「帰宅が遅くなる」という夫。最近は休日も…
夫から「今日は遅くなる」とメッセージが届きました。しばらく残業はないと聞いていましたが、新しい案件を任され、当分忙しくなるとのこと。まだ餃子は焼いていなかったので「冷凍して休みの日に一緒に食べよう」と提案しましたが、次の休みも出勤になると言い……。私は「わかりました。じゃあ私が毎日少しずつ食べていきます」と折り合いをつけました。
先週の土日も接待ゴルフで、「男はそういう付き合いも必要で、出世にも関わる」とのこと。上司に気に入られたいという思いもあるようです。私は「そろそろ子どもがほしい」と考えていますが、なかなかゆっくり話す時間が取れません。それでも、夫が仕事を頑張ってくれていることに感謝し、「疲れたらしっかり休んでね」と伝えました。
共有口座に夫の入金がない…そのワケは
1カ月ほど経ったある日、私が夫に「今ちょっといい?」と連絡すると、短く「なに?」とだけ返ってきました。生活費を項目ごとに分けて整理していたところ、夫婦で共有している生活費の口座に、夫の給料が振り込まれていないことに気づいたのです。入金を忘れているのだろうと思い確認すると、夫は「忘れていない。入れていないだけだ」と言いました。そして、「しばらくの生活費はお前に持ってほしい」と告げてきたのです。
理由を尋ねると、「お前のほうが高給だから」と言われました。たしかに私のほうが少し多いかもしれませんが、納得がいかず理由を問うと、「将来のために投資をしたい」とのこと。投資自体は悪いことではありませんが、何に投資するのかを聞いても「いろいろ」としか答えません。数カ月後に資産が増えていればそれでよく、それまでは言いたくないというのです。
私は「私たちは夫婦なのだから、お金の管理はきちんとすべき」と伝えました。すると夫は「無駄遣いではなく将来のためだ」と強調。少なくとも、何に投資しているのかくらいは教えてほしい、自分の小遣いの範囲なら口出しはしないが、給料のすべてをつぎ込むのは納得できないと伝えました。ところが夫は「自分が稼いだ金だから好きに使わせてほしい」と突っぱねます。「そうなると、私の給料は生活費として消えるだけになる」と指摘すると、「小遣いは引いていい。余りを生活費に回せばいい。数カ月くらいならいいだろ」と返されました。
さらに夫は、「頑張っているのにガミガミ言われたくない」と吐き捨てるように言い、続けて「仕事しか取り柄のない“おばさん”のくせに」と暴言を吐いたのです。私は思わず言葉を失いました。さらに夫は、「子どもが欲しいなら努力が必要だ。鏡を見ろ!」と畳みかけ、「俺に指図する前に自分を見直せ」など立て続けに言ってきました。私は「ずっとそんなふうに思っていたの?」と尋ねると、彼は「自覚がなかったのか」と冷笑。私は「もういい、わかった」とだけ言って電話を切りました。
「話したいことがある」と夫に伝えた夜…
数週間後の夜、私は意を決して夫に「近いうちに早く帰れる日はない?」と連絡しました。どうしても直接会って話したい大事な用件があったからです。ところが返ってきたのは、そっけない「ない」のひと言。大事な話だと重ねて伝えると、「LINEに送っておいて。あとで見るから」と取り合ってくれません。続けて「こっちも報告がある」と含みを持たせるので、内容を促すと、もったいぶるように「まだ確定じゃないけど、どうしようかな~」とからかうような調子で言いました。
そして彼は「ギャーギャー騒がないと約束してくれ」と前置きし、「お前みたいな“おばさん”と子どもを作りたくない。悪いけど離婚してくれ」と言い放ちました。私は胸の奥がひやりと冷えるのを感じながらも、深呼吸をして「離婚ね。いいけど、後悔しないでね」とだけ答えました。彼は「負け惜しみだ」と嘲笑しましたが、私は感情を押し流されないように努めました。実は、私が話したかった大事な用件も離婚についてだったのです。だから「私の話も離婚のこと。ちょうどよかったわ」と伝えました。
彼はなおも侮辱的な言葉を重ねましたが、私はそれ以上挑発に乗りませんでした。「離婚届を用意しておくから、サインだけしに帰ってきて」と淡々と告げると、彼は「今日書きに帰る」と即答。私は思わず、「こういうときは帰ってくるの早いのね。仕事が忙しいんじゃなかったの?」と皮肉がこぼれました。彼は「すがられても困る」と言うので、「絶対にすがることはないから、安心して」とだけ返しました。最後に彼は「もっと素直ならかわいげがあったのに。結婚は間違いだった」と言い捨てました。
通話を切ったあと、私は静かにテーブルに離婚関連の書類を揃えました。侮辱の言葉は胸に刺さりましたが、私の中ではすでに答えが出ています。自分を守り、これからの生活を整える――そのための第一歩を踏み出すのだと心に刻みました。
離婚成立後、元夫から突然の連絡が!?
離婚の手続きが終わり、しばらくしたある日のこと。元夫から「今なにしてる?今日は家にいるよな?」と連絡がありました。私はすぐに、「どんなご用件ですか。離婚の手続きはすべて終わりましたし、もう二度と私に連絡しないと言っていましたよね」と返しました。
すると彼は、小さく「ごめん……」とだけ。唐突な謝罪に戸惑っていると、彼は「間違えていた。直接謝りたい。新しい家はどこ?これから向かうから住所を教えてくれ」と続けました。私は「来ないでください。新居を教えるつもりはありません」とはっきり断りました。
それでも彼は「家じゃなくていい、最寄り駅でも」と食い下がってきましたが、私は「もう終わったことなので謝罪は必要ありません。恨んでいないとは言えませんが、私の中ではもう終わったことです」と伝えました。それでも彼は「よくない、たくさん傷つけた」と言い、私が「傷つけている自覚はあったのね」と問い返すと、言い訳のように「当時はどうかしていた。君のために頑張らなきゃと必死で、わかってもらえなくて腹が立って……仕事が忙しすぎてパンクしていた」と続けました。
彼は「忙しくても“おばさん”なんて言ってはいけなかった」と口にしましたが、私は淡々と「本心だったのでしょう?若くてきれいな女性があなたに結婚をほのめかしていたのだから、私に“おばさん”と言いたくもなったのでしょう」と返しました。彼は動揺し、「何のことだ?」と取り繕いましたが、私ははっきりと「あなたは不倫していましたよね」と告げました。
彼は慌てて否定し、「君や将来の子どものために頑張っていただけだ」と主張しましたが、私はもう嘘に付き合うつもりはありませんでした。「知っているんです。あなたが不倫相手に投資話を持ちかけられていたことを。しかも色仕掛けでしたよね」と伝えると、彼は言葉を失いました。突然の“将来のための投資”発言、説明を拒む様子、そして帰宅が遅くなり急に冷たくなった態度……不審に思った私は、可能な範囲で調べていたのです。
「やり直したい」という元夫。私が下した決断は
彼は「離婚のときには何も言わなかったのに」と弱々しく言いました。私は「ええ。だってその相手と結婚することはないと思ったから。騙されていたんでしょう?」と答えると、彼は一瞬逆上し、「知っていたのか?なんで止めてくれなかったんだ!」と声を荒らげました。私は淡々と、「私は止めましたよね? 相手に逃げられて、私に頼ろうとしているだけでしょう。借金までしたのですか」と尋ねると、彼は「少しだけ……」と白状しました。
「本当に愚かですね」と私が言うと、彼は急にしおれ、「一気に目が覚めた。何をしていたのか、なぜ離婚なんてしたのか……本当にごめん」と繰り返しました。「気づくのが遅すぎます」とだけ告げると、彼は「知っていたなら言ってくれてもよかったじゃないか」と責任転嫁を始めました。私は「“詐欺かもしれない”とは思っていました。でもあなたにとっては不倫相手の言葉のほうが真実だったのでしょう。私が忠告しても“おばさんの僻み”だとしか思わなかったはず」と伝えました。
彼は「君が話してくれたら離婚はしなかった」となおも未練を口にしましたが、私は「いいえ、あなたは私よりその相手に本気でした。そんな人と結婚生活を続けたいとは思いません」と言い切りました。彼は「やり直したい」と懇願し、「いきなり再婚でなくていい、一から付き合い直してほしい」とまで言いましたが、私の答えは変わりません。「いい加減にしてください。私を侮辱し、不倫をした人と“付き合う”ことすらありません。借金はひとりで返してください」と告げ、通話を終えました。
元夫とのやり取りの直後、私は彼の連絡先をすべてブロックしました。数年ぶりのひとり暮らしにはまだ慣れませんが、少しずつでも前を向き、また新しい幸せをひとつずつ見つけていきたいと考えています。
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浮き足立っているときは、他人の忠告に耳を貸さなくなりがちですよね。そんなときでも、冷静さを保ち、支えてくれる人の存在に目を向けられるかどうかが、その後の人生を左右するのかもしれません。感謝と謙虚さを忘れずに過ごしたいですね。
【取材時期:2025年10月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。