【助産師監修】乳幼児の虫よけ・乾燥対策
虫よけ対策
蚊やブヨ、毛虫、ダニなど、虫にさされることが原因で、皮膚が赤く腫れるなど炎症を起こすのが虫さされ。特に子どもに多いのは、蚊にさされたあとの腫れであり、虫が多く、肌を露出する初夏~秋口にかけて多く見られる肌トラブルです。
赤ちゃんの場合は、虫にさされた部分が赤く大きく腫れることがあります。赤ちゃんは大人に比べて虫さされの経験が少ないため、体が過剰に反応し、ひどくなりがちです。また、虫にさされた直後に腫れるのではなく、1~2日後から腫れることが多いようです。6歳を超すと自然に免疫がついてきて腫れも少なくなります。
➡虫除けスプレーや塗り薬の安全性
蚊は二酸化炭素に反応して寄ってきますので、そもそも呼吸数が速い子どもはさされやすく、大人と一緒にいても子どもだけさされることもよくあります。蚊の多い場所や時間帯の外出は避ける、網戸にする、虫除けスプレーや虫除けシートを利用するなどして予防に努めましょう。
赤ちゃんに虫除けを使用していいものかどうかためらわれる方もいらっしゃいますが、肌の弱い赤ちゃんでも虫除けでかぶれてしまうことはほとんどありません。刺されたあとに皮膚トラブルを繰り返す場合は、むしろ積極的に利用してあげたほうがよいでしょう。2時間おきにつけ直してあげるのもポイントです。
➡虫さされによる病気もある?
通常、虫にさされたあとは、さされた場所をせっけんでよく洗ってから市販の虫さされ薬を塗っておけば十分です。しかし、かゆみが強いと夜眠れずにぐずったり、かきむしると細菌に感染して化膿したり、とびひになることもあります。また、もともとアトピー性皮膚炎があると、さされた場所がしこりとなり、治りづらくなることも。
腫れがひどいとき、かゆみや痛みが強いとき、かたいしこりになったとき、じくじくしたとき、治りづらいときなどは皮膚科を受診しましょう。また、さされた後に39度以上の高熱が出たり、さされた場所が深くえぐれたりした場合は必ず受診しましょう。
乾燥対策
子どもの皮膚が乾燥しているのは、基本編で述べた通りです。特に湿度が低下する9月~3月は、水分の蒸散量が増えるため、お肌はてきめんに乾燥します。皮膚の最外層である角層は、細胞がレンガを積み重ねたように配列され、外界からの刺激をシャットアウトしているのですが、肌が乾燥していると細胞の配列が乱れ、汚れや微生物をはじき返すことができなくなり、湿疹ができたりかゆみが起こりやすくなってしまうのです。かゆみや湿疹が出ていれば、こじらせないために治療が必要になります。悪化させる前に診察を受けることが効果的な治療につながりますので、早めに皮膚科を受診しましょう。
➡ホームケアのポイント
乾燥肌にはスキンケアが大切。まず、体を清潔にしましょう。せっけんは刺激の少ない物を選び、よく泡立ててやさしく洗浄し、しっかり洗い流します。水分はタオルを押し当てるようにしてやさしくふき取り、その後保湿します。
市販の保湿クリームを選ぶ際は、余計な着色料や香料の配合されていない低刺激性の物がいいでしょう。また、ローションは伸びがよく塗りやすい反面、持続力に乏しいため、乾燥の程度が強ければクリームか軟膏を選び、手のひら全体でしっかりムラなく塗ります。カサカサの程度によっては、1日に何度か塗りなおすことが必要です。
また、最近の傾向として、お風呂タイムに入浴剤を愛用する方が増えていますが、保湿する成分が配合された保湿入浴剤でしたら、スキンケアの補助になります。ただし、かゆみがある場合は、体を温めるとかゆみが増しますので、長湯をしたり、温泉の素など体を温める成分の配合された保温入浴剤は使用しないように気をつけましょう。
また、冬の室内は暖房の使用でさらに乾燥しやすいため、加湿器を利用するなどして湿度が50~60%になるように心がけたいもの。屋外では、洋服から露出している皮膚は風に吹かれて水分が蒸散します。スカートの下にもタイツをはかせるなど、衣類でカバーしましょう。
➡保湿とあせもの関係
夏場はあせもができやすいため、何も塗らないほうがいいと思われている方が多いのですが、実は保湿剤で皮膚表面の角層を潤してあげたほうが皮膚のバリアー機能を高めるため、あせもを予防することができます。ただ、保湿剤の選び方が大切で、軟膏類などベタつくものでは汗を閉じ込めてしまう場合もありますので、 保湿剤をローションやさっぱりしたクリームタイプにするといいでしょう。湿気の多い夏場は、保湿が不要の子もいる一方で、夏でも乾燥している子もいます。個人差がありますので、お子さんの肌質に合わせたスキンケアを取り入れてください。