妊婦さんはお寿司やお刺身は食べられる?妊娠中の生ものの食べ方について

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妊娠中のお寿司、お刺身の食べ方イメージ

 

お腹の赤ちゃんのためにも妊娠中は生ものを控えた方がよいといわれています。妊婦さんは、お寿司や刺身などの生ものを食べてはいけないものなのでしょうか?ここでは、お寿司のネタに注目し、食べるときの注意点や生ものを食べるリスク、妊娠中におすすめの寿司ネタなどをご紹介していきます。

 

 

妊婦さんは生ものを食べてもよい?

妊娠中に生ものを食べるのは“絶対にダメ”というわけではないため、寿司や刺身などの生ものを食べることはできます。しかし、食べるときに注意をしなければならない食材があります。


魚介類には、EPAやDHAといった高度不飽和脂肪酸や良質の動物性タンパク質、必須ミネラルなどの栄養素が豊富なため、妊娠中はおなかの赤ちゃんの成長のためにも魚介類を積極的にとった方がよいとされています。

 

しかし、一般的な魚のほとんどに、おなかの赤ちゃんに悪影響を与えてしまう水銀が含まれています。将来の生活に大きな支障が出るほどではありませんが、一部の魚介類(特に大型の魚)は、食物連鎖によって水銀の濃度が高くなっているため、摂取量には注意が必要です。


妊娠中は、感染症などに対する抵抗力が下がっており、感染のリスクが普段よりも高いです。したがって、体調が悪いときは生ものを避けた方がよいといわれています。生ものを食べることへの制限はありませんが、新鮮なものを体調がよいときに食べるようにしましょう。

 

 

生ものから感染する可能性がある細菌やウイルス

お寿司や刺身、寿司ネタとして使用されるような加工食品には、食中毒のリスクがあります。食中毒を引き起こす代表的な細菌やウイルスと主な症状などについて見ていきましょう。

 

●サルモネラ
生魚や生肉、生卵などにいるため、生食することで感染しやすいです。
・発症までの時間:食後6時間から48時間後
・主な症状:下痢、腹痛、嘔吐、発熱など
・具体的なメニュー:牛肉のたたき、半生の卵焼きなど


●黄色ブドウ球菌
人間の皮膚や髪の毛などにいる菌で、加熱後に素手で作業する際に食品に移り、感染するとされています。
・発症までの時間:食後1時間から6時間後
・主な症状:腹痛、吐き気、嘔吐、まれに下痢
・具体的なメニュー:握り寿司全般、巻き寿司、いなり寿司など

●ノロウイルス
2枚貝に含まれているウイルスで、生食や加熱不足のまま食べることで感染します。
・発症までの時間:食後1日から2日後
・主な症状:嘔吐、下痢、腹痛
・具体的なメニュー:牡蠣、あさりなど


●アニサキス
魚介類に寄生している「アニサキス」を食べることで起こる食中毒です。食後数時間から10時間以内に症状が出ることが多いですが、10時間から数日後に症状が出るケースもあります。
・発症までの時間:胃/食後数時間から10時間後、腸/食後10時間から数日後

・主な症状:胃/みぞおち付近の激痛、吐き気、嘔吐、腸/下腹部の激痛、腹膜炎症状
・具体的なメニュー:生のサバ、イワシ、サンマ、イカなど

 

●リステリア
河川水や動物の腸管内などにいる細菌で、妊婦さんが感染すると胎児に感染し、影響が出る恐れがあります。

・発症までの時間:数日後から数週間後が一般的(ただし、24時間以内や90日以降に発症する可能性もあります)
・主な症状:インフルエンザのような症状(重症による致死率が高い)
・具体的なメニュー:スモークサーモン、生ハム、ナチュラルチーズなど

 

 

食べてよい寿司ネタと食べない方がよい寿司ネタ

食べてもよい寿司ネタと食べるのを控えた方がよい寿司ネタはどのようなものがあるのでしょうか。実際の寿司ネタを例に見ていきましょう。

 

●食べてもよい寿司ネタ
赤ちゃんに悪影響を与えるとされている水銀を含む魚は多いですが、上限とされている量の範囲内であれば食べても大きな心配はいらないといわれています。食中毒のリスクがある魚介類も新鮮なものや炙りネタになれば食べられるケースもありますが、基本的には特に注意が必要でない寿司ネタを選ぶようにしましょう。

 

・キハダマグロ
・ブリ
・カツオのたたき
・タイ
・ツナ
・たまご
・キュウリ巻き
・納豆巻き
・いなり寿司

 

食べ過ぎに注意すれば、以下の寿司ネタも食べられます。
・うなぎ
・いくら
・インドマグロ(ミナミマグロ)

 

動物性のビタミンAが多いうなぎは、食べ過ぎると奇形や先天性異常のリスクが高まりますが、水銀を含む魚と同じで食べ過ぎないようにすれば、問題はないといわれています。いくらは、塩分が多い寿司ネタのひとつです。食べるのは問題ありませんが、妊娠高血圧症候群の方やその疑いがある方は少量にしましょう。

 

●食べない方がよい寿司ネタ
厚生労働省があげている水銀量が多い魚や食中毒のリスクが高い食材は、食べない方がよいかもしれません。具体的な寿司ネタとしては以下のようなものがあげられます。

 

・本マグロ(クロマグロ)
・マッコウクジラ
・牡蠣
・イカ
・アジ
・サンマ
・生ハム
・牛肉のたたき

 

信頼できるお店の新鮮なネタであれば、少量を食べても大きな心配はないとされています。しかし、妊娠中は抵抗力が弱くなっています。生で食べるのは最小限の量にとどめ、新鮮でも体調不良のときは、摂取を控えましょう。
 

 

生ものの摂取量の目安と避けたい加工食品

生で食べるときの量や妊娠中は摂取を避けたい加工食品も一緒に覚えておきましょう。

 

生ものの摂取量

妊娠中に生ものを食べるとき、妊婦さんはどれくらいの量なら大きな心配がないといわれているのでしょうか。1人前を約80gとしたときの目安となる摂取量ごとに、魚の種類をみていきましょう。

 

・2か月に1回(1週間当たり約10g)
バンドウイルカ

・2週間に1回(1週間当たり約40g)
コビレゴンドウ

・1週間に1回(1週間当たり約80g)
キンメダイ、クロマグロ、メカジキ、メバチマグロ、マッコウクジラ、ツチクジラ、エッチュウバイガイ

・1週間2回(1週間当たり約160g)
キダイ、ミナミマグロ、マカジキ、ヨシキリザメ、ユメカサゴ、イシイルカ、クロムツ

 

<食べ方別の一般的な重量>
食べ方によって摂取量が大きく変わります。お寿司や刺身、切り身の一般的な重さを押さえて、摂取量の目安にしましょう。

・寿司ネタ(1貫):約15g
・刺身(1切れ):約15g
・刺身(1人前、3~4切れ):約80g
・切り身(1切れ):約80g

 

●避けたい生魚以外の食べ物
寿司ネタは、バリエーションが豊富で最近は生ハムや牛肉のたたきなどの変わりダネも多いですが、寿司ネタに使用されるような加工食品には食中毒のリスクがある食材が多いです。リステリアやサルモネラへの感染が心配される加工食品としては、次のようなものがあります。

 

・ナチュラルチーズ(特に加熱殺菌がされていないもの)
・スモークサーモン
・生ハム
・肉や魚のパテ
・牛肉のたたき

 

 

まとめ

妊娠中は、生ものは絶対に食べてはいけないというわけではありません。むしろ、魚は、良質なたんぱく質や脳の発育効果があるとされる高度不飽和脂肪酸が多いため、バランスよく摂取した方がよい食材です。

ただ、食中毒や水銀が心配されるのも事実です。出産すればまた食べることができるようになるので、妊娠中は少しつらいかもしれませんが、お寿司や刺身などの生ものはストレスとならない程度に控えつつ、食べても大丈夫とされる魚や生以外のメニューで積極的にとるようにしましょう。


参考文献
厚生労働省「これからママになるあなたへ」:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/100601-1.pdf
厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf
農林水産省「(3)日本人の健康的な食生活を支える水産物」:http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h24_h/trend/1/t1_1_1_3.html

農林水産省「黄色ブドウ球菌(細菌):http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/staphylococcus.aureus.html
農林水産省「ノロウイルス(ウイルス)」:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/norovirus.html
農林水産省「アニサキス(寄生虫)」:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html>
厚生労働省「リステリアによる食中毒」:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html>
農林水産省「リステリア・モノサイトゲネス(細菌)」:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/listeria.monocytogenes.html
厚生労働省「リステリアによる食中毒」:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html
農林水産省「リステリア・モノサイトゲネス(細菌)」:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/listeria.monocytogenes.html

厚生労働省「マタニティリステリア菌チラシ」http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/ninpu.pdf

 


 

 

 

監修者

看護師 しらいし ゆみか

フリーライター


2008年より看護師として総合病院勤務。診療科としては主に小児科、整形外科、泌尿器科を経験。その後、派遣でクリニックや健診、ツアーナース、保健室業務、保育園、看護学校臨時教員などさまざまな働き方をし、現在はフリーランス看護師として働きながら医療系ライターとしても活動中。


2017/12/15


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