【助産師監修】出産時に子宮口が開きにくい「原因」と妊娠中にやっておきたい「対策」

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

子宮口開くイメージ

 

出産のときは、陣痛に伴って子宮口が徐々に開いていきます。今回は、子宮口の開大と陣痛の関連性や子宮口の開きが悪いときの対処法についてご説明します。

 

 

出産までの時間経過ごとに見る「子宮口の開き方」

分娩の経過は各期に分けられます。妊娠後期から分娩の経過を見ていきましょう。

 

妊娠後期:分娩の前兆がみられる

出産が間近に迫った妊娠後期、ママの体には分娩の前兆とも言えるさまざまな変化が訪れます。その代表的な兆候が「おしるし(産徴)」や「前駆陣痛」です。

 

前駆陣痛とは本格的な陣痛の前に起こる、不規則で弱いおなかの張りを指します。また、子宮頸管はホルモンの影響などで少しずつやわらかく、短くなっていき、子宮口も少しずつ開き始めます。そして、胎児も骨盤の中に下降していきます。

 

分娩第1期(開口期):子宮口の開大が進む

一般的な所要時間

  • 初産婦さん:10~12時間
  • 経産婦さん:初産婦の約半分の時間

 

分娩第1期は「開口期」とも呼ばれます。この時期は陣痛の開始から子宮口全開大(10cm)となるまでの時間となり、1時間に6回以上あるいは10分おきの規則的なおなかの張りとなった時点から陣痛開始と判断されます。

 

一般的に初産婦さんの分娩第1期の所要時間は10~12時間、経産婦さんの場合はその約半分と言われています。

 

個人差はありますが、最初は10分おきの弱い陣痛も、分娩の進行とともに間隔も短く強くなっていき、子宮口が全開大になるころには2分おきに陣痛が来て1分ほど続くようになります。

 

子宮口は陣痛と赤ちゃんの頭に圧迫されることで少しずつ開いていきます。初産婦さんの場合、子宮口が4cmほど開いてくると、子宮口が開くスピードも急速に早まり、子宮口が9cmくらいになると再び子宮口が開くスピードが遅くなります。一方、経産婦さんの場合、徐々に子宮口が開いていく期間が初産婦さんより短く、一気に子宮口が開くケースが多くみられます。

 

分娩第2期(娩出期):子宮口全開大から胎児娩出まで

一般的な所要時間

  • 初産婦さん:1.5~2時間
  • 経産婦さん:0.5~1時間

 

いよいよ出産も山場、分娩第2期は「娩出期」とも呼ばれます。初産婦さんは1.5~2時間、経産婦さんは0.5~1時間ほどかかります。


分娩第2期は子宮口全開大前後に破水し、いよいよ赤ちゃんが生まれ、赤ちゃんが生まれると陣痛もなくなります。
 

分娩第3期(後産期):胎児娩出から胎盤娩出まで

一般的な所要時間

  • 初産婦さん:15~30分
  • 経産婦さん:10~20分

 

「後産期」とも呼ばれる分娩第3期には、胎盤の娩出がおこなわれます。所要時間は初産婦さんで15~30分、経産婦さんは10~20分ほどです。

 

胎盤が娩出されると、妊娠によって大きくなった子宮が妊娠前の状態に戻ろうとするため、子宮収縮が起こり、痛みを伴う後陣痛が起こります。後陣痛は個人差がありますが、産後2~3日まで痛みが続くと言われています。

 

胎盤が娩出されると分娩は終了となりますが、その後の約2時間は産後の出血が増えたりすることもあり、注意が必要な時期となるため、「分娩第4期」と定義されることもあるようです。ママは大仕事を終え、ホッと一息。分娩室で安静にしながら、赤ちゃんと対面したり写真を撮ったりできる場合もあります。

 

 

 

 

子宮口が開かない「原因」

子宮口がスムーズに開かないと、出産には至りません。初産婦さんで30時間以上、経産婦さんで15時間以上経過しても赤ちゃんが生まれない場合を「遷延分娩(せんえんぶんべん)」と判断され、母児ともに悪影響が及ぶこともあります。そのため遷延分娩と判断された場合、状況によって帝王切開になることもあります。

 

子宮口がスムーズに開かない要因はさまざまあります。

 

  • ●微弱陣痛
  • ●逆子・回旋異常
  • ●軟産道強靭(なんざんどうきょうじん)

など

 

さらにこれらの要因もさまざまあり、複数の要因が関連して生じていることも多くあります。


 

 

 

子宮口がなかなか開かないときの「対処法」

子宮口の開きがスムーズでない場合、その原因にあわせて対処していくことが必要です。状況によって、陣痛促進剤を使用したり、帝王切開になることもあります。ここではママ自身がおこなえる対処法を4つ紹介します。

 

  1. 1. 休息と食事
  2. 2. 体を温める
  3. 3. じっとしているのもNG
  4. 4. リラックス

 

1. 休息と食事

長くつらい陣痛に向き合っていると、なかなか休めないし食事も摂れないということもあるかもしれません。ですが、疲労やエネルギー不足は微弱陣痛の原因にもなります。陣痛と陣痛の合間に休んだり、食べられるものを食べるなどして陣痛を乗り切りましょう。

 

2. じっとしているのもNG

痛みがあるとあまり動きたくないと思ってしまいませんか? 可能であれば歩いたり、入浴したりすることでお産がすすむことがあります。

 

3. 体を温める

体を温めることで血行も良くなりますし、リラックス効果も得られます。入浴、足湯、腰を温めるなどするのもおすすめです。

 

4. リラックス

お産するうえで、なかなかうまくできないのがリラックスです。お産がすすむにつれ、体に力が入ってしまうかもしれません。ですが、子宮口が全開大するまではなるべくリラックスするようにしましょう。ラクな姿勢をとったり、呼吸法をおこなったり、好きな音楽を聴いたり、場合によってはアロマを活用しても。陣痛中の過ごし方については、産院によってNGの事柄もありますので、事前に確認しておくと安心ですね。

 

 

妊娠中にやっておきたい「対策法」3つ

  1. 1. 体重管理
  2. 2. 適度な運動で体力アップ!
  3. 3. イメージトレーニング

 

1. 体重管理

妊娠中に体重が増えすぎたり、もともと肥満体型であったりすると、微弱陣痛などさまざまな合併症を引き起こす危険性があります。妊娠中は脂っこい食べ物などを控える、無理のない範囲で身体を動かすと同時に、不足しがちな鉄分やカルシウムを積極的に取り入れましょう。

 

2. 適度な運動で体力アップ!

妊娠中に激しい運動は禁物ですが、適度な運動は体力維持やストレス解消にも効果的だと言われています。臨月になったらウォーキングなどの有酸素運動に取り組みましょう。

 

3. イメージトレーニング

特に初産婦さんの場合、分娩中、に痛みや恐怖から過緊張に陥ってしまう場合があります。妊娠中に分娩の進み方をよく理解しておき、日頃からイメージトレーニングをおこないましょう。

 

また、緊張したときにはゆっくり息を吸って吐く、いわゆる呼吸法の練習もしておくと良いでしょう。呼吸法にはさまざまな手法がありますが、陣痛のタイミングに合わせてしっかり息を吐くことを意識しましょう。
 

 

 

まとめ

子宮口の開き方や赤ちゃんが生まれるまでの時間には個人差があります。陣痛中は痛みを伴い、長時間となることもあるためつらいものですが、ゆっくり深呼吸し、なるべく緊張しないように努めましょう。少しでもスムーズにお産がすすむよう、妊娠中から準備しておくことも大切ですね。

 

 

参考

メディックメディア:病気が見える vol.10 産科

 

 

 

 

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

 

 

 

◆子宮口に関連するQ&A

 

◆破水の体験談

二児の母です。2人目のときに破水と出血がありました。妊娠32週になったばかりの午前3時ごろ、寝返りを打ったときに生理が来た感覚で目が覚めました。嫌な予感がしたので、トイレに小走りで向かい、便座に座りました。そのとたん、おしっこではない制御できないものが「ジャー」と流れ、便器の中を見ると真っ赤になっていました。

 

すぐに夫を呼び、病院に電話をしてもらいました。上の子はまだ眠っていたので、実家の親に電話し、保育園のバック・朝の着替え・家の鍵をひとまとめにして置き場所を親に伝え、上の子を引き取りに来てもらいました。その後、お産する予定だった病院からNICUがある病院へ転院し、すぐに帝王切開で出産しました。

 

常位胎盤早期剥離だったそうです。胎盤と子宮の間に血液がたまり、本来ならすごい痛みがあるようなのですが、痛みもあまりありませんでした。そのため上の子の支度など、冷静に準備ができました。運がよかったとしか言いようがありません。痛みがあればパニックになってどうして良いかわからなかったかもしれません。

 

入院セットは準備して置いていましたが、上のお子さんがいる場合は常に前の晩のうちに翌日の準備を終わらせておいて、家族ともしものときについて話し合っておいたほうがいいと思います。

みかんぼうや  さん

私は陣痛が来てから破水しました。みなさんの体験談を読んでいたためわかったのですが、いきなり「ぱん」と何かがはち切れるような音がしたのを覚えています。その10分後には赤ちゃんの頭が出てきました。

あいばっち さん

第二子妊娠中、出産予定日4日前に朝から用事で出掛け、昼に帰宅。15:00ごろから少し眠く、昼寝をして16:30ごろ起きて、横になったままぼーっとしていたら、突然、ジュワーっとおしっこでない、温かな液体が下半身から出てきました。

 

横で一緒に寝ていた夫を叩き起こし、愛犬のペットシーツを股間にあてて産婦人科へ。


産婦人科に着いた後から陣痛が始まり、その日の22時04分に生まれました。ビックリしてしまうほどの出産の進み方に私が驚いてます。前の日は近所の串カツ屋でたんまりごはんを食べ、当日は朝マックしていたのに、出産したのが信じられませんでした。

ばしこ さん

来月に二児のママになります。1人目のとき、夫とゲームセンターに行っていたのですが、たばこのにおいがつらく、「早く帰ろう」と言っても「もうちょっと」と言い、パチスロをずっとしていました。頭にきて徒歩1時間かかるであろう家まで帰っているときに破水。もうすぐ家だったため夫にメールをし、一旦帰宅。

 

破水の量もそれ程多くなく、チョロ、チョロって感じだったのでごはんを食べていたら再度破水。今回はパンツを下ろすとタレ流し状態だったため、病院に電話。

 

本格的な破水ではないため、抗生剤の点滴。安静にとのこと。陣痛がすぐにくるわけではないため、夫帰宅。その1時間後くらいに本格的な破水。夫に戻ってきてもらい、無事4時半で出産しました。

 

つらかったのは座れないことですかね。座ってはダメ、横になっていてくださいとの指示でしたので、トイレ以外は横になっていていました。

さくら  さん

妊娠39週目、いつも通り横になって寝ていると、突然ブチッと音がしました。子宮口でも開いたのかなー? と呑気に構えて立つと、何か出ている気がする……。

 

トイレに行くとピンクっぽい水が出ていて、全然止まりません! あたふたしながら大きいナプキンをあて病院に電話、準備していた入院グッズを持って病院に向かいました。

 

「破水ですねー」と言われ、そのまま入院。翌日、本格的な陣痛が来て出産しました。初産だったし、破水から始まると思っていなかったので本当にビックリしました。

まりん  さん

妊娠33週。産後の準備も整い、体調もよかったので久々に美容院に行き、そのあとちょこっと夫と動物園に寄りました。特に変わった様子もなく夜寝たのですが、朝方4時に生理のようにつーっと液体が流れる感覚で目が覚めました。慌ててトイレに行くと、パンツがピンクににじんでいました。そしてどんどん流れ出て止まりませんでした。

 

すぐに夫を起こし、病院に電話。「尿もれっていうこともあるけど、とりあえず病院に来てください」と言われ、まだまとめていなかった入院グッズをバックに詰め込み、病院へ。


あんなに量が出たのに、「羊水の量は足りているからもたせよう」と提案を受けましたが、そこから陣痛に繋がり、逆子だったこともあり、緊急帝王切開で出産しました。

 

これまで順調に来ていて突然破水するとは思ってもいなかったので、心の準備がまったく整っていないままでのお産でした。そんな息子も今月で2歳。そして今月お兄ちゃんになります!

jrm さん

2人目の出産予定日2週間前の夜中のことでした。寝ていると突然「ズンッ」という衝撃とともにいつもより強くおなかが張った感じがしました。その少し前からウトウトしながらトイレに行きたいなあと思っていたのでおなかの張りが治まってトイレに行くと、おりものシートが濡れている感じが。

 

実はそれが破水でした。少量の尿漏れ対応のおりものシートだったのですが、それでなんとかなる程度だったので、すぐに破水とは思いませんでした。そしておなかの張りだと思っていたのが陣痛でした。その後も1、2度トイレに行きたくなって、そのときにおしるしがほんの少しあったので普通のナプキンにしましたが、それで充分な感じでした。

 

3回目くらいのトイレの後、あまりの痛さにトイレの前で倒れこみ、陣痛なんだと確信して病院に連絡したのが、最初の「ズンッ」から約1時間後のことでした。その時点ですでに陣痛も6~7分間隔で、里帰り出産だったので親に病院に連れて行ってもらう予定が、あまりに陣痛の進行が早くて動けなくなり救急車で病院へ。分娩台に直行して3度ほどいきんだら生まれました。最初の「ズンッ」から約2時間後の超スピード出産でした。

きょん×2 さん

夜中3時ごろふと目が覚めて、チョロチョロ~と尿漏れのような感覚が。トイレへ行ってみると、おしっこも出ましたが、それとは別のものも出ている感じがしました。すぐおさまったのでしばらく様子をみることにしました。

 

その後も寝転がったり、立ち上がったりするときに出ている感じがしたので、病院に電話して親に車で連れていってもらいました。そしてそのまま入院。

 

子宮口はほとんど開いておらず、生理痛のような痛みが少しあるものの、24時間経っても陣痛が来なかったので、陣痛促進剤を使うことになりました。かなりの痛みがきましたが、なかなか陣痛の間隔も縮まらず、子宮口も開かなくて、結局生まれるまで16時間ほどかかりました。出産予定日より2週間以上も早く、いきなりの破水だったのでちょっとびっくりしました。

サンバ  さん

出産予定日から2日後、昼食を終えると水風船が割れるようなバチンという感覚とともに、破水しました。助産師さんから事前に指導されていた通り、すぐに悪露用のパットをあてて、病院に連絡。タクシーを呼びましたが、何度取り替えてもパットがあっという間にぐっしょり。漏れて下着まで濡れて着替えて……という繰り返しで、なかなかタクシーに乗れず。

 

ようやく病院にたどり着き、分娩室に入りましたが、夜になっても子宮口が開かず。陣痛と戦いながら一晩過ごしました。 翌日、子宮口を広げるためにバルーンを挿入し、陣痛促進剤を打ちましたが、やはり子宮口は広がらず。

 

陣痛が24時間続き、あまりの苦しさに何度も先生に帝王切開をお願いしましたが、自然分娩が一番と言われ…… 結局30時間近くのたうちまわりましたが子宮口は開かず。

 

母子ともに体力が低下して危険な状態と判断され、ようやく帝王切開をしてもらえました。あのときは意識がもうろうとしているなかでもとてもホッとしたのを覚えています。

ぱんだ   さん

 

 

 

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