当時暮らしていた京町家で、生後1カ月の長男にぃくんが突然連れ去られてしまったことを思い出した星田さん。一体なぜそんな事件が起こってしまったのか!?
引っ越し後の生活は……
話は星田さん夫婦がこの町で暮らし出したころにさかのぼります。
星田さん夫婦は、結婚を機に、憧れだった京町家での暮らしをスタート。
両隣に住んでいたのは、気さくに声をかけてくれる福島さんと距離を置かれているように感じる花町の芸妓の新田さん。
日中は仕事でほぼ家を空けて過ごしていたため、両隣の住人以外をほとんど知らないほどに、この町に馴染む努力をしていませんでした。
夫婦2人の生活ではそれでも良かったものの、長男を出産し、里帰りから戻った後からそのことがジワジワと確実に星田さんのストレスのタネになっていくのです。
隙間なく建つ町家では、生活音が聞こえやすく「裏のおじさん、またラジオうるさいな……」「隣の新田さんが帰ってきたから物音に気を付けないと」と何かと気を遣う日々。
外に出たいと思っても「こんなスッピンのボロボロの格好でもし同僚に会ったりしたら恥……」とためらってしまい、家の中にいるのに安らげる場所がありませんでした。