そんな私を見て、義母は「やっぱりあなたに問題があるのよ」と決めつけてきます。「役立たずの不妊の嫁」と暴言を吐かれ、夫にもいろいろと吹き込み、今では夫も不妊は私のせいだと思い込んでいます。
先日は「嫁の役割もまともに果たせないのか」と夫に言われ、本当にショックでした。結婚当初は、そんなことを言う人ではなかったのに……。
義母に離婚を迫られて…
ついに義母は我慢の限界に達したようで、ある日突然、私に離婚を迫ってきました。
「不妊嫁のせいで孫の顔が見られないなんてイヤ」
「息子と離婚してあげて」
子どもを産めない私に用はないから出て行けと言う義母。離婚には夫も了承していると言われました。こんな生活、私だってもう限界……。
「いいですよ! 1人で育てますので!」
義母に出て行けと言われ、素直に従うことにした私。しかし、ちょうど妊娠がわかったタイミングでした。飛び跳ねたいほどうれしかったのですが、同時にこのまま義母と夫と子どもを育てることに疑問を感じていたのです。
きっと義母からは必要以上に育児に干渉され、教育にも義母の考えを強要されるだろう……それに義母の言いなりの夫も助けてはくれない。この子の幸せを守るためにはどうすべきかと考えた結果、ひとりで育てようとすでに決意していました。もう実家の両親に出戻る了承も得ていて、あとは離婚を切り出すだけだったので、義母のほうから離婚を迫られ、むしろ好都合でした。
「え?」
私の言葉を受け、どういうことかと慌てる義母。私が妊娠したと知り、離婚話を取り消そうとしてきました。そして今度は、あの手この手で離婚させまいとするのですから、ふざけた話です。
実家に戻ると話すと、「身重の娘が急に帰ってきたら、あなたのご両親も戸惑うでしょう?」と、気遣うフリまでしてきました。しかし、お気遣いは不要。孫の催促と嫁いびりで疲れたと相談したら、すぐに帰ってこいと両親は言ってくれたのです。
それを聞いた義母は、「嫁いびりですって? ただ妊活に協力しただけよ!」と声を荒げました。あれだけ毎日のように夫とともに私を罵倒し、追い詰めてきたというのに、聞いてあきれます。
歩み寄らない私の態度に業を煮やした義母は、「あっそう! じゃあもういいわよ! どこにでも行け!」とブチギレ。「すぐに新しい奥さんをもらうから、あんたの子なんかいらないわよ。あんたの血を引く子なんてかわいがれないものね」と、義母は最後にここぞとばかりに嫌みを連発。何も言い返す気になれず、私は家を出ました。
無事に出産し、穏やかに過ごしていると…
実家に戻った私は、さっそく弁護士に相談。夫とは後々、親権や面会のことで争わないように、養育費は求めない旨などを記した合意書を交わし、離婚しました。
その後、両親に支えられながら穏やかな妊婦生活を経て、無事に娘を出産した私。両親だけでなく、近所に住む親戚まで総出で娘をかわいがってくれています。
そんなある日、元義母が突然実家に電話をかけてきました。スマホの連絡先は離婚の際にブロックしていたので実家へ連絡してきたのでしょう。登録されていない番号だったため、誰だろうと思いながら私が電話に出ると、聞き覚えのある声に思わずゾッとしました。電話口の声で元義母も私だとわかったのか、開口一番に「息子と復縁しない?」と……。
聞くと元夫、離婚してすぐに病気が発覚し、その影響で子どもを授かれない体になってしまったのだとか。今さらそんな身の上話をされても、私にはもう関係ありません。そう伝えると、「1度は夫婦だった相手なのに同情しないのか」と逆ギレされました。
そして、「孫を抱くのが私の夢なのよ。子どもを授かれないのに新しい嫁をもらっても仕方ない。こうなったら、あなたしか私たちを助けられる人はいないでしょう?」と言ってきたのです。
過去の私への態度を謝るでもなく、自分の都合を押し付けてくる元義母。私の子なんていらない、かわいがれないと言っていたのに、「すべてなかったことにして、戻ってきてちょうだいよ。お願い、孫を返してちょうだい」と言われました。交わした合意書のことを忘れたのでしょうか。私はすべてをお断りし、実家へももう連絡しないでほしいと告げ、電話を切りました。
もう会わないって決めましたよね?
金輪際会わないと決まったあの日、元義母も承知の上で、元夫はこの子とは一切関わらないと、合意書にサインしたのです。それを今さら……。
病気でつらい思いをしている人を悪く言いたくはないですが、さすがに同情する気持ちになれませんでした。もちろん、あの家に戻る気にもなれません。
あの連絡以降、元義母からは何度か電話がかかってきましたが、母が私に代わってビシッと言ってくれました。これ以上しつこくするなら法的手段に出ると伝えたことで、連絡がくることはなくなりました。
今、私たち親子は、周りの人たちのおかげでとても幸せに暮らしています。思いやりを持って私たちに接してくれる、家族や親戚、ご近所さん。そんな温かい周りの人たちを大切にして、これからも娘の幸せのために母として尽くしたいと思います。
◇ ◇ ◇
「いらない」と言ったのに、状況が変わって「返せ」と迫る元義母。身勝手なうえに、孫をモノとして扱うような言葉。わが子の幸せを第一に考えて離れたのは、すばらしい決断だったのではないでしょうか。ひどい元夫や元義母から守った娘さんが、温かい人々の中で幸せにあふれ、すくすく成長することを心から願っています。
【取材時期:2025年9月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。