【医師監修】赤ちゃんの性別はいつわかる?
おなかの中にいる赤ちゃんの性別、どちらなのかドキドキ・ワクワク、心待ちにしている方も多いと思います。おなかの中にいる赤ちゃんの性別はいつ決まるのでしょう? そして、それは教えてもらえるのでしょうか? 今回は、赤ちゃんの性別についてお話しします。
赤ちゃんの性別はいつ決まる?
人間の細胞の中には、遺伝子の情報をもつ染色体46本があります。このうち、性別の決定に関係する2本の染色体のことを性染色体と呼びます。性染色体にはXとYの2種類があり、男性はXとYを各1本、女性はXを2本もっています。
卵子とXをもつ精子が受精すると染色体はXXなので女の子、卵子とYをもつ精子が受精すると染色体はXYなので男の子というように、両親からの染色体を引き継ぐ受精のときに性別が決定します。
赤ちゃんの性別はいつわかる?
受精後、細胞分裂を繰り返し、妊娠5~6週ごろまで男女共通のかたちをしていた生殖器官が、卵巣あるいは精巣にかたちを変えていきます。妊娠7~12週ごろには、泌尿器と直腸や肛門のかたちが作られます。妊娠16週を過ぎたころから、外性器の見た目で性別を判断できるようになります。
妊娠中期(妊娠16~27週)の妊婦健診の際に、超音波検査(エコー検査)によって性別がわかることがあります。これは外性器のかたちの見た目で判断します。でも、検査中に、子宮の中をよく動き回る子もいれば、足を閉じている子もいるため、はっきりと外性器が見えないと医師も判断できません。また、太ももの間にへその緒や指が挟まっていて男の子と見間違えたり、逆に外性器が太ももに隠れていて女の子と見間違えたりすることもあります。
通常、妊婦健診では、子宮の中を平面的に白と黒の静止画で映す2Dエコーを使います。最近は、3Dエコーや4Dエコーによって、おなかの中の赤ちゃんを立体的に映し出すことが可能になりましたが、赤ちゃんの動きや角度、羊水の量によって鮮明に映らないこともあるため、2Dエコーと同様に性別の判断はできません。
先生に性別を聞いてもいい? 性別は教えてくれるの?
そもそも、妊娠中の超音波検査の目的は、赤ちゃんの生存を確認して、順調に成長しているか評価するためです。その際に妊娠中に赤ちゃんの病気が見つかった場合は、告知をし、早い時期から専門的な治療を受けることができ、赤ちゃんが生まれたあとの治療にスムーズに繋げることができます。
日本産婦人科学会では、赤ちゃんの性別は安易に伝えてはいけないこと、もし伝える場合は両親に対して慎重な対応が必要であるという考えを示しています。(※)そのため、医師から赤ちゃんの性別を伝えることはまずありません。施設によっては「赤ちゃんの性別はお教えできません」とあらかじめ張り紙等で告知しているところもあるようです。
なぜ出生前に性別を知ることは目的とされていなのでしょうか? 妊婦さんからのニーズもあるし、教えてくれても良さそうなのに、と感じている方もいるかもしれませんね。でも、出生前に性別や病気、障害などを知ることで、望まない性別や病気、障害を理由に人工妊娠中絶へつながる可能性があるからなのです。
それでも赤ちゃんの性別を知りたいという方は、間違っている可能性があることを前提に妊婦さんに伝えてくれる医師もいます。それらのことをしっかり理解し、通院している施設の方針で教えてもらえないこともあることを理解した上であれば、先生に性別を聞いてみてもいいかもしれません。
赤ちゃんの性別の迷信や風習について
日本国内や世界各国に、おなかのかたちや顔つき、食べ物の好みの変化によって、赤ちゃんの性別の予想を言い当てる迷信や風習がありますが、それらに科学的根拠はありません。生まれてくる赤ちゃんについて、家族や周囲の人と話すことはとても楽しいことですが、もし性別の予想について言い当てられても、あくまでも迷信ですので、振り回されないようにしましょう。
まとめ
産婦人科医は、親と赤ちゃんのそれぞれの立場を守るために、性別を伝えない方針のもとに診療をしています。気になる人は昔からの言い伝えなどを参考にして、家族で予測をして楽しんだりするのも一案ですね。もし、どちらの性別の可能性が高いのか、教えてくれる施設があっても、違う場合があることを踏まえ、あくまでもお楽しみと程度に捉えるようにしてくださいね。
参考:
※日本産婦人科学会 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解
<http://www.jsog.or.jp/news/pdf/shussyouzenkenkaikaitei_20110206.pdf>
◆性別に関するQ&A