【医師監修】乳頭亀裂(乳頭裂傷)になったときのケア方法と予防方法とは

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

乳頭亀裂のイメージ

 

直接母乳での育児はスキンシップがとれ、赤ちゃんはママのぬくもりを感じて安心して授乳することができるメリットがあります。ママと赤ちゃんの愛情が深まり、ほかにも産後の子宮の回復を早めるなどの効果もあり、母乳育児はメリットがたくさんあります。そんなとき、乳首に傷ができて痛みがあると母乳育児が苦痛になってしまいますよね。乳頭亀裂になる原因、なってしまったときのケア方法、予防法についてご紹介します。

 

 

乳頭亀裂になる原因

乳頭(乳首)の先や根元の部分が裂けたような傷ができることを「乳頭亀裂」と言います。授乳を始めたばかりの時期や、赤ちゃんの歯が生える時期に多くみられます。乳頭や乳輪部の皮膚はデリケートなため、赤ちゃんがおっぱいを力強く吸うことで乳頭が切れて赤くなったり、ひび割れなどを起こしてしまうのです。この乳頭亀裂ができると、授乳時や服に乳頭が擦れることで痛みが生じ、状態が悪化すると出血することがあります。乳頭亀裂になる原因には次のようなことがあります。

 

授乳姿勢(抱き方)やおっぱいの含ませ方による原因

赤ちゃんを抱くときに、赤ちゃんの体が安定していなかったり、赤ちゃんの口が乳首に対して斜めだったりすると、おっぱいの含ませ方が浅くなり乳頭の一部分に負担がかかります。乳首を浅く含ませたまま長時間授乳すると、乳頭亀裂が生じてしまいます。

 

乳頭が硬くむくんでいる

妊娠中からおっぱいマッサージをおこなっていると、乳頭は弾力性があり乳管が開通して母乳の出が良くなって赤ちゃんが吸いやすい状態になりますが、乳頭が硬くてむくんだ状態だと傷ができやすくなります。

 

授乳後の赤ちゃんの口からの外し方による原因

授乳が終わるとき、赤ちゃんの口を無理に乳頭から引っ張ると傷つく原因になります。また、赤ちゃんの唾液が乳頭についたままだと乾燥して切れやすくなります。

 

赤ちゃんの母乳を飲む力が強い

赤ちゃんが成長するとおっぱいを吸う力がどんどん強くなりますので、乳頭亀裂が生じることがあります。

 

赤ちゃんに歯が生えて噛まれる

乳歯が生え始める時期は生後6~9カ月ごろですが、授乳のときに乳首を赤ちゃんに噛まれて、乳頭亀裂が生じることがあります。

 

 

乳頭亀裂になったときのケア方法

乳頭亀裂になったときは痛みが生じますので、授乳が苦痛に感じてしまいます。乳頭亀裂があっても赤ちゃんにとっては問題ありません。傷も数日で治ってきますので、授乳は続けても大丈夫です。しかし、傷が悪化すると授乳が苦痛になることもあるので、乳頭の出血や痛みが強い場合は搾乳して与えるなど、授乳をお休みして治すことも大切です。ケア方法について説明します。

 

保湿剤を塗る

乳頭が乾燥すると亀裂が悪化するため、乳頭亀裂の部分にワセリンなどの保湿剤を塗った後、ラップをあてます。ワセリン・馬油・ラノリン油などの低刺激の保湿剤は、そのまま授乳して赤ちゃんの口に入っても安全なものがあります。また、母乳には保護と殺菌効果があるため、乳頭亀裂部に母乳を塗る方法もあります。

 

授乳方法を変えてみる

乳頭の傷の悪化を防ぐために、乳頭亀裂の部分を赤ちゃんの口角に来るように含ませ方を工夫します。また亀裂が少ないおっぱいのほうから先に授乳するのもいいでしょう。痛みが強くなれば直接授乳をお休みしてください。

 

傷をガーゼやタオルで保護する

使い捨ての母乳パッドは乳頭が擦れてしまいますので、使用は中止してガーゼやタオルなどの柔らかい素材がおすすめです。

 

乳頭保護器を使う

乳頭保護器は乳頭に傷や痛みがある場合でも、保護カバーを使用して授乳できる商品です。赤ちゃんの口が直接傷にあたらないように乳頭を保護してくれるので、乳頭亀裂の悪化を予防できます。サイズがあるので、助産師に相談してください。

 

 

乳頭亀裂にならないための予防法

乳頭亀裂にならないように、次のことを工夫してみましょう。

 

抱き方を工夫する

授乳のときは、ママが楽な姿勢を保てるように工夫しましょう。クッションや枕などを利用し、赤ちゃんの口が乳頭の高さになるように調節して、赤ちゃんをママの体にフィットさせるように抱き、安定させます。横抱き・縦炊き・脇抱きなど、授乳のたびに抱き方を変更して、乳頭の一部分に負担がかからないようにします。

 

おっぱいの含ませ方を工夫する

赤ちゃんは乳頭に反射的に吸いついてきますので、手で乳房を支えて赤ちゃんが大きなお口を開けたときに、乳輪部まで深く含ませます。そして、赤ちゃんの口と乳頭の角度が合っているか確認します。赤ちゃんの唇が内側にめくれていたり、乳頭が痛くなるようであれば再度やり直します。授乳後に乳頭が丸くなっていないか、つぶれていなければじょうずに含ませられています。おっぱいは左右均等に授乳するように心がけてください。

 

乳頭・乳輪部マッサージをおこなう

乳頭や乳輪部が硬いときやむくんでいるときは、授乳前に乳頭・乳輪部のマッサージをおこないます。マッサージをおこなうことで柔らかくなり、開通が良くなって乳頭亀裂を起こしにくくなります。また、乳頭を突出させて赤ちゃんが吸いつきやすくする効果があります。

 

【マッサージ方法】
1.おっぱいを片手で持ち上げて、乳頭が正面を向くようにします。
2.親指・人差し指・中指で乳頭をつまみ、3秒圧迫します。乳頭が硬い場合は5~10秒かけてやさしく圧を加えながら圧迫します。乳頭・乳輪部の位置や方向を変えて、各1分程度圧迫します。乳頭や乳輪部が硬い場合は2~3分くらいマッサージしてください。
3.横方向、縦方向にもずらします。慣れてきたら柔らかくなるまでもみます。

 

赤ちゃんの口の外し方を工夫する

授乳後に、赤ちゃんの口を乳頭から外すときは乳頭を引っ張られないように赤ちゃんの口角に指を入れてから外すようにすると、乳頭が切れてしまうのを予防できます。

 

清浄綿は使用しない

乳頭を清浄綿で拭き取ると、保護の役目をしている皮脂を拭き取ってしまい、乾燥することがあるので使わないようにしましょう。また、乾燥予防のために、授乳後に保湿剤を塗るのもおすすめです。

 

おっぱいが張っているときは搾乳する

おっぱいが張っているときは乳輪部が硬くなるため、浅く含ませがちになります。授乳前に軽く搾乳することでおっぱいが柔らかくなって赤ちゃんが吸いやすくなります。

 

 

まとめ

亀裂ができる前から早めに乳頭ケアをおこなうことが母乳育児を続けるコツです。乳頭亀裂の影響で痛みや出血があるときは、直接授乳をお休みすることも大切です。母乳外来で乳頭ケアや、授乳について相談することもいいでしょう。乳頭亀裂は予防できますので、日ごろのケアするようにしましょう。

 

 

 

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