「順風満帆な人生を過ごしてきた」という母えみこ。しかし、彼女には1つだけ後悔していることが…。それは、若いころに好きなファッションを楽しめなかったということ。憧れるファッションには、母がいい顔をしなかったからです。だからこそ、えみこは、娘が生まれたとき「子どもがやってみたいことは全部応援する」と誓ったのです。
「女の子だから、ダメなの?」

















ある日、保育園のお友だちが見ているアニメを見てみたいと言い出したゆうちゃん。そのアニメに登場する「炎太郎」がドはまりして、登場回を繰り返し見たり、セリフを真似したり、ぬいぐるみをかわいがったり。そして保育園では、ごっこ遊びを楽しんでいました。
しかし、ある日お迎えに行くと、出てきたゆうちゃんが泣いています。聞けば「女の子は炎太郎になれないの? ゆうちゃんは女の子だから、炎太郎役をやっちゃダメって言われた」とのこと。これを聞いた母えみこは「好きなキャラクターの役をするのに、男の子も女の子も関係ない」「女の子が炎太郎役をしてもいい! 先生にも話しておくね!」とゆうちゃんに伝えると、保育園に相談。その後、ゆうちゃんは無事に炎太郎役でごっこ遊びを再び楽しめるようになったのでした。
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5歳くらいになると、男の子・女の子という区別が自分でもちゃんと認識できてきますね。環境にもよりますが、服装や遊びなど「男の子はこんな感じ」「女の子はこんな感じ」というイメージを感じてくるころでもあります。
その影響があって、お友だちは「炎太郎=男の子」という認識が強く、「女の子だからやっちゃダメ」と言ったのでしょうか。もしかしたら、その子も炎太郎が大好きで、自分も炎太郎役をやってみたかった、などの理由もあるのかもしれません。
ただ、ゆうちゃんからすると「性別によって、憧れのキャラクターのごっこ遊びを否定された」と受け止めてしまうので、ちょっとゆうちゃんがかわいそうですね。母えみこも、ジェンダーフリーの考え方が進んできた現代に生きる女性として、この発言が許せなかったのかもしれません。
あくまでも「ごっこ遊び」ではありますが、保育園の理解も得られて、またゆうちゃんが炎太郎役で遊べるようになってよかったですね。
山野しらす