【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

母乳育児のメリットと断乳と卒乳について

 

母乳栄養にはさまざまな利点があり、WHOは生後6カ月までは母乳だけで赤ちゃんを育てましょう、補完食(離乳食)を始めた後も2歳かそれ以上までは母乳育児を続けましょうと言っています。

 

母乳育児を続けているママにとって、「いつまで母乳をあげるか」「どのようにして母乳育児を終えるか」というのは、悩むところかもしれません。今回は、母乳育児のメリットやおっぱいのケア、断乳と卒乳、母乳外来についてなど、母乳育児の始まりから母乳育児を終えるまでについて解説します。

 

1.母乳育児を始める前に

 

1-1 赤ちゃんの栄養について

平成27年度の乳幼児栄養調査によると、妊娠中に子どもを母乳で育てたいと思っている母親の割合は9割を超え、生後1カ月では 51.3%、生後3カ月では 54.7%が母乳栄養をおこなっているという結果が報告されています。また、混合栄養も含めると、母乳を与えている割合は生後1カ月で96.5%、生後3カ月で 89.8%と、10年前に比べ母乳栄養の割合が増加しています。

 

母乳栄養を選択している母親が増加している背景には、WHO/UNICEF が母乳育児を推進しており、それに倣って日本でも母乳育児を推進する施設が増加していることも要因の1つと考えられます。

 

母乳栄養は赤ちゃんにとっても母親にとってもメリットがあり、母乳育児を推進している施設では妊娠中から母親への指導が開始されます。

 

【母乳育児のメリット】
ママのメリット
・子宮の回復がよい
・産後のダイエットにもなる
・子どもとの触れ合いの機会が多くなる
・楽
・経済的
・授乳中は避妊率が高い
・月経のない期間が長い
・閉経前の乳がん、卵巣がん、子宮体がんのリスクが低下する
・骨粗しょう症を予防する
・妊娠糖尿病から糖尿病に移行するリスクを減少させる  など


赤ちゃんのメリット
・赤ちゃんに必要な栄養成分が含まれている
・消化・吸収がよい
・善玉菌(ビフィズス菌)が多くなる
・免疫物質が多く含まれている
・突然死の確率が低くなる
・小児糖尿病・小児がん・中耳炎の危険が少なくなる  など

 

母子ともにメリットが多い母乳育児ですが、その一方でデメリットもあります。


産後すぐは母乳の量が安定せず、母乳分泌を促すために赤ちゃんが泣いたら母乳を与える頻回授乳が必要となるため、体力的な面で大変です。また、正確な哺乳量もわからないため、足りているのか不安になるママも少なくありません。そのほか、乳腺炎になったり乳首が裂傷したりとトラブルが起こることもあります。

 

赤ちゃんにとってのデメリットは、母乳性黄疸やビタミンK不足をきたす可能性があります。また、母親がHTLV-1(成人性細胞白血病ウイルス)に感染している場合、母乳を介して赤ちゃんに感染する恐れもあります。そのほか、母乳は鉄の含有量が少ないため、乳児期後期に鉄欠乏性貧血になることもあります。

 

母乳育児を希望していても、赤ちゃんに十分な母乳を与えられない場合、育児用ミルクを補足する混合栄養という方法がとられます。そしてなんらかの理由で母乳が与えられない、また母親の意思などで人工栄養(ミルク育児)が選択されることもあります。日本では、数々の乳業会社が母乳の研究を進め、母乳を目指した育児用ミルクが開発・販売されています。2018年8月には液体ミルクの制度改正により、日本でも液体ミルクの製造・販売が解禁され、話題となりました。

 

人工栄養(ミルク育児)は、母乳が足りない母親にとっては、精神的な負担を軽減し、赤ちゃんの成長を助けてくれます。また、授乳室がない場所での授乳など状況に応じた授乳も可能です。さらに、ママ以外の家族が授乳することもできるため、赤ちゃんとの触れ合う機会も増えます。保育園などに預ける場合にも便利です。哺乳瓶を使うことで、赤ちゃんが飲んだミルクの量を正確に把握できるのもメリットといえるでしょう。

 

その一方で、調乳グッズのお手入れや、消毒など手間がかかる点はデメリットといえます。特に、夜間の授乳時は大変かもしれません。また、出かける際にも、哺乳瓶や育児用ミルク、お湯の入った水筒など、荷物が増えてしまいます。ミルク代がかかるという点もデメリットといえるでしょう。

 

 

1-2 妊娠中のおっぱいの変化と母乳がつくられるしくみ

おっぱいの1割は乳腺、9割は脂肪組織で構成されています。妊娠すると、乳腺が発達し、母乳をつくる準備を始めます。乳腺の発達には女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンをはじめ、さまざまなホルモンが影響しています。そして母乳をつくるうえで欠かせないホルモンが、プロラクチンです。

 

妊娠中期になるとプロラクチンの濃度が上昇し、母乳がつくられ始めます。妊娠後期になると初乳がおっぱいの中にたまり始め、おっぱいが大きくなります。妊娠中に少量の母乳が出てくる……という方もいますが、妊娠中は胎盤から出るエストロゲンやプロゲステロンによって、母乳が出ないよう抑制されています。乳輪の大きさも、個人差はありますが、妊娠中や授乳中に大きくなり、色も濃くなっていきます。

 

 

1-3 妊娠中のおっぱいケアは必要?

赤ちゃんが生まれ、おっぱいをよく飲んでくれるかどうかは、赤ちゃんの状態はもちろんですが、母乳の出やおっぱいの吸いやすさも関係します。出産後、おっぱい全体をマッサージする乳房ケアは母乳の出をよくする効果があるとされていますが、妊娠中の乳房マッサージは必要ありません。赤ちゃんがおっぱいを吸うことが刺激となり母乳がつくられるので、赤ちゃんが少しでも吸いやすいおっぱいになるように妊娠中からケアすることが大切です。

 

妊娠中のおっぱいケアは、主に乳頭マッサージです。乳輪から乳首にかけて圧迫し、やわらかくしておきましょう。乳首がやわらかくなることによって、授乳時に乳首が切れたり水膨れ・血豆などができるなどのトラブルを減らす効果も期待できます。ただし、乳首を刺激することでおなかが張ってしまう場合もあります。乳頭マッサージをおこなう際には、医師に相談し指導のもとおこなうようにしましょう。おなかが張ってしまうようであれば、マッサージは中止してください。切迫早産と診断されている場合は、正期産の時期になる妊娠37週に入ってから乳頭マッサージを開始してもかまいません。

 

また妊娠中から母乳はつくられ始め、加えて妊婦さんは新陳代謝もよくなることから、乳首に汚れが溜まりやすくなります。入浴時には汚れをやさしく取り除き、清潔を保つように心がけましょう。汚れが取りづらい場合は、ベビーオイルなどで汚れをふやかし、取り除くとよいでしょう。

 

2.母乳育児の進め方

 

2-1 出産後の母乳育児について

妊娠中につくられた母乳は、胎盤から出るエストロゲンやプロゲステロンによって分泌が抑制されています。赤ちゃんが生まれ、胎盤が出るとエストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少し、母乳が出る準備が整います。

 

赤ちゃんを出産したからと言って母乳がどんどん出てくるというわけではありません。赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によって、母乳をつくり出すプロラクチンやおっぱいにたまった母乳を押し出すはたらきのあるオキシトシンが分泌され、おっぱいが出るようになるのです。

 

最初のうちは赤ちゃんがおっぱいを頻回に吸うことによって母乳がつくられていきます。そしてその後は、赤ちゃんが飲み取った母乳の量によって次の授乳までに作られる母乳の量が変化していきます。赤ちゃんが1回の授乳で飲み取ることのできる母乳はおっぱいが提供できる量の約76%と言われていますが、おっぱいが空に近づくほど母乳がつくられるようになります。そのため授乳間隔があいてしまったり、赤ちゃんはがしっかり母乳を飲み取ることができず、おっぱいの中に母乳が長時間とどまった状態でいると徐々に母乳がつくられなくなり、分泌も減ってきてしまいます。

 

赤ちゃんが生まれたばかりの時期は、1、2時間おき、あるいはそれよりも短い間隔での授乳が必要になることもありますが、徐々に授乳の間隔は伸びていきます。また、母乳育児が確立する時期も個人差があります。

 

 

2-2 乳房・乳頭タイプと授乳姿勢

妊婦健診で乳首のチェックをしている産院もあります。その際、助産師はママの乳首の状態が授乳に適しているかチェックして、お産後スムーズにおっぱいをあげられるよう指導をしています。また、お産後はママのおっぱいや乳首の形などによって、おっぱいを飲ませるときの姿勢を工夫し、指導しています。ここではおっぱいの形や乳首の形についてそれぞれ解説します。

 

おっぱいのタイプ

 

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法突出している部分が1cm前後あるもの。

赤ちゃんがくわえやすい乳首の形です。

 

 

【扁平乳頭】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法乳輪と乳首がほぼ平面にあるもの。

赤ちゃんが吸いつこうとすると滑ってしまうため、浅飲みになってしまうことが多いです。

 

授乳前に乳首をマッサージして柔らかくしたり、少し母乳を搾ってから授乳すると赤ちゃんが深くくわえてくれるようになります。

 

【陥没乳頭】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法乳首が陥没しているもの。

乳輪部周辺を圧迫すると突出するタイプと、圧迫しても突出しないタイプがあります。

 

乳輪部周辺を圧迫すると突出するタイプでは、授乳前に乳頭をマッサージしてから吸わせるようにすると赤ちゃんがくわえやすくなります。圧迫しても突出しないタイプでは乳頭マッサージのほか、乳頭保護器を使用して授乳することも。赤ちゃんがおっぱいを吸うことで乳頭が出てくるケースもまれにあります。

 

【乳頭が大きい】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法明確な大きさの基準はありませんが、1cm以上あるものとしていることが多いです。

 

赤ちゃんのお口の中に入りきらないことがあり、浅飲みになってしまいます。赤ちゃんが成長し、お口が大きくなってくると深くくわえられるようになります。それまで母乳の分泌を維持できるように搾乳などで対応していきます。

 

【乳頸部が細い】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法乳首の根元が細くなっている。

経産婦さんに多いようです。

 

浅飲みになりやすく、乳首の根元に傷が生じやすいため、なるべく深く赤ちゃんにくわえてもらうことが大切です。

 

 

●乳房のかたち

【Ⅰ型】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法アンダーバストとトップバストの差が5cm以下のおっぱい。

 

 

 

【Ⅱ-a型】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法お椀型のおっぱい。アンダーバストとトップバストの差が5cmあり、乳首の位置がおっぱいの真ん中、あるいは真ん中より上。

 

【Ⅱ-b型】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法お椀型のおっぱい。アンダーバストとトップバストの差が5cm以上あり、乳首の位置がおっぱいの真ん中、あるいは真ん中より下。

 

【Ⅲ型】

【助産師監修】母乳育児のメリットとは? 断乳・卒乳の方法、おっぱいトラブルの対処法アンダーバストとトップバストの差が5cm以上あり、下垂しているおっぱい 。

 

おっぱいのタイプに合った授乳方法

母乳育児をすすめるうえで大切なことの1つに、ママと赤ちゃんに合った方法でおっぱいを飲ませることがあります。おっぱいを飲ませるときの姿勢はさまざまです。いろいろな方法を知っておくと、ママのおっぱいや赤ちゃんの状態に合わせて授乳することができます。

 

●横抱き(普通抱き、ゆりかご抱き)

横抱き

赤ちゃんをママの胸の高さで抱っこし、赤ちゃんとママのおなかを向かい合わせて密着させます。赤ちゃんの頭はママの肘や前腕のあたりに置き、その手で赤ちゃんのおしりか太ももを支えます。

 

おっぱいだけでなく、育児用ミルクを飲ませるときにもこの抱き方がおすすめです。

 

 

 

●交差横抱き(交差ゆりかご抱き)

交差横抱き飲ませる側のおっぱいと反対側の手のひらと腕で赤ちゃんの肩と背中を支え、指は赤ちゃんの耳の後ろに添えます。

 

次に飲ませるおっぱい側の手でおっぱいを支えます。うまく吸いついたら、おっぱいを支える手を外し、赤ちゃんを抱っこして横抱きにさせることができます。

 

赤ちゃんの頭がしっかり固定されているのでママのおっぱいを深くくわえさせることができます。

 

ママが赤ちゃんにおっぱいをあげるのに慣れていない最初のころや早産で生まれた赤ちゃん、筋緊張の弱い赤ちゃん、ルーティング反射(赤ちゃんの唇や頬に指や乳首などで触れると追いかけるように顔を動かして、口に含むような動き)や吸啜反射(赤ちゃんの口の中に指や乳首を入れるとそ

                     れを吸おうとする動き)が弱い赤ちゃんに                                                             適しています。

 

 

 

●脇抱き(クラッチ抱き、フットボール抱き)

脇抱き赤ちゃんの体をママの脇で支え、赤ちゃんの足がママの背中に来るようにします。

 

ママの手のひらと腕で赤ちゃんの肩と背中を支え、指は赤ちゃんの耳の後ろに添えて頭を支えます。(このとき、赤ちゃんやママの腕を支えるためにクッションや枕などが必要になります。)

 

飲ませる側のおっぱいと反対側の手でおっぱいを支えます。

 

帝王切開術後、おっぱいが大きいママ、早産で生まれた赤ちゃん、おっぱいの吸い方が弱い赤ちゃんに試してみるとよいでしょう。

 

 

 

●添え乳(寝た姿勢での授乳、添い寝授乳)

添え乳ママが横に寝た姿勢で赤ちゃんをママの胸の高さで寝かせ、赤ちゃんとママのおなかを向かい合わせて密着させます。

 

この姿勢は帝王切開術後や夜間、ママの体調がすぐれないとき、ママの安静が必要なときなど、休みながらおっぱいをあげることができます。

 

 

 

●縦抱き(またがり座り抱き)

縦抱き赤ちゃんをママの太ももにまたがって座らせ、赤ちゃんの口が乳首の高さにくるようにします。ママのからだや赤ちゃんの頭が前かがみになりすぎないよう気をつけましょう。

 

ママのおっぱいを深く含めないときや小さめの赤ちゃんに合った方法です。

 

 

3.母乳育児のママが気になること

 

3-1 赤ちゃんが母乳を飲めているサイン・足りないときのサイン

母乳育児をしているお母さんたちの悩みごとのなかに「母乳が足りているかわからない」というものがあります。母乳が足りているかどうかの1つの目安となるのが、赤ちゃんの排泄です。1日に6~8回、色の薄いおしっこが出ており、1日に3~8回のうんちをしていれば、母乳が足りているサインです。おしっこの色が黄色や赤、ピンクなどで、ちいさな粒が見えるときは、母乳が足りていない場合があります。うんちの回数は、月齢が増えると1~2日に1回以上と減ってきます。そしてもう1つ目安となるのが、赤ちゃんの体重増加です。(※次の3-2で解説)

 

また、赤ちゃんの全身状態もしっかりチェックしておく必要があります。機嫌や肌つやがよく、うんちやおしっこがしっかり出ており、元気な様子であれば問題ありません。活気がなかったり、目がくぼんだりしていると、母乳不足による脱水や栄養不足を起こしている可能性があるため、おっぱいを飲ませる回数を増やしたり育児用ミルクを足したりしましょう。

 

 

3-2 母乳で育つ(育った)赤ちゃんの体重の増え方

体重の増減は赤ちゃんの発育を評価する指標の1つですが、測定時の値だけでなくこれまでの推移を見て評価することが大切です。

 

一般的に、赤ちゃんは生後出生体重の5~10%ほど体重が減ります。これを生理的体重減少と言います。一度減った体重は生後3~4日目くらいから増加し始め、生後2~3週間までに出生時の体重に戻ります。

 

赤ちゃんの発育が気になる場合は、母子健康手帳に記載されている成長曲線で確認してみましょう。成長曲線とは、身長と体重の標準値が年齢・性別ごとにグラフ化されたものです。身長と体重が交わる点が曲線の中に含まれていれば特に心配はいりません。母乳栄養がメインの赤ちゃんは体重の増加が緩やかな傾向があり、身長・体重ともに成長曲線の低い位置であったり、わずかに外れてしまったりすることもあります。

 

母乳のみで育つ赤ちゃんの体重増加の目安は以下の通りです。


・生後0~3カ月:25~30g/日
・生後3~6カ月:15~20g/日
・生後6~12カ月:10~15g/日

 

なかには体重はゆっくりと増える赤ちゃんもいます。赤ちゃんがおっぱいをよく飲み、元気なら問題ありませんが、体重増加がみられない、活気がないなど気になるところがある場合にはかかりつけ医に相談しましょう。

 

 

3-3 添い乳は癖になる? 夜間授乳は虫歯になる?

夜泣きをしても、布団から出ずに母乳を与えることができる添い乳は、母親の体力面での負担を軽減してくれます。おっぱいを吸うと眠ってくれる赤ちゃんも多いため、添い乳で寝かしつけをする人も少なくありません。ただし、添い乳のみに頼ってしまうと、寝かしつけに苦労することがあります。

 

赤ちゃんが泣くたびに添い乳をすると、眠りが浅くなり起きておっぱいを吸って寝るというサイクルになってしまい、添い乳なしでは眠れなくなる可能性もあるのです。そのため、おなかが空いているとき以外であれば、なるべく添い乳での寝かしつけは避けたほうがよいでしょう。

 

夜間授乳は虫歯の原因になると言われていますが、母乳とショ糖を同時に摂取した場合に虫歯になりやすいというデータがあります。ですので母乳が虫歯の原因になるというわけではありません。離乳力を食べた後はきちんと歯磨きをするなど赤ちゃんの口の中を清潔にするよう心がけましょう。

 

 

3-4 母乳育児中に起こりやすいトラブル

ここではいくつか、母乳育児に起こるトラブルについて解説します。

 

乳頭亀裂(乳頭裂傷)

乳頭(乳首)の先や根元の部分が裂けたような傷ができることを「乳頭亀裂」と言います。授乳を始めたばかりの時期や、赤ちゃんの歯が生える時期に多くみられます。乳頭や乳輪部の皮膚はデリケートなため、赤ちゃんがおっぱいを力強く吸うことで乳頭が切れて赤くなったり、ひび割れなどを起こしてしまうのです。この乳頭亀裂ができると、授乳時や服に乳頭が擦れることで痛みが生じ、状態が悪化すると出血することがあります。乳頭亀裂になる原因には次のようなことがあります。

 

【乳頭亀裂の主な原因】

●授乳姿勢(抱き方)やおっぱいの含ませ方による原因

赤ちゃんを抱くときに、赤ちゃんの体が安定していなかったり、赤ちゃんの口が乳首に対して斜めだったりすると、おっぱいの含ませ方が浅くなり乳頭の一部分に負担がかかります。乳首を浅く含ませたまま長時間授乳すると、乳頭亀裂が生じてしまいます。

 

●乳頭が硬くむくんでいる

妊娠中からおっぱいマッサージをおこなっていると、乳頭は弾力性があり乳管が開通して母乳の出が良くなって赤ちゃんが吸いやすい状態になりますが、乳頭が硬くてむくんだ状態だと傷ができやすくなります。

 

●授乳後の赤ちゃんの口からの外し方による原因

授乳が終わるとき、赤ちゃんの口を無理に乳頭から引っ張ると傷つく原因になります。また、赤ちゃんの唾液が乳頭についたままだと乾燥して切れやすくなります。

 

●赤ちゃんの母乳を飲む力が強い
赤ちゃんが成長するとおっぱいを吸う力がどんどん強くなりますので、乳頭亀裂が生じることがあります。

 

●赤ちゃんに歯が生えて噛まれる
乳歯が生え始める時期は生後6~9カ月ごろですが、授乳のときに乳首を赤ちゃんに噛まれて、乳頭亀裂が生じることがあります。

 

【乳頭亀裂になったときのケア方法】

乳頭亀裂になったときは痛みが生じますので、授乳が苦痛に感じてしまいます。乳頭亀裂があっても赤ちゃんにとっては問題ありません。傷も数日で治ってきますので、授乳は続けても大丈夫です。しかし、傷が悪化すると授乳が苦痛になることもあるので、乳頭の出血や痛みが強い場合は搾乳して与えるなど、授乳をお休みして治すことも大切です。

 

●保湿剤を塗る
乳頭が乾燥すると亀裂が悪化するため、乳頭亀裂の部分にワセリンなどの保湿剤を塗った後、ラップをあてます。ワセリン・馬油・ラノリン油などの低刺激の保湿剤は、そのまま授乳して赤ちゃんの口に入っても安全なものがあります。また、母乳には保護と殺菌効果があるため、乳頭亀裂部に母乳を塗る方法もあります。

 

●授乳方法を変えてみる
乳頭の傷の悪化を防ぐために、乳頭亀裂の部分を赤ちゃんの口角に来るように含ませ方を工夫します。また亀裂が少ないおっぱいのほうから先に授乳するのもいいでしょう。痛みが強くなれば直接授乳をお休みしてください。

 

●傷をガーゼやタオルで保護する
使い捨てのおっぱいパッドは乳頭が擦れてしまいますので、使用は中止してガーゼやタオルなどの柔らかい素材がおすすめです。

 

●乳頭保護器を使う
乳頭に傷や痛みがある場合でも、保護カバーを使用して授乳できる商品です。赤ちゃんの口が直接傷にあたらないように乳頭を保護してくれるので、乳頭亀裂の悪化を予防できます。サイズがあるので、助産師に相談してください。

 

【乳頭亀裂にならないための予防法】

乳頭亀裂にならないように、次のことを工夫してみましょう。

●抱き方を工夫する
授乳のときの抱き方は、ママは楽な姿勢を保てるように工夫しリラックスします。クッションや枕などを利用し、赤ちゃんの口が乳頭の高さになるように調節して、赤ちゃんをママの体にフィットさせるように抱き安定させます。横抱き・縦炊き・脇抱きなど、授乳のたびに抱き方を変更して、乳頭の一部分に負担がかからないようにします。

 

●おっぱいの含ませ方を工夫する
赤ちゃんはおっぱいに反射的に吸いついてきますので、手でおっぱいを支えて赤ちゃんが大きなお口を開けたときに、乳輪部まで深く含ませます。赤ちゃんの口と乳頭の角度が合っているか確認します。赤ちゃんの唇が内側にめくれていたり、乳頭が痛くなるようであれば再度やり直します。授乳後に乳頭が丸くなっていないか、つぶれていなければじょうずに含ませられています。おっぱいは左右均等に授乳するように心がけてください。

 

●乳頭・乳輪部マッサージをおこなう
乳頭や乳輪部が硬いときやむくんでいるときは、授乳前に乳頭・乳輪部のマッサージをおこないます。マッサージをおこなうことで柔らかくなり、開通が良くなって乳頭亀裂を起こしにくくなります。また、乳頭を突出させて赤ちゃんが吸いつきやすくする効果があります。

 

【マッサージ方法】
1.おっぱいを片手で持ち上げて、乳頭が正面を向くようにします。
2.親指・人差し指・中指で乳頭をつまみ、3秒圧迫します。乳頭が硬い場合は5~10秒かけてやさしく圧を加えながら圧迫します。乳頭・乳輪部の位置や方向を変えて、各1分程度圧迫します。乳頭や乳輪部が硬い場合は2~3分くらいマッサージしてください。
3.横方向、縦方向にもみずらします。慣れてきたら柔らかくなるまでもみます。

 

●赤ちゃんの口の外し方を工夫する
授乳後に、赤ちゃんの口を乳頭から外すときは乳頭を引っ張られないように赤ちゃんの口角に指を入れてから外すようにすると、乳頭が切れてしまうのを予防できます。

 

●清浄綿は使用しない
おっぱいを清浄綿で拭き取ると、保護の役目をしている皮脂を拭き取ってしまい、乾燥することがあるので使わないようにしましょう。また、乾燥予防のために、授乳後に保湿剤を塗るのもおすすめです。

 

●おっぱいが張っているときは搾乳する
おっぱいが張っているときは乳輪部が硬くなるため、浅く含ませがちになります。授乳前に軽く搾乳することでおっぱいが柔らかくなって赤ちゃんが吸いやすくなります。

 

うっ滞性乳腺炎

乳腺炎は、「圧痛、熱感、腫脹のあるくさび形をした乳房の病変で、38.5℃以上の発熱、悪寒、インフルエンザ様の身体の痛みおよび全身症状を伴うものである」と母乳育児医学会では定義しています。乳腺炎には、うっ滞性乳腺炎と急性化膿性乳腺炎があります。

 

【うっ滞性乳腺炎の原因】

うっ滞性乳腺炎の原因は、文字通り、母乳がうっ滞することです。母乳がうっ滞する状況とはどのようなものなのでしょうか。

 

まず考えられるのは、赤ちゃんが効果的に母乳を飲みとれていないこと。そして、授乳間隔があいてしまったときなどが考えられます。そして、きついブラジャーの着用など、おっぱいが圧迫され、母乳の流れが妨げられてしまったり、乳管がつまることでもうっ滞性乳腺炎になります。そのほか、母乳がうっ滞してしまう原因はいろいろあります。

 

【うっ滞性乳腺炎の対処法】

うっ滞性乳腺炎は、母乳のうっ滞を取り除くことで、症状が改善することが多いです。変だな? と思ったら、まず今までの生活や授乳状況を振り返ってみましょう。長時間外出していて、赤ちゃんにおっぱいを飲ませられなかった、疲れて長時間寝てしまった、赤ちゃんが起きてくれなかった……など授乳間隔があいてしまったり、1回の授乳間隔が短くなっているということはありませんか? このような場合は、授乳間隔を短くしたり、1回の授乳でしっかり赤ちゃんに母乳を飲んでもらうようにしましょう。

 

赤ちゃんに母乳を飲ませるときには、トラブルのあるほうのおっぱいから飲ませるようにして、抱き方を工夫しながら、いろいろな方向から飲んでもらうようにしていきましょう。赤ちゃんがうまく飲んでくれないということもあるかもしれませんが、そのようなときには、まず乳首のマッサージをおこない、少しでも赤ちゃんが母乳を飲みやすくなるようにしましょう。

 

おっぱいが張っているときは、授乳の前に少し搾ってみましょう。そして、赤ちゃんの抱っこの仕方、赤ちゃんの姿勢、乳首を含ませるタイミングなどはいかがでしょうか? 知らずしらずのうちに姿勢が崩れてしまっているかもしれません。授乳後も乳房が張ってつらいようであれば、軽くなる程度、母乳を搾りましょう。スッキリするまで、母乳を搾ってしまうと、その分母乳がつくられて、乳房がさらに張ってしまうということにつながります。

 

ママの食事が乳腺炎の原因であるという確かなエビデンスはないと言われていますが、やはり脂っこいものやカロリーの高いものなどの摂りすぎには注意しましょう。

 

赤くなっている部分を冷やすと痛みがやわらぐことがあります。ただし、氷などで急激に冷やすのはNGです。濡れタオルをあて、冷やしましょう。

 

うっ滞性乳腺炎に対して、ママ自身、いろいろな対処法がありますが、やはり早めの受診も大切です。気になる症状があるときには、かかりつけ医にまず相談して、指示を仰ぐようにしましょう。

 

感染性乳腺炎

感染性乳腺炎とは、文字通り細菌の感染によって生じた乳腺炎です。通常、産後10日以降、突発的に起こり、片方のおっぱいの一部が赤くなって、しこりや痛みが生じます。くわえて、38.5℃以上の発熱や悪寒、だるさなどの全身症状を伴い、いずれもうっ滞性乳腺炎より症状が強く出ます。

 

感染性乳腺炎はいきなりかかるものではなく、乳管が詰まり、うっ滞性乳腺炎を生じ、さらに感染性乳腺炎へ移行すると言われています。そして、感染性乳腺炎が悪化すると、その部分に膿瘍(のうよう)がつくられてしまい、膿(うみ)を外に出す処置が必要になることもあります。

 

【感染性乳腺炎の原因】

感染性乳腺炎は、赤ちゃんの口や鼻の中、ママのおっぱいの皮膚表面の常在菌が原因になることが多いといわれています。母乳がスムーズに出ているときは、もしおっぱいの中に細菌が入ってしまったとしても、細菌はおっぱいの外に流されてしまいます。

 

しかし、母乳がうっ滞している状況では、細菌が流されることはなく、母乳が細菌の栄養となって、細菌が増殖し、炎症が起こってしまいます。乳首が切れたり、傷がある場合、母乳がうっ滞している状態は、感染性乳腺炎のリスクが高まります。

 

【うっ滞性乳腺炎の対処法】

感染性乳腺炎の治療の基本は、炎症の原因を取り除くことにあります。

 

まずは母乳のうっ滞を取り除くこと。授乳間隔や授乳時の姿勢などを振り返り、問題がないか確認しましょう。授乳姿勢を改善することで、乳首が切れるなどの乳首トラブルも回避できることがあります。

 

母乳のうっ滞を試みても、症状が改善しなかったり、はじめから乳腺炎の症状が強い場合には、抗菌剤が使用されます。授乳中にお薬を飲むことをためらうママもいらっしゃいますが、授乳に影響のないお薬が処方されるので、医師の指示通り内服するようにしましょう。

 

おっぱいに膿瘍が生じた場合、強い痛みとしこり、表面の皮膚がむくむなどの症状が伴います。膿瘍があるかの診断は、最近では超音波によっておこなわれることが多いです。膿瘍が生じていることが確認された場合、膿を外に出す処置がおこなわれます。その際には、患部に針を刺したり、切開したりして膿を出していきます。

 

おっぱいが出すぎる(母乳分泌過多)

「母乳分泌過多」について、明確な定義がないのが現状です。しかし、赤ちゃんが飲みきれないほどの母乳が出て、ママや赤ちゃんに何らかの異常や苦痛を伴うようになったとき、母乳分泌過多と判断されるようです。

 

【母乳分泌過多の原因】

●不適切な授乳間隔

母乳が出るようになると、赤ちゃんが飲んだ分だけ母乳がつくられるようになります。ですが、赤ちゃんが眠りがちだったりして授乳間隔があいてしまうということが続くと、母乳の生産が減少したり、逆に出すぎるようになったりします。

 

●不適切な授乳時間

母乳を飲ませるとき、左右のおっぱいを両方吸わせましょうと説明されると思います。その際に、短時間で左右の授乳を切り替えてしまうというのも、母乳分泌過多の原因になると言われています。

 

●不適切な搾乳

おっぱいが張っているけれど、それほど赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない……ということもあると思います。その際、母乳を搾って飲ませるよう指導されるかもしれません。

 

しかし、おっぱいが張ってつらいとき、スッキリするまで搾乳をしてしまうのは逆効果。搾った分だけ、母乳がつくられてしまいます。授乳前後の搾乳も必要な場合のみにとどめておいたほうがよいでしょう。おっぱいを空にする必要はありません。

 

●疾患や薬物の影響など

ママ自身が高プロラクチン血症、下垂体腺腫、甲状腺機能低下症などの病気を持っていたり、薬物の影響で、母乳分泌過多になる場合もあります。

 

【母乳分泌過多のサイン】

授乳をしてもおっぱいが軽くなったような気がしない、授乳後すぐにおっぱいが張ってくるような感じがする、服を濡らしてしまうほど母乳が出るなど、ママが自覚する症状は多々あります。それ以外に、おっぱいを飲んでいるとき、赤ちゃんがむせる、赤ちゃんの口から母乳があふれてくる、頻繁に吐くなどのサインがあるときは、母乳分泌過多かもしれません。

 

【母乳分泌過多の対処法】

●授乳姿勢の見直し

母乳分泌過多かなという場合は、まず授乳姿勢を工夫してみましょう。ママが後ろによりかかるような姿勢をして、赤ちゃんをうつぶせにしておっぱいを飲ませます。そうすることで、赤ちゃんがむせることを防ぐことができます。

 

●1回に片方のおっぱいからのみ授乳をする

「一定の間」、1回の授乳でおっぱいがスッキリするまで、片方のおっぱいだけを吸わせるという方法があります。これは一時的な方法で、吸わせていないおっぱいの中に母乳が残る状態をつくることで、母乳の分泌を減らしていくというものです。

 

●食事制限は必要?

母乳分泌過多の対処法として、食事や水分制限をすすめられることがあるかもしれません。極端な食事や水分制限はかえって、よくありません。バランスの良い食事を心がけ、適度な水分摂取をしていきましょう。

 

 

3-5 授乳中のセルフケアは必要? (乳房マッサージ・乳頭マッサージ・クーリング・搾乳について)

産後の母乳分泌は、最初、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によって母乳分泌が促進され、ある程度の段階になると今度は赤ちゃんが母乳を飲み取った分、母乳がつくられるようになってきます。ですので、赤ちゃんが吸いやすいおっぱいの状態を保つことが大切です。

 

授乳中のセルフケアとしておこないたいのが、乳頭マッサージです。妊娠中におこなう乳頭マッサージと同じように乳輪から乳首を圧迫し、やわらかくしておきましょう。乳頭マッサージは授乳の前やシャワーを浴びる際におこなうとよいでしょう。

 

マッサージするときには片方の手でおっぱいを支え、もう片方の手の親指・人さし指・中指で乳輪をつまんで1分ほど圧迫します。その後、乳首もやさしく圧迫していきます。時間の目安としては2~3分かけておこないます。そして、乳首を横や縦などにも伸ばしておくことも大切です。もし、圧迫するだけでも痛みを感じるようであれば、まずは圧迫マッサージに慣れることから始めてみましょう。

 

産後数日するとおっぱいが張って熱感や痛みを訴える方が出てきます。これに対しては赤ちゃんにおっぱいを飲ませることが一番の対処法となりますが、その他におっぱいを手や搾乳器で搾ったり、おっぱいを冷やすなどの対処法があります。搾乳をする際は、おっぱいの張りが完全になくなるまでおこなう必要はありません。おっぱいの張りがある程度軽減し、少し楽になったと感じるくらいにとどめておきましょう。

 

また、おっぱいを冷やすときは水で濡らしたタオルをあてる程度にしましょう。おっぱいを冷やしすぎると母乳の分泌が抑制されてしまいます。

 

産院の方針で母乳の出をよくするために乳房マッサージをおこなうよう指導される場合がありますが、乳房マッサージに関しては、セルフケアの必要はないとされています。乳房マッサージを自己流でおこなうことによって力を入れすぎてしまったり、間違った方法でおこなってしまったりする場合もあります。乳房マッサージをおこなう際には助産師の指導のもとおこなうようにしましょう。

 

 

3-6 妊娠中の食事・授乳中の食事は母乳の栄養に影響する? 授乳中におすすめの食事と飲み物

母乳育児をするうえで、日本だけでなく世界中で母乳の出がよくなるという食べものがあり、昔から言い伝えられてきました。また、母乳育児をするうえで、「カロリーの高いもの(甘いもの・揚げ物など)や乳製品の摂り過ぎには注意しましょう」と指導されることが多く、これらの食べ物は乳腺を詰まらせる原因となると考えられています。

 

しかし、UNISEF/WHOの『母乳育児支援ガイド』には、「特別な食べものを食べたり、特定の食べ物を避ける必要はありません」とあり、脂肪摂取が原因で乳腺が詰まるということを明らかにした医学論文は今のところみられていません。

 

とはいえ、産後の食事に注意する必要はないということではありません。厚生労働省によると、母乳育児をするうえで母親に必要なエネルギーは、妊娠前の必要カロリー+350kcalとなっています。必要な栄養をバランスよくしっかり摂ることが重要といえます。

 

授乳中は母乳分泌によって、母親も水分不足になりがちです。ですので、授乳中はしっかり水分補給をするようにしましょう。授乳中に必要な水分量は1.5Lと言われています。一気に大量の水分を摂るのではなく少量ずつこまめに摂ることがポイントです。

 

飲み物に関しては、アルコールやカフェインの摂取は控えましょう日本ラクテーション・コンサルタント協会編集『母乳育児支援スタンダード』によると、「アルコールは産後1カ月は飲まないこと。1カ月以降は、飲むなら摂取量を1日10~20gにとどめ、授乳直後に飲む。1日20g以上飲みたいなら、あらかじめ搾乳して1回分授乳しないことに備える」とあります。今ではさまざまなノンカフェインの飲み物が販売されており、選択肢もさまざまです。なるべく温かい飲み物を摂るようにしましょう。

 

 

3-7 授乳中の薬の服用

「授乳中に飲める薬はない」と思っている人もいるかもしれませんが、実際にはいくつかの薬については安心して飲むことができます。具合が悪いのに、母乳を与えている期間は飲まないほうがいいと考え、我慢してしまう人は少なくありません。しかし、慣れない子育てで疲れているところに、具合の悪さが加わってしまえば、心身ともにつらい日々となってしまいます。母乳は血液から作られていますが、授乳中に飲めるとされている薬であれば、薬を飲んだとしても赤ちゃんに与える影響はないと言われています。

 

薬を飲むときの注意点としては、具合が悪くて医療機関を受診するときや市販薬を購入するようなときには、必ず「授乳中です」と伝えることです。そうすることで、医師や薬剤師は授乳中でも飲める薬を出してくれます。授乳中でも適切な薬を飲んで、それ以上症状が悪化してしまわないようにしっかりと治しておくことが、ママにとっても赤ちゃんにとっても大切です。

 

4.母乳育児の終え方

 

4-1 断乳と卒乳の違いとは

母乳育児を続けているママにとって、「いつまで母乳をあげるか」「どのようにして母乳育児を終えるか」というのは、悩むところかもしれません。そこで今回は、「断乳」と「卒乳」について解説します。

 

断乳と卒乳の違い

日本において、これまでは「断乳」という言葉が一般的で、1歳前後に断乳するという指導方針が大多数でした。しかし、アメリカでおこなわれている母乳育児の流れを受け、日本においても徐々に「卒乳」という言葉が使われるようになりました。

 

「断乳」と「卒乳」の文字を見ても想像できるように、「断乳」は「乳」を「断」つこと、「卒乳」は「乳」を「卒」業することという意味があるように思えます。

この流れを受け、「断乳」はママの意思で母乳育児をやめること、「卒乳」は子どもから母乳をやめることという認識が広まりました。その一方で、「自然卒乳」「計画的卒乳」などの言葉もあり、「卒乳」の意味を広くとらえた考え方もあります。

 

そんななか、「断乳」がよいのか、「卒乳」がよいのか、断乳するのであればどの時期がよいのか、方法は? など、専門家の間でも考え方がさまざまであるというのが現状です。

 

ママが母乳育児をやめようと考える理由

ママが母乳育児をやめようと考えてしまうのには、さまざまな理由があります。


・乳首が痛い
・母乳不足感
・母乳分泌過多
・乳腺炎
・ママの職場復帰
・お薬の内服
・赤ちゃんに歯が生えてきて、かまれると痛い
・次の子を妊娠したい、あるいは妊娠した
・赤ちゃんが虫歯になることを心配して
・赤ちゃんの栄養不足を心配して
・周囲の人の声 ex.「まだ母乳あげているの?」  など

 

これらの理由のほとんどは、適切な情報と支援があれば母乳育児を続けることが可能です。

 

母乳育児をやめたいというのがママの本心ではないかもしれません。そんなときは母乳相談室や産院の助産師に相談してみましょう。母乳育児を続けるにしても、終えるにしても、より良い方法を提案してくれると思います。

 

母乳育児の終え方

『母乳育児支援スタンダード』では、子どもから自然に(母乳を)飲まなくなる方法だけではなく、親の働きかけで(母乳育児を)やめていくことも含めて「卒乳」と定義し、さまざまな卒乳の方法を述べています。

 

●部分的卒乳:昼間だけ、あるいは夜間の授乳をやめる方法。
夜間ゆっくり休みたい、ママが仕事に復帰するなどの理由で、授乳回数を減らし、お子さんの月齢によって代わりになる栄養や水分を与える方法です。

 

●急激な卒乳(いわゆる断乳):突然、母親側から授乳をやめる方法。
何らかの理由で、母乳育児をやめなければならない状況になったときに選択される方法です。しかし、突然母乳育児をやめることによって、お子さんの精神的なショックが大きくなることが考えられます。

 

また、ママもおっぱいが張ったり、乳腺炎になったりなどのトラブルが生じる可能性があります。そのため、乳房が軽くなる程度に母乳をしぼったり、冷やしたりなどのケアが必要になります。

 

病気の治療など、一刻も早く断乳しないといけないような状況では、母乳の分泌を抑えるお薬を内服することもあります。

 

●計画的卒乳:子どもの様子を見ながら母親から徐々に授乳をやめていく方法。
急激な卒乳に比べて、徐々に授乳回数を減らし、母乳をやめていくこの方法は、ママにもお子さんにも負担が少ない方法です。おっぱいにお子さんの意識が向かないように工夫をしたり、前もってお子さんと話し合いをしてから始めたりして、卒乳を目指します。計画的卒乳と言われているとはいえ、計画通りに進まないことも。

 

お子さんがなかなか母乳をやめられなかったり、途中でママの気が変わってしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、いったん仕切り直すことも大切です。


●自然卒乳:子どもが自然におっぱいを欲しがらなくなるまで授乳を続ける方法。
子どもがおっぱいを欲しがらなくなる時期は、やはり人それぞれです。おっぱい自体が好きなお子さんもいれば、ママとのスキンシップの時間が大好きというお子さんも。お子さんの心と体の準備ができたとき、自然とおっぱいを欲しがらなくなるでしょう。

 

 

4-2 断乳(ママの意思による卒乳)のタイミングは?

世界各国における平均卒乳年齢は4.2歳とされています。戦時中の日本においては、平均で2歳まで、子どもによっては3~9歳まで飲んでいた記録がありました。WHOでは、母乳を与えることが赤ちゃんの心身の発達に効果的であるという見解があり、2歳またはそれを過ぎても母乳を与えることを推奨しています。

 

日本においては、2002年以降の母子健康手帳からは「断乳」の記述がなくなり、断乳しているかどうかは問われなくなりました。厚生労働省では、生後5カ月ごろから離乳を始め、遅くとも生後18カ月ごろには離乳が完了すると述べています。しかし、赤ちゃんにとって母乳は、ママから栄養をもらうだけでなく、安心感や心のつながりなど、精神面での要素も大きいです。そのため、1歳を過ぎても母乳を与えるようにとの見解を示しています。

 

出産後に出てくる初乳には、赤ちゃんにとって大切な免疫物質がたくさん含まれているのは周知の事実です。しかし、出産後1年経った後の母乳にも免疫物質が含まれており、エネルギーやたんぱく質、脂肪などの組成はそれほど変わりません。ただし、生後6カ月ごろには鉄分が不足するため、離乳食を始めることが必要とされています。母乳を飲むことによって、赤ちゃんは栄養をもらう以外にも安心感や信頼感を得ることができるため、1歳を過ぎたからといって断乳を急ぐ必要はありません。

 

ママが職場復帰するにあたって、赤ちゃんを保育園に入園させなければならないため、断乳をしたほうがいいのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、必ずしもそのタイミングで断乳をする必要はないとされています。ママが働いている場合は、仕事の時間など、母乳をあげられない時間は授乳を減らし、それ以外の時間は授乳を続ける「部分的卒乳」で対応することが可能です。ある日突然母乳をあげる回数を減らして授乳間隔があくと乳房のトラブルが起こることがあるため、徐々に授乳回数や時間を減らしていくことが必要となります。また、断乳をおこなう際は、母子ともに体調のいいとき、真冬や真夏、梅雨時や季節の変わり目などを避けた時期を選ぶとよいでしょう。

 

 

4-3 断乳の具体的な方法

断乳の方法はさまざまありますが、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても負担が少ないのが、計画的断乳です。ここでは、計画的断乳の方法の例を紹介します。

 

断乳する際、赤ちゃんが哺乳瓶やマグ、コップなどから母乳以外の水分を飲めるようになっていることが前提です。

 

まずいつごろ断乳したいのか決めます。計画通りに進まないことも想定し、余裕をもって決めるとよいでしょう。最後のおっぱいの日は、やはりパパの協力も必要になります。パパの仕事が休みの日に合わせるとよいでしょう。

 

おっぱいをやめる日が決まったら、カレンダーに印をして「この日になったらおっぱいとさようならしようね」などお話しして、赤ちゃんの心の準備をしていきます。

 

そして、徐々に昼間の授乳回数を減らしていきます。授乳にあてていた時間は、赤ちゃんと遊んだりお散歩に行ったりして、赤ちゃんにたくさん活動してもらいます。夜は今までどおりおっぱいを飲ませてもよいですが、絵本を読んだり赤ちゃんの背中をトントンするなど、おっぱい以外の入眠儀式を取り入れ、寝かしつけるようにします。

 

おっぱいをやめる日の朝、「これが最後だよ」と赤ちゃんにお話しして、思う存分おっぱいを飲んでもらいます。昼間、赤ちゃんにはいつものようにたくさん体を動かしてもらいます。夜になったら、お風呂や寝かしつけをパパにお願いするなどしてなるべく赤ちゃんにおっぱいを連想させないような工夫をします。なかにはおっぱいに絵をかいたり絆創膏を貼ったりするという方法もあります。おっぱいにからしやワサビを塗るという方法もあるようですが、赤ちゃんにとって嫌な体験となる方法はおすすめしません。

 

寝るとき、赤ちゃんがおっぱいを欲しがって泣くかもしれません。その際には、抱っこしたり、母乳以外の水分を与えます。あまりの泣きっぷりにママの心が揺らいでしまうかもしれませんが、赤ちゃんは数日でおっぱいなしの生活に慣れると言われています。

 

【計画的断乳の例】
1.断乳する日を決める
2.カレンダーに印をして赤ちゃんに心の準備をさせる
3.徐々に授乳の回数を減らしていく
4.おっぱい以外の入眠儀式を取り入れて寝かしつける
5.やめる当日の朝は赤ちゃんにお話をして思う存分おっぱいを飲んでもらう、昼はたくさん体を動かしてもらう、夜はお風呂や寝かしつけをパパにお願いするなどしてなるべく赤ちゃんにおっぱいを連想させないような工夫をする

 

 

4-4 卒乳・断乳後のおっぱいのケアと体の変化

卒乳・断乳後に最も注意しなければならないのは、乳腺炎です。卒乳・断乳の際、おっぱいが張ってきた場合は、おちょこ1杯程度搾乳し、おっぱいを冷やすとよいでしょう。授乳中同様、おっぱいが痛んだり、発熱するなどの症状が出た場合は、早めに産婦人科や母乳外来などでケアを受けましょう。

 

そして、妊娠中や授乳中に大きくなったおっぱいは、授乳を開始して6~9カ月後には小さくなっていきます。授乳を終えるとおっぱいが垂れてしまった……というケースもあります。卒乳・断乳後におっぱいが垂れてしまうのを防ぐためには、自分に合ったブラジャーをつけること、大胸筋を鍛えることで効果が期待できます。

 

また、出産後はホルモンバランスの変化によって数カ月間は生理が来ない状態になります。授乳中は赤ちゃんがおっぱいを吸ったり、母乳をつくるプロラクチンの作用によって卵巣のはたらきが抑制され、母乳を飲ませていない人に比べて生理の再開が遅くなる場合が多いです。そのため、卒乳・断乳後に生理が再開したという人も少なくありません。月経再開直後は無排卵性のことが多いですが、きちんと排卵がある場合もあり、生理の再開を見ずに妊娠してしまうケースも。ですので、予定外の妊娠を避けるためにも、生理の再開を確認し月経周期が安定するまでは、避妊をすることをおすすめします。

 

 

5.母乳育児に役立つ情報

 

5-1 あると便利な母乳育児グッズ

ここではあると便利なグッズとして、授乳クッション・授乳服・母乳パッド・母乳パック・搾乳器の5つを紹介します。

 

授乳クッション

授乳の際に膝の上に置いた状態で使用するグッズです。クッションの上に赤ちゃんを乗せることによって、赤ちゃんと乳房の位置が近くなり正しい姿勢で授乳ができるようになります。また、授乳時に赤ちゃんを支える手や腕への負担を軽減できます。大量のビーズや綿が入っており、授乳だけでなく妊娠中の抱き枕や産後に使用する円座としても使えるものなどがあります。

 

授乳服

授乳服は、胸元に授乳口があいており、洋服を着た状態で簡単に授乳できます。室内で授乳していても、授乳中におなかや胸元を大きく露出していると、徐々に体が冷えます。胸だけを露出できる授乳服を利用すれば、必要最低限の露出にとどめることが可能です。 外出先で授乳する際も、周囲や同伴者に気を使わず、赤ちゃんを待たせることもなくスムーズにおこなえます。機能性やデザイン、素材にこだわって作られた授乳服も多く、ファッションを楽しめることが魅力です。授乳服には見えない商品もあり、授乳期が過ぎたあとも通常の洋服として利用できます。

 

母乳パッド

母乳育児をおこなっていると、授乳時以外にも母乳が出てくるケースが多いため、就寝時や外出時には困ることもあります。母乳パッドは、自然に出てきてしまう母乳を吸い取るためのグッズです。母乳パッドを付けておくと、着替えられない状況でも、洋服が濡れることを予防できます。使用方法は非常にシンプルで、母乳パッドをブラジャーの内側に挟むだけで、生理用ナプキン同様に吸水性がある使い捨てタイプと、洗えるタイプがあります。母乳パッドは、敏感な胸元に直接触れるグッズであるため、肌触りがよく素材にこだわって作られたものを選ぶ必要があります。加えて、吸水性が高く蒸れにくいことや、ずれにくくしっかりフィットすることも重要です。

 

母乳パック

母乳パックは、搾った母乳を保存するためのグッズです。母乳を一時的に保管したり、冷凍して長期間保存したりするときに役立ちます。マチ付きのものやジッパー付きのものなどさまざまなものがあり、容量もいくつかのサイズが販売されています。パウチタイプのものが多いようですが、ボトルタイプのものもあります。

 

搾乳器

母乳は手でも搾乳できますが少しコツがいります。搾乳器は、母乳を搾ることができるグッズです。搾乳器には電動と手動のものがあり、電動搾乳器は手動搾乳器と比較すると手間がかからず、楽に搾乳できます。強弱をつけられるなど、ママの体に負担をかけにくい機能を備えたものがあることも特徴です。一方、手動搾乳器は、価格が安く購入しやすいと言えます。

 

 

5-2 母乳外来について

母子の絆が深まるとも言われる母乳育児ですが、授乳中に乳頭トラブルや乳腺炎等の乳房トラブルが起こることがあります。トラブルがなくても、母乳が足りているのかといった不安や悩みを感じる人は多く、だれにも相談できずひとりで抱え込んでしまうケースが少なくありません。

 

「母乳外来」は、授乳中におこるおっぱいトラブルや母乳育児に関するさまざまな不安や悩みを相談できる場所です。「状態は悪くないがおっぱいのケアを受けたい」「断乳や卒乳を考えている」といったママのサポートもしてくれます。母乳育児に関して困ったことや相談したいことなどが少しでもあれば、「母乳外来」を利用してみるのも良いでしょう。

 

母乳外来を利用したい場合

授乳中のママをサポートしてくれる母乳外来ですが、「行ってみたいけれどどこにあるの?」という方もいると思います。母乳外来をおこなっている施設や受診方法について見ていきましょう。

 

●母乳外来をおこなっている施設
出産した病院や助産院で母乳外来をおこなっているケースが多いです。里帰り出産などで出産した産院の母乳外来に通うのが難しい場合は、近くの産婦人科がある病院や地域の保健センターへ相談・問い合わせてみるのもいいでしょう。


助産院であれば、日本助産師会のホームページから全国の助産院を探すことができます。助産院であれば、訪問型の乳房ケアをおこなっているところもあるので、助産師さんに訪問していただき、自宅にいながら乳房ケアを受けることも可能です。また、独自で○○式といった手技を勉強し開業している助産院もあるので、施術内容などを確認の上、興味のある施設に問い合わせてみましょう。

 

→公益社団法人日本助産師会 全国助産所一覧

 

●受診を希望するときの予約方法
母乳外来は、個別でのケアとなるため、事前予約制とされているところがほとんどです。母乳外来が開設されている病院や助産院を見つけたら、まずは電話で問い合わせ、予約をしましょう。病院によってはインターネットで予約できるケースもあります。

 

母乳外来でおこなわれること

母乳育児が順調におこなえるための指導や乳房ケア、今抱えているトラブルや悩みの相談など、母乳育児全般のサポートが受けられることがほとんどです。具体的には、以下のようなものがあげられます。

 

●赤ちゃんの体重チェック
母乳外来では、受診のたびに赤ちゃんの体重測定をおこない、1日当たりの体重増加量をチェックします。母乳育児が順調であるかの1つの指標となります。

 

●授乳状況と1回授乳量のチェック
授乳回数が多い、1日当たりの体重増加量が少ない、母乳が足りているのかわからない、などの悩みがある場合、きちんと赤ちゃんがおっぱいを吸えているのか、1回あたりどれくらい母乳を飲んでいるのかを確認するために、母乳外来を受診中に実際に授乳してもらうことがあります。授乳量の確認方法は、授乳前後に赤ちゃんの体重を測定し、その差から判断するのが一般的です。

 

●乳房や乳頭のチェック
乳房や乳頭の痛みや異常などがないかを確認します。乳腺炎などのトラブルがあったり、母乳分泌が少なかったりなど、適切なケアが必要と判断された場合、乳房マッサージがおこなわれます。

 

●その他の相談
「赤ちゃんがうまくおっぱいを吸えていない」「断乳や卒乳を考えている」「ミルクと母乳の混合ではなく母乳だけにしたい」など、母乳育児に関するあらゆる相談ができ、一人ひとりに合ったアドバイスや指導が受けられます。

 

母乳外来の費用

母乳外来は、基本的には保険診療外のため全額自費となります。費用によっては利用する地域や病院、助産院によって異なりますが、初診の場合3,000円~8,000円、再診の場合2,000円~6,000円前後となるケースが多いようです。また、訪問型に関しては別途交通費などもプラスされることがあります。

 

母乳外来を受診するメリットと注意点

「おっぱいが出にくい」「母乳をうまく飲んでくれない」「乳房が痛い」など、母乳育児の悩みは尽きません。さまざまな悩みや不安が重なると、「自分のせいかもしれない」とひとりで抱え込んでしまうママもいますが、母乳外来を受診することで、多くのママの悩みを解決でき、納得した母乳育児ができる可能性があります。母乳育児に関して困ったことがあるのであれば、母乳外来をうまく活用しましょう。


受診時の注意点として、母乳外来では、相談内容によっては、赤ちゃんを誰かに預けるか診察中に見てもらえる人に同伴してもらわなければならないケースがあります。病院や助産院によっては赤ちゃん以外の子どもや男性が診察室へ入室できないこともあるため、事前に確認しておきましょう。

 

<事前に確認しておきたいこと>
・赤ちゃんと一緒に行っても大丈夫か
・赤ちゃん連れの場合、同伴者が必要か
・赤ちゃん以外の子どもを連れて行っても大丈夫か
・男性はどこまで入れるか(待合室までなら大丈夫かなど)

 

また、母乳外来は限られた時間でおこなっている施設が多く、自分が遅れると後の人に迷惑をかけてしまうため、予約時間よりも少し前に訪れるのがベストです。特に、初診時は問診票の記入などがあることも多いので、早めに行くようにしましょう。

 

 

まとめ

母乳で赤ちゃんを育てたいと思う人は多々いますが、実際はなかなか難しい……というのが現状です。出産後、少しでもスムーズに母乳育児を始めるには、妊娠中のケアや母乳育児に関する知識を得ておくことも大切です。ですが、母乳育児にこだわり過ぎ、母親がストレスを強く感じてしまうようでは、母親にとっても赤ちゃんにとってもよくありません。周りの人の協力を得ながら、そして時には育児用ミルクも頼りながら母乳育児ができるとよいですね。

 

参考:

平成27年度乳幼児栄養調査 

・『母乳育児支援スタンダード』(医学書院) 著者:NPO法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会

・『病気がみえるvol.10』(メディックメディア)

・『よくわかる母乳育児』(へるす出版) 著者:水野克己 水野紀子 瀬尾智子

 

 

 

 

 

◆母乳育児に関するQ&A

 

 

◆卒乳の体験談

息子は完全母乳で育ちましたが、生後10カ月のときに私が第二子を授かり、つわりや睡眠不足で夜の授乳がつらくなったため、断乳することを決めました。

 

断乳決行日は息子が1歳の誕生日を迎える月で、夫に会社から帰ってきて寝かしつけに協力してもらえるよう金、土、日曜日で設定をしました。約1カ月前から昼間の授乳回数を減らしていき、なるべく離乳食とおやつだけで日中は乗り切るようにしていきました。そして断乳決行日の1週間前ぐらいから寝かしつけの授乳をやめ、他の寝かしつけの方法を試しました。絵本や背中トントンは息子には全然ダメで、最終的に部屋を暗くして添い寝をしながらテレビで子ども向け教育番組を見ると20~30分ほどで寝てくれるようになりました。

 

そして断乳決行日、日中と寝かしつけはもう授乳がなくても大丈夫だったので、あとは夜間だけです。初日の金曜の夜は、やはり授乳していた時間に2回ほど泣きましたが、抱っこはせず気長に添い寝をしていたところ、30分ほど泣きながら寝返りを繰り返しそのまままた寝てしまいました。2回目に泣いたときも同様でした。2日目の土曜の夜も夜泣きを覚悟していましたが、初日ほど泣くこともなく起きてもすぐまた寝入ってくれました。3日目の日曜日以降も、ほぼ泣くことなく朝までぐっすり寝れるようになり、無事に断乳することができました。

 

約1カ月かけて徐々に授乳回数を減らしていったからか、断乳後は少しおっぱいが張った程度で特に痛みもなく、自分で数回搾乳しただけで落ち着きました。おっぱいが大好きだった息子が断乳できたことに驚きと、息子の成長を感じました。私も朝までぐっすり寝れるようになり、慢性的な疲労感や睡眠不足が解消されたので、以前よりも昼間息子と余裕を持って楽しく過ごせるようになりました。

もなか さん

私は母乳が出なくて8割育児用ミルクで娘は育ちました。時々子育てサロンで卒乳の話題が聞こえたりして娘はいつ卒乳できるのかなって気になっていました。従妹の子どもは3歳くらいまで育児用ミルクを飲んいでたと聞いていたし気にしないように過ごしていました。

 

今年1月になって哺乳瓶の卒業をめざしていて、毎晩寝かしつけの育児用ミルクと牛乳を1日おきにコップなどで与えていたらあっさり卒乳できました。 

なみな さん

 

 

◆助産師に相談(卒乳)

 

→その他の卒乳に関する相談

 

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