子宮の外側に筋腫がたくさんあります。帝王切開の可能性は?
妊娠14週の初産婦で37歳です。妊娠前に最大6cmほどの子宮筋腫が子宮の外側に10個ほどありました。現在おなかを触ると、いくつも堅い物に触れます。おなかは、既に妊娠6カ月と間違われるほどの大きさです。我慢できないほどではありませんが、たまに下腹部が痛みます。出血はありません。胎児の成長は平均的なようです。10個ほどの筋腫が今後さらに大きくなると、出産にどのような影響がありますか? 妊娠中の経過は順調でも、出産時には帝王切開になりますか? 可能であれば、将来的にはもう1人産みたいと考えています。
子宮筋腫があると、妊娠中には切迫流・早産が生じやすく、早産率は2倍になると言われています。出産は帝王切開になる確率が高く、子宮筋腫合併のない人と比べると約3.6倍という報告があります。また、帝王切開になるかどうかは、筋腫の数や大きさ、位置などにもよります。ほとんどの分娩はスムーズに進みますが、20%くらいの方に問題が生じるようです。前期破水、胎位の異常、胎児発育不全、前置胎盤、常位胎盤早期剥離のリスクが高くなり、子宮筋腫に圧迫されて腸管麻痺、水腎症、頻尿、腰痛が生じたり、筋腫に炎症が生じると激痛が走ったりすることもあります。また、血栓、塞栓症にも注意が必要です。分娩時には微弱陣痛、弛緩出血が発症しやすく、産褥期には子宮復古不全で悪露が滞留しやすくなったり、子宮感染が生じやすくなったりします。
子宮筋腫の部位、大きさ、個数、成長速度にもよりますが、一般に筋腫が5~6cmを超えた場合、妊娠中や分娩に障害が予想される場合には、妊娠前に筋腫核出術をおこないます。したがって、今回の妊娠で妊娠継続が困難だったり、分娩後、産褥期に子宮筋腫による合併症、特に母児の生命にかかわるような合併症が発生したりする場合には、次回、妊娠前に筋腫核出術を考慮したほうがよいと思われます。