【管理栄養士監修】妊婦の鉄分不足に注意!貧血に効く食べ物・解消法

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管理栄養士井上わかこ

京都女子大学 食物栄養学科卒業、管理栄養士。一女の母。外食産業での勤務経験(オーガニックレストラン勤務) が長く、その経験から素材や調味料も健康に大きく関係すると考えている。現在はクリニックやスポーツジムで、定期的に栄養カウンセリングやセミナー活動を行っている。

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看護師しらいし ゆみか

2008年より看護師として総合病院勤務。診療科としては主に小児科、整形外科、泌尿器科を経験。その後、派遣でクリニックや健診、ツアーナース、保健室業務、保育園、看護学校臨時教員などさまざまな働き方をし、現在はフリーランス看護師として働きながら医療系ライターとしても活動中。

妊婦鉄分イメージ

 

妊娠中に、貧血と言われたことがある妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊婦さんにとって重要な栄養素の1つに鉄分があります。妊娠中は、鉄分が不足しやすいため、サプリや鉄剤などを飲まれる方もいると思います。
今回は、鉄分の働きや1日にどのぐらいの鉄分をとれば良いのか、サプリや鉄剤の他に効果的に鉄分をとる方法などについて解説します。

 

 

 

妊婦さんが鉄分不足になりやすい理由

妊娠をするとおなかの赤ちゃんの発育のために、多くの鉄分を優先的に赤ちゃんへと送る必要があります。また、体を循環している血液の量が増えるため、赤血球を作るのに鉄分が必要になります。そのため、妊婦さんは鉄分不足から、貧血となる可能性があります。貧血は、妊娠中はもちろんのこと、産後の生活にも影響がありますので、妊娠前から意識的に鉄分をとることが大切です。

 

 

鉄分の働きと鉄分不足・過剰摂取時の症状

鉄分は、赤血球をつくっているヘモグロビンを生成しています。ヘモグロビンは、肺の中で酸素と結びつき、全身に酸素を届けています。
 
■鉄分が不足しているとき
鉄分が不足すると動機、息切れ、めまいなどの症状が現れます。この状態は、体内の酸素が足りない状態で、心臓が酸素不足を補おうと働きが活発になるためです。
 
■鉄分が過剰なとき
鉄分は不足することが多い栄養素ですが、鉄剤やサプリから過剰に鉄分をとると、鉄中毒になる可能性があります。症状は、便秘や下痢、嘔吐、腹痛、亜鉛の吸収が妨げられることなどです。鉄分を過剰にとってからだいたい6時間以内に症状が現れます。鉄中毒が重症化すると、肝不全や肝硬変となる可能性があります。

 

 

鉄分の1日摂取量について

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)によると推奨されている量は、妊娠初期で約9〜13mg、妊娠中期から後期では約16〜20mgとなっています。


日本人の妊娠可能な女性の平均的な鉄の摂取量は、厚生労働省の国民健康・栄養調査(1989年版)によると約6mgとなっており、推奨されている量よりも不足していることがわかります。そのため、食事で足りない分は鉄剤やサプリ、鉄分入りのお菓子などで補うようにしましょう。ただし、お菓子は糖分が多く含まれていることもあるので、食べ過ぎないようにしましょう。

 

サプリは、1粒あたりの含有量が非常に多い物もあるので、用法用量を守って利用しましょう。また、普段の食事からも鉄分はとれているので、そのことを計算してサプリの1日の服用量を決めることが大切です。1日の鉄分をとれる上限は、妊娠前と変わらず40mgとなっています。


その他に薬を飲んでいる方は、鉄剤やサプリとの飲み合わせが悪い物もありますので、医師に相談してからとるようにしましょう

 

 

おすすめの食べ物と摂取方法

鉄分には、吸収されやすいヘム鉄と吸収されにくい非ヘム鉄があります。それぞれ次のような食材に含まれています。

 

・ヘム鉄
豚レバーや鶏レバー、牛モモ赤身肉、あさりやしじみ、かつおなどの動物性食品に多く含まれています。

 

・非ヘム鉄
ほうれん草や小松菜、大豆、卵黄や油揚げなどの植物性食品に多く含まれています。
 
このうち、日本人は非ヘム鉄をとることが多く、十分に鉄分をとっているつもりでも不足している可能性があります。ヘム鉄の吸収率は非ヘム鉄の5~6倍とも言われているので、ヘム鉄を含む食材を意識的にとることが大切です。
また、良質な動物性タンパク質、ビタミンB2・B6・B12、ビタミンC、葉酸、銅などは鉄の吸収に必要な栄養素なので、1日3食規則正しくさまざまな食材を使った食事をとることが大切です。

 

 

鉄分の吸収を抑える働きがあるもの

鉄分の吸収を抑える食べ物や飲み物があるので、鉄分をとるときには注意が必要です。コーヒーや緑茶、紅茶などには、鉄の吸収を抑えるタンニンやカフェインが含まれています。そのため、食事の1時間前後は、飲むのを避けたほうがよいとされています。
その他にも、玄米や豆類などに含まれているフィチン酸が鉄の吸収を妨げる可能性があるので、食べ過ぎに注意しましょう。

 

 

まとめ

妊娠中はおなかの中の赤ちゃんに鉄分を送るため、お母さんの鉄分が不足しやすいです。そのため、バランスのとれた食事から鉄分をとるようにしましょう。また、各種ビタミンや良質なタンパク質など鉄分の吸収を高める栄養と一緒にとることが大切です。
妊娠中だけではなく、分娩での出血や産後の授乳、睡眠不足などで貧血が悪化することもあるので、妊娠中から意識して鉄分をとれるようにできるとよいですね。

 

 

 

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