【医師監修】赤ちゃんの頭の形がいびつの場合はどうしたらいい?

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

 

赤ちゃん頭の形イメージ

 

赤ちゃんの頭蓋骨は生まれてからも脳を成長させるためいくつかのパーツにわかれています。この頭蓋骨のパーツが通常よりも早くくっついたり、あるいはパーツが分かれているため重力の影響を受けて変形したりすることがあります。今回は赤ちゃんの頭の形について解説します。

 

 

生まれたばかりの赤ちゃんの頭の状態

生まれたての赤ちゃんの頭蓋骨は前頭骨・頭頂骨・後頭骨・側頭骨などのパーツに分かれています。これは出産のときに頭を変形させて出てくるために役立ちますし、出産後に脳が大きく成長するためにも役立ちます。

 

頭蓋骨のパーツの周辺には縫合(ほうごう)という骨のつながりのないところがあり、特に目立つのは大泉門というひたいの上部にあるひし形をした骨と骨の継ぎ目部分と、小泉門といわれる頭頂部と後頭部の間にある三角形をした部分です。大泉門や小泉門は1歳6カ月くらいまでには閉じますが個人差があります。大泉門などが閉じたあとも脳の成長に合わせて頭蓋骨は成長していきますが、3歳ごろには脳はほぼ成人と同じレベルに成長するので頭囲は変化しなくなります。

 

 

赤ちゃんの頭の形がいびつになる理由

赤ちゃんの頭の形がいびつになってしまう理由は頭蓋骨が早期に癒合(離れていた状態のものがくっつくこと)する場合と重力の影響で変形する場合があります。

 

 

早期に癒合する場合

頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)あるいは狭頭症(きょうとうしょう)といいます。頭蓋骨早期癒合症には症候群性と非症候群性に分けられます。症候群性は遺伝性の疾患となり、複数の縫合部分がくっつくために脳の成長に影響を与えたり脳以外の問題も合併することがあります。非症候群性は通常どこか1つの縫合部分のみが早期にくっつくために起きるもので頭蓋骨の形の問題はありますが脳への影響は少ないです。

 

症候群性の早期癒合症は専門的な治療が必要で小児病院や大学病院での治療が必要です。非症候群性の早期癒合症は医学的な問題よりも美容的な問題が大きく、そのため治療に関しては脳外科や形成外科で行われます。

 

 

重力の影響で変形する場合

・斜頭症(しゃとうしょう)

多くの赤ちゃんが右を向いて寝ることが多いので右後頭部が平坦になります。程度が強いと斜頭症になり、医学的な問題は少ないものの斜頭症が強くなると顔面や歯列に影響を与える可能性もあります。成人の頭部CTをみるとたいていの人は右後頭部が平坦です。これは新生児期に右向きに寝ていた影響や子宮内での胎位等が関係していると思います。

 

・短頭(たんとう)

上を向いて寝ることが多いと短頭になりやすくなります(いわゆる絶壁)。

 

・長頭(ちょうとう)

腹臥位(ふくがい:うつぶせ)で寝ることが多いと長頭になりやすくなりますが頭の形はきれいになります。しかし長頭が強いと歯列等に影響を与えることがあります。早産児は頭蓋骨がやわらかいので変形しやすく、NICUでは治療として腹臥位保育をすることがあるので、このような場合は長頭になります。しかし、頭の変形は3歳ぐらいまでに徐々に改善していき、3歳以降はあまり形は変わらなくなります。

 

 

乳幼児突然死症候群(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん:SIDS)の予防のため仰臥位(ぎょうがい:あおむけ)保育が推奨されていることも関連していると思いますが、斜頭症の子が多くなってきています。これも非症候群性の頭蓋骨早期癒合症と同様に医学的というよりも美容的な側面からの治療となります。「赤ちゃんの頭の形外来」といった新しい体に負担の少ない治療が可能となり、専門科に受診することもできるようになってきています。

 

 

赤ちゃんの頭の形が気になる場合

まずは、かかりつけの医師に相談してみてください。もし治療や手術が必要な場合には、大学病院の形成外科が脳神経外科などとチームを組んで、治療・手術をおこなっています。また赤ちゃんの頭蓋骨を専門に診ている頭蓋変形外来もあります。

 

頭蓋縫合早期癒合症以外の症状に対しては、治療専用のヘルメットが開発されているためそのヘルメットを使って頭蓋骨の矯正をする治療法も提案されています。

 

大人になると髪の毛で頭の形は目立たなくなるため、あまり頭の形を心配し過ぎる必要なないと思いますが、心配なときは小児科、脳外科、形成外科等でみてもらうと良いでしょう。

 

 

まとめ

赤ちゃんの頭の形がいびつになってしまう原因は、赤ちゃんの寝る向き癖もありますが、病気の場合もあります。もし、赤ちゃんの頭の一部が盛り上がっているなど、形に変なところがあったら、まずは、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。

 

 

参考:
東京女子医科大学小児脳神経外科:
http://www.twmu.ac.jp/NIJ/column/pediatric/
順天堂大学医学部附属順天堂医院形成外科:https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/keisei/about/disease/teishinsyu.html
慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト頭蓋縫合早期癒合症:
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000176.html
慶應義塾大学医学部形成外科クラニオ外来:
http://cranio.hosp.keio.ac.jp/disease.html
国立成育医療研究センター形成外科:https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/kankaku-keitai/keisei.html

 

 

 

 

 

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