妊娠中、昆布の1日に食べていい量はどれぐらい?食べすぎには要注意?

2019/07/28 12:30
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この記事では妊娠中の昆布について、医師監修のもと解説します。昆布、わかめ、ひじき、のりなどの海藻類には、ヨウ素がたくさん含まれています。妊娠中にヨウ素を過剰摂取すると、それが赤ちゃんの体内にたまり、胎児に甲状腺機能低下症を引き起こしてしまう可能性があります。

昆布のイメージ

 

海藻類の中でもだしをとるなど、和食に広く使われる昆布は、日本人の食生活に欠かせないものの1つです。ミネラルや食物繊維が豊富に含まれているため、健康食品としても人気があります。また、「よろこぶ」に通じるとして、昔から縁起物としても重宝されてきました。しかし、妊婦さんは昆布を食べ過ぎないよう注意する必要があります。その理由と対策についてまとめました。

 

妊娠中の昆布の摂取について。食べ過ぎに注意しなければいけない理由は?

昆布、わかめ、ひじき、のりなどの海藻類には、ヨウ素がたくさん含まれています。ヨウ素は食品中に存在するミネラルで、体内で甲状腺ホルモンを合成するために欠かせないものです。甲状腺ホルモンには、体の発育や新陳代謝を促進させるという重要な役割があり、妊娠中は胎児の骨や脳の発育のためにも欠かせません。妊娠中にヨウ素が不足してしまうと、最悪の場合は流産や死産といった結果を招いてしまうこともあります。

 

しかし、日本人は日常的にヨウ素を摂取しているため、平均的な食生活をしていれば不足することはほとんどありません。妊婦さんが注意しなくてはいけないのは、栄養素が足りないことではなく摂り過ぎることなのです。妊娠中にヨウ素を過剰摂取すると、それが赤ちゃんの体内にたまり、胎児に甲状腺機能低下症を引き起こしてしまう可能性があります。

 

甲状腺機能低下症とは、脳神経などの発達に必要不可欠な甲状腺ホルモンの分泌量が、不足してしまう病気です。甲状腺機能低下症は適切な投薬によって治療することができますが、病気の発見が遅れてしまうと、赤ちゃんの体や精神の発達に支障をきたすおそれがあります。こういった病気のリスクを回避するために、ヨウ素の摂取量に注意する必要があるのです。

 

1日にどれだけの昆布を摂取できる? 

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」(2015年版)には、必要なヨウ素の量が掲載されています。これによると、18歳以上の女性は1日で130μgを摂取することが推奨されています。この数値は、標準的な日本人の食生活をしていればめったに下回ることはありません。

 

ただし、妊婦の場合は1日あたりの摂取推奨量が240μgで、かつ上限量は2,000μgという基準が設けられています。昆布に含まれているヨウ素は、100gあたり230,000μgです。昆布に関していえば、1g摂取するだけで2,300μgのヨウ素を摂取することになるわけです。さらに、昆布はだしの材料としてもよく使われますが、ヨウ素はだしにも溶け出します。昆布に含まれているヨウ素のうち、約80%以上がだしに溶け出しているというデータもあります。

 

ヨウ素を摂り過ぎないために、まずヨウ素をたくさん含む食品について知っておきましょう。昆布のみを避けていればいいわけではありません。ヨウ素の多い代表的な食べ物は海藻類です。以下に示しているのはそれぞれ100gあたりに含まれるヨウ素の量です。

 

・干しひじき45,000μg
・カットわかめ8,500μg
・焼きのり2,100μg


ヨウ素を含む食品とその食べ方で気を付けたいことは?

ヨウ素を含む食品はほかにもあります。まずは海産物です。たらやまぐろ、さば、いわしといった魚、かにやえびなどの甲殻類、アワビなどの貝類が挙げられます。肉類ではレバー、ホルモンなどの内臓部分にヨウ素が多く含まれているため注意が必要です。さらに、市販の複合調味料やインスタント食品などの加工食品にも、昆布だしや昆布エキスが使われているものが多いため、使う前に表示をよく確認する必要があります。

 

飲み物にも昆布エキスが入っているものがあります。食品以外で注意したいのは、マルチビタミンやミネラルのサプリメントです。こういったサプリメントには、ミネラルの1種としてヨウ素が含まれているものがたいへん多いので、飲む前に栄養素に関する表記を確認する必要があります。

 

ヨウ素を摂り過ぎないために気をつけたいのは、まず、昆布の佃煮や昆布巻き、とろろ昆布など、昆布そのものを食べる食品は、食べ過ぎに注意することです。多くの塩分を使用し調理するものも多いため、少量で抑えておきましょう。

 

さらに、だしをとる際には、昆布以外でもしいたけやかつおぶしなどを使うこともできます。どうしても昆布だしを使いたいときは、だしのみで、昆布そのものは摂取しないなどの工夫が必要になってきます。

 

また、大豆食品はヨウ素の過剰摂取による悪い影響を防ぐ働きがあるともいわれており、ヨウ素を多く含む食品を食べるときには同時に大豆食品も摂取するとよいでしょう。普段から昆布だしを使った和食が中心という人や、日常的に海藻を食べているという人は、食生活を変える必要を感じるかもしれません。しかし、日本人が1日に摂取するヨウ素は平均で1,500μgというデータもあります。少し注意することで、上限量を超えずにじょうずに摂取することができるのではないでしょうか。

 

まとめ

ヨウ素は、人が体内で甲状腺ホルモンを合成するために欠かせないものであると同時に、過剰摂取することも防がなくてはいけないものです。とくに、胎児が影響を受けやすい妊娠12〜20週の時期には、摂取上限量に注意する必要があります。しかし、ヨウ素の過剰摂取に気をつかうあまり、必要な量を下回ってしまっては流産や死産のリスクが高まってしまいます。バランスのいい食事を心がけながら、摂り過ぎに注意をして、昆布やヨウ素ともじょうずにつきあっていきましょう。

 

監修者

医師 太田 篤之 先生

産婦人科 | おおたレディースクリニック院長


順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。


経歴

■主な経歴

平成12年3月 順天堂大学医学部 卒業

平成12年5月 医師国家試験合格

平成12年5月 順天堂大学附属順天堂医院において臨床研修

平成13年10月 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科移動

平成14年4月 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科助手

平成14年10月 順天堂大学産婦人科学講座 助手

平成15年4月 順天堂大学大学院医学研究科 産婦人科学専攻課程入学

平成17年10月 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医

平成18年10月 越谷市立病院産婦人科勤務

平成19年3月 順天堂大学にて医学博士の学位授与

平成20年4月 順天堂大学附属順天堂医院産婦人科助教

平成21年10月 順天堂大学附属静岡病院勤務

平成22年1月 順天堂大学附属静岡病院総合周産期センター准教授

平成23年1月 順天堂大学産婦人科非常勤講師

平成24年8月 おおたレディースクリニック院長就



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