【医師監修】妊娠カレンダー|妊娠週数・月数の数え方、わかりやすい計算方法
正常な妊娠であることがあきらかになると、医師から現在の妊娠週数と出産予定日が告げられます。妊娠初期に予定日や週数を正確に決めておくことは、その後の赤ちゃんの成長が正常かどうか、生まれてもいい時期とはいつからいつまでか、などを判断する上で大切なことです。カレンダーに出産予定日をマークしておくと、妊娠の経過がひと目でわかります。ここでは、出産予定日の決め方と、妊娠週数の数え方や計算方法、時期ごとのお母さんと赤ちゃんの体の変化などについてお話ししたいと思います。
妊娠週数カレンダー早見表
時期 | 月数 | 週数 | 出産時期 | |||
初期 | 2ヵ月 | 妊娠4週 | 妊娠5週 | 妊娠6週 | 妊娠7週 | 流産 |
3ヵ月 | 妊娠8週 | 妊娠9週 | 妊娠10週 | 妊娠11週 | ||
4ヵ月 | 妊娠12週 | 妊娠13週 | 妊娠14週 | 妊娠15週 | ||
5ヵ月 | 妊娠16週 | 妊娠17週 | 妊娠18週 | 妊娠19週 | ||
中期 | 6ヵ月 | 妊娠20週 | 妊娠21週 | |||
妊娠22週 | 妊娠23週 | 早産 | ||||
7ヵ月 | 妊娠24週 | 妊娠25週 | 妊娠26週 | 妊娠27週 | ||
後期 | 8ヵ月 | 妊娠28週 | 妊娠29週 | 妊娠30週 | 妊娠31週 | |
9ヵ月 | 妊娠32週 | 妊娠33週 | 妊娠34週 | 妊娠35週 | ||
10ヵ月 | 妊娠36週 | 妊娠37週 | 妊娠38週 | 妊娠39週 | 正期産 | |
11ヵ月 | 妊娠40週 | 妊娠41週 | ||||
妊娠42週〜 | 過期産 |
※42週以降の出産は過期産と呼びます。
出産予定日の決め方
出産予定日の決め方は下記のようになります。
■最終月経から出産予定日を決める場合
最後の生理が始まった日の日付をもとに、この日から数えて280日(40週)目を出産予定日とします。これは、生理の周期が平均的な28日周期の場合、このころに生まれることが多いというデータに基づいています。
こちらを計算する簡単な方法をご紹介します。
最終月経の月に9を加え(9を加えて13以上になる場合には、最終月経月から3を引く)、最終月経初日に7をくわえることで、分娩予定日が計算できます。
例)
4月12日が最終月経だった場合
まずは出産予定月をもとめます。4月なので、
4+9=13
13以上になったので、4-3=1→1月が「出産予定月」となります。
次に出産予定日をもとめます。最終月経初日が12日なので、
12+7=19→19日が「出産予定日」となります。
つまり出産予定日は「1月19日」になります。
なお、生理日を正確に覚えていない場合や、周期が28日前後ではない場合には、正確ではありません。カレンダーに生理日が始まった日をメモしておくと良いでしょう。
■排卵日から出産予定日を決める場合
妊活で排卵日を特定している場合や、基礎体温を付けていて排卵日を予測している場合は、予測した排卵日から266日(38週間)後を出産予定日とする方法があります。予測した排卵日もカレンダーに記録しておきましょう。排卵日もカレンダーに記録しておきましょう。
■胎児の大きさ(頭臀長)で出産予定日を決める場合
生理の周期が不順で排卵日も不確実な場合、妊娠3カ月(8~11週)に超音波で胎児の頭臀長(頭の先から臀部までの長さ)を測定し、その頭臀長が◯週○日相当であるというデータに基づいて、出産予定日を決めることになります。受診して出産予定日がわかったら、カレンダーに出産予定日を記録しておきましょう。
最終月経の日付で数える場合や排卵予測日から出産予定日を決めた場合でも、超音波で胎児を測定する方法で再確認をして、出産予定日が変更になる場合もあります。
妊娠週数・月数の数え方、計算方法
■最終月経から出産予定日を決める場合
最後の生理が始まった日からの日数がa週間+b日であれば、そのまま「妊娠a週b日」ということになります。
■排卵日から出産予定日を決める場合
排卵日を妊娠2週0日として計算します。
■胎児の大きさ(頭臀長)で出産予定日を決める場合
決めた日の胎児の大きさから週数(妊娠◯週◯日)が決まります。
妊娠の経過は週数で表すのが基本ですが、妊娠〇カ月と表す場合は、40週を4週(28日)ごとに10カ月に分けて考えます。妊娠4週0日から4週間が妊娠2カ月、妊娠8週0日から4週間が妊娠3カ月ということになります。カレンダー上の1カ月とは異なりますので、月数が知りたいときは、週数から計算しましょう。
また、妊娠の経過を「初期」「中期」「後期(末期)」の3つの時期に分ける場合は、妊娠2~4カ月(~妊娠15週)が「初期」、妊娠5~7カ月(妊娠16~27週)が「中期」、妊娠8~(妊娠28週~)が「後期(末期)」ということになります。どの時期かを知りたいときは、カレンダーで確認しましょう。
ちなみに、妊娠の期間を「十月十日」(とつきとうか)と表現することがありますが、これは280日という期間を30日 × 9カ月 + 10日、つまり10カ月目の10日目が出産予定日というふうに表現したものと思われます。
妊娠経過に伴うお母さん・赤ちゃんの変化
妊娠初期(妊娠0~15週)
妊娠5週ごろから赤ちゃんの入った胎嚢(たいのう)という袋がエコーで確認できるようになります。妊娠6~7週ごろから早ければ赤ちゃんの心拍が確認できるように。妊娠7週になると赤ちゃんは1cmぐらいの大きさになり、心臓が動き出すので心拍が確認できるでしょう。
また、このころからつわりの症状が出始める人もいます。つわりのピークは妊娠8週ごろで、妊娠12・13週ごろに消失することが多いです。
カレンダーにつわりがあった日にマークしておくと、いつごろからつわりが始まって、いつごろ終わるのか目安がわかりやすくなります。ただし、つわりには程度にも時期にも個人差があるので、あくまでも目安と考えましょう。
妊娠15週ごろには胎盤が完成し、流産の危険性が低くなります。また、ママの体もホルモンバランスが安定するため、つわりも落ちついてきます。
つわりに悩まされた妊娠初期と比較して安定期は過ごしやすく、妊娠期を楽しむ余裕も出てきますが、医学的には安定期と言うものはありません。無理をせず、体調に合わせた生活を送りましょう。
妊娠中期(妊娠16~27週)
おなかの膨らみが目立つようになります。体調も比較的よくなって、より活動的になれる方が多くなり、この時期は安定期と呼ばれたりします。つわりに悩まされた妊娠初期と比較して過ごしやすく、妊娠期を楽しむ余裕も出てきますが、医学的には安定期というものはありません。無理をせず体調に合わせた生活を送ることが大切です。
妊娠18週ごろになると、敏感な人は胎動を感じられることもあります。妊娠19週ごろから少しずつ胎動を感じるようになり、妊娠20週ごろはほとんどの人が感じられます。カレンダーに初めて胎動を感じた日を、記念日として記録しておくのもよいですね。
妊娠22週に入ると、大きな節目を迎えます。妊娠22週未満での出産は流産と呼ばれ、赤ちゃんの生存はほぼ不可能です。妊娠22週0日~妊娠36週6日での出産は早産と呼ばれます。妊娠22週ごろに生まれた場合、赤ちゃんは500g前後と非常に小さく、さまざまなリスクが生じる可能性がありますが、現在の医療水準では赤ちゃんの生存の可能性が高くなります。在胎週数が浅ければ浅いほど呼吸・体温調節・消化機能などさまざまな機能が未発達なので、NICU(新生児集中治療室)での管理が必要となります。
妊娠27週ごろには赤ちゃんの体重は1,000g前後となります。おなかもだいぶ目立つようになり、子宮底長(恥骨の上から子宮の一番上までの長さ)は22~26cmぐらいになります。
妊娠後期(末期) (妊娠28週~)
赤ちゃんがどんどん大きくなり、お母さんの体重も急増しやすい時期です。おなかも大きくなるため、あお向けに寝ることが難しくなります。子宮の後ろにある大きな血管が圧迫され、血圧が低くなったり、脈が速くなったりして、気分が悪くなりやすくなるからです。また、妊娠35、6週ごろには子宮底長が最大になるため、胃もたれや動悸、息切れなどの症状も出やすくなります。寝る前など遅い時間の食事はやめましょう。
赤ちゃんの体重は、妊娠30週ごろには1,500g、妊娠33週ごろには2,000g程度になります。妊娠35週ごろに赤ちゃんの肺の機能が完成に近づくため、それ以後はもし早産になった場合でも人工呼吸器が必要ない可能性が高くなります。
そして、妊娠37週0日からが正期産、つまり、赤ちゃんの身体機能や臓器が十分に成長し、いつ生まれてもよい時期となります。出産予定日が近づくと、子宮底が下がり始めるので、胃もたれなどの症状から解放され、食欲が増す方が多いですが、体重の増え過ぎには注意しましょう。
妊娠40週0日。出産予定日となります。しかし、出産予定日はあくまでも「予定」であり、その日に赤ちゃんが生まれるというわけではありません。出産予定日ぴったりに生まれる確率は5%前後と言われています。分娩予定日を過ぎても焦る必要はありません。きちんと妊婦健診を受けて赤ちゃんの健康を確認し、パパやご家族と共に赤ちゃんと会える日を待つようにしましょう。
正期産は41週6日までで、出産予定日を2週間以上過ぎると、「過期産」(時期を過ぎたお産)と呼ばれるようになります。過期産になると、羊水が減ってきたり胎盤の機能が落ちたりすることで胎児に影響が出るおそれがあるため、妊娠41週に入ると人工的に子宮口を開かせる処置や陣痛促進剤を使用して、出産を促します。帝王切開になる場合もありますので、カレンダーで正期産の期間をチェックしておきましょう。
妊娠中に積極的に摂りたい妊婦さんに必要な栄養素
妊娠中に特に摂取しておきたい栄養は、葉酸と鉄、カルシウムになります。
葉酸
葉酸は、ビタミンB群の1つで、葉酸の十分な摂取によって赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防効果があることがわかっています。神経管閉鎖障害とは、二分脊椎や無脳症など、赤ちゃんの命や成長・発達に大きな影響を及ぼす病気です。摂取時期としては、妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までの間に、1日0.4mg(400μg)の葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害の約70%の予防効果があるとされています。葉酸は、ほうれん草、枝豆、ブロッコリーをはじめとする緑黄色野菜やうなぎ、ホタテなどに多く含まれています。
鉄
赤ちゃんの成長に伴う鉄貯蔵、臍帯や胎盤中への鉄貯蔵、血液量の増加に伴う鉄需要の増加など、妊娠中は鉄が多く消費されます。鉄分が足りないと鉄欠乏性貧血となり、動悸、息切れ、めまい等の症状がみられることがあります。また、おなかの赤ちゃんが低出生体重児になるなど、影響を与えることも。
鉄はレバーや魚、貝、大豆、緑黄色野菜、海藻などに多く含まれています。ただしレバーは、生で食べると重い食中毒が発生する危険があるため、生食用として販売・提供することが法律で禁止されています。妊娠中は免疫が低下し、感染症にかかりやすくなっており、感染した場合は母児共に悪影響を及ぼす恐れがあるため、しっかり火を通して食べるようにしましょう。また、またレバーのとり過ぎはビタミンAの過剰摂取にも繋がります。いずれの場合も、母児赤ちゃんに悪影響異常が出る可能性もあるので注意が必要です。
カルシウム
カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯をつくるのに必要な栄養素です。赤ちゃんに送られるカルシウムの量が足りなくなるとお母さんの骨から足りない分のカルシウムが吸収されるため、お母さんの骨がもろくなってしまう可能性があります。そして、将来骨粗しょう症になる可能性があるため、必要量を摂取するようにしましょう。
妊娠中のカルシウムの摂取推奨量は1日650mgで、妊娠前と同じ推奨量となっています。しかし、妊娠前の女性のカルシウム摂取量はだいぶ不足しているというデータがあるため、妊娠中はより意識してカルシウムをとるようにしましょう。
大事なことは、いろいろな栄養素をバランス良く摂取することですが、上記の栄養素が確実に摂取できるような妊婦さんのためのサプリメントも発売されているので、医師や薬剤師の指導のもと、必要に応じて利用しましょう。
妊娠週数カレンダー早見表
時期 | 月数 | 週数 | 出産時期 | |||
初期 | 2ヵ月 | 妊娠4週 | 妊娠5週 | 妊娠6週 | 妊娠7週 | 流産 |
3ヵ月 | 妊娠8週 | 妊娠9週 | 妊娠10週 | 妊娠11週 | ||
4ヵ月 | 妊娠12週 | 妊娠13週 | 妊娠14週 | 妊娠15週 | ||
5ヵ月 | 妊娠16週 | 妊娠17週 | 妊娠18週 | 妊娠19週 | ||
中期 | 6ヵ月 | 妊娠20週 | 妊娠21週 | |||
妊娠22週 | 妊娠23週 | 早産 | ||||
7ヵ月 | 妊娠24週 | 妊娠25週 | 妊娠26週 | 妊娠27週 | ||
後期 | 8ヵ月 | 妊娠28週 | 妊娠29週 | 妊娠30週 | 妊娠31週 | |
9ヵ月 | 妊娠32週 | 妊娠33週 | 妊娠34週 | 妊娠35週 | ||
10ヵ月 | 妊娠36週 | 妊娠37週 | 妊娠38週 | 妊娠39週 | 正期産 | |
11ヵ月 | 妊娠40週 | 妊娠41週 | ||||
妊娠42週〜 | 過期産 |
※42週以降の出産は過期産と呼びます。
まとめ
妊娠中は、赤ちゃんが妊娠週数に応じた成長・発達をしているか、またお母さんの体に異常が起きていないかなどを定期的にチェックする必要がありますので、医師の指示通りに妊婦健診を受けるようにしましょう。カレンダーに妊婦健診の日程を書き込んでおくことも大切です。また、何かおかしいと感じることがあれば、かかりつけ医に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。