「義姉の結婚式はいつですか?」尋ねたところ…
私は笑顔で受け止めながらも、「私と結婚したのが失敗だと言うんですか。夫とは仲良しですよ」と冗談めかして返しました。すると義母は「育ち」の話を持ち出し、母子家庭であることや学歴がないことを理由に、私と夫の相性が良いことまで「勘違い」だと否定してきました。
それでも私は、夫のことを最高のパートナーだと思っています。そして何より、おなかには新しい命が宿っていました。話の流れで、義姉の結婚式が5月の最終週だと聞き、私の出産予定日が5月27日だと伝えると、義母は「なんてタイミングが悪いの」「娘の最高のイベントに出産を重ねるなんて」と、まるで私が意図的に重ねたかのように責め立てました。
私は迷惑をかけたくない一心で「欠席したほうがよさそうですね」と尋ねましたが、義母は「結婚式には絶対に出席しなさい!」「出産は式が終わってからにしなさい」と言い、最後は根性論で押し切ろうとしました。その乱暴な言葉に、私は笑顔を保ちながらも、心の奥が冷えていくのを感じていました。
結婚式と出産が重なったことで、義母から…
それから5カ月後。結婚式当日の明け方、陣痛のような痛みが続きました。前駆陣痛かもしれないと思い、自宅で安静にすることを選択。私は欠席すると伝えていましたが、夫は予定通り結婚式へ向かいました。そんな中、義母からは「這ってでも来なさい!」と、理解に苦しむ電話がかかってきて……。
さらに、「どうして娘の結婚式に出産が重なるように妊娠するの」「誰も喜ばない」「生まれてこなければいい」とまで言われた瞬間、私の中で何かがプツンと切れました。怒鳴り返すのではなく、静かに、けれどはっきりと、「この子の誕生を心待ちにしている人はたくさんいます。お義姉さんも、早く姪っ子を抱っこしたいと言ってくれました」と告げました。
しかし義母は、それすら「お世辞」だと笑い、私の遺伝子が入っているからかわいくないと言い出しました。私にとって今、最優先なのは目の前の命を無事に迎えることです。義母の話はとりあえず「はい、はい、すみません」と聞き流し、電話を切りました。
出産後、義母から送られてきたものは…
結婚式があった夜、私は無事に女の子を出産しました。出産を終えたばかりの私に、義母は開口一番、「息子と離婚しなさい。命令よ」と言ってきました。その理由は「娘の結婚式を欠席したから」「嫁失格」「あなたはもう家族じゃない」という、あまりにも短絡的なものでした。
離婚届まで送りつけ、「あんたに拒否権はない」と言い放つ姿に、私は悲しさよりも先に呆れがこみ上げてきました。そして「離婚なんてしません。絶対にです」と伝えたうえで、これまで浴びせられてきた数々の侮辱や、生まれたばかりの子をおとしめる言葉を思い返し、初めて真正面から義母と向き合う決意をしました。
自分が正しいと信じて疑わず、相手を格下と決めつけて圧をかけるような人に、「育ち」を語る資格はないと伝えると……義母は怒号をあげましたが、私はそのまま電話を切りました。
私と義母のやりとりを聞いた義姉が動いた…!
私はこれまで義母との間で起きた一連のやり取りを、夫に伝えました。するとその夜、義姉が実家を訪ねたそうです。そして義母を真正面から問い詰めてくれました。私が結婚式を欠席したのは出産と重なったから仕方のないこと、私自身が夫に結婚式のほうへ行くよう勧めていたことまで、義姉は理解してくれていました。それでも義母は「嫁の出産より結婚式が大事なのは当たり前」と言い切り、「あの女と子どもの命は重要じゃない」とまで口にしたそうです。
その瞬間、義姉の声色が変わり、「母さんはどうしてそこまで息子の嫁を嫌うの」と問いかけたうえで、衝撃の事実を明かしました。義姉自身も、弟である夫も、義母の知らないところで、塾や学校をサボるほど精神的に追い詰められていた時期があったというのです。姉弟で協力し合い、義母に気づかれないようにしていたとのこと。
表面的な成績や評判ばかりを気にして、家庭の中で子どもたちが心から笑える場所を作れなかった母親としての責任を、義姉は静かに突きつけました。「息子の嫁を切り離すなら、私たちとも他人になろう」――その言葉に、義母は初めて言葉を失ったようでした。
義母から「許してほしい」と連絡が…その末路は
しばらくして、義母から突然、謝罪の連絡が入りました。娘とも息子とも連絡が取れず、私から「一度話しましょう」と言ってもらえないかと、すがるような内容でした。けれど私は、もう「都合のいいときだけ家族」という関係には戻れないと感じていました。私は淡々と、夫は義母と縁を切るつもりでいること、義姉も同じ考えだということを伝えました。
義母はこれまでの言動を反省していると口にし、許しを求めてきました。そこで私は初めて、このやり取りを夫と義姉も一緒に見ていることを打ち明けました。ふたりは「毒親と距離を置く、いい機会だ」と言い、特に赤ちゃんに向けられた言葉は、どれほど謝られても無かったことにはできないと断じました。その思いは、私も同じでした。
後日、義母は親戚に泣きつき、子どもたちを説得してもらおうとしたそうですが、過去の言動や異常な支配ぶりは親戚にも理解されており、味方は現れませんでした。孤立した義母は引きこもりがちになり、ほそぼそと暮らしていると聞いています。
一方で私たちは、夫婦として、そして家族として、穏やかな日々を送っています。義姉夫婦とも仲良くしており、「自分の子どもには同じ思いをさせない」と話し合いました。嫁だからといって傷つけていい理由にはならない――その当たり前を、今度は私たちが次の世代へと手渡していく番なのだと思っています。
◇ ◇ ◇
家族であっても、人格や命を否定する言葉は許されません。自分と家族を守るためにも、必要であれば距離を置く決断をして、安心して笑える家庭を築いていきたいですね。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。