目の前のことにいっぱいいっぱいだったのですが、その後、重大なことが判明。
なんと……弟の婚約者というのが、あの会社の後輩女性だったのです。
どうしてわかったのかというと、私が行けなかった食事会の写真を弟が送ってくれたから。写真には、弟と私の家族と、あの後輩女性が、きれいにおめかしした姿で写っていました。
そのことがわかった瞬間は、愕然としました。会社で手を焼いている女性が、私の義妹になるということ……?と。ただ、弟が選んだ相手に何か言うのも……と私の中ではとても複雑でした。
あっさり婚約破棄の真相
ずっとモヤモヤしながらも、どうしたらいいのかわからず、仕事ではいつものように彼女と接していました。彼女は、結婚する男性の姉が私だということは知らない様子でした。
それからしばらく経ったある日。弟から電話がありました。声のトーンが沈んでいて、「結婚はナシにした」とひと言。
驚いて理由を尋ねると、弟は少し間を置いて、「前々から彼女の自己中心的な発言でよくケンカになっていたこと」「彼女の家族とのあいさつの場であった食事が、実はセッティングされていなかったこと」……などを明かしてくれました。
弟的に、もともと違和感を抱いていたようでしたが、交際期間が長かったことで自然と結婚の方向で動いていたとのこと。ただ、やはり今後の夫婦生活を考えられなくなってしまったと口にしていました。
そのことを聞き、私は意を決して「実は、その彼女は会社の後輩」であることを伝え、これまでの職場でのことを正直に話しました。ミスをしても謝らず、同僚の仕事を押しつけていて……ということを。弟は黙って聞いていましたが、静かに「そういうことか……」とつぶやきました。
数日後、彼女は私が「彼の姉」だと知ったよう。彼女からの「気まずい」という雰囲気を感じるようになりました。よそよそしい感じになり、以前よりは業務を放り出すことも減った……と思っていた際、彼女が別部署への異動希望を出していると人事部から聞きました。彼女としてもやりにくいと思っていたのでしょう。その後、彼女は別部署へ異動に。人の誠実さは、結局自分に返ってくる。そう感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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