こんにちは、保育士の中田馨です。赤ちゃんとの生活が始まったママたちからよく聞く悩みの1つに「赤ちゃんを布団におくと寝てくれない」ということがあります。そんな赤ちゃんの様子をよく「背中スイッチがある」なんて表現をすることも。
本来ならゆっくり休んでほしい産後のママが、赤ちゃんを1日中抱っこしていては、ゆっくり休むこともできません。今回は、生後43日目からの赤ちゃんを受け入れている私の保育所で実践している、新生児の赤ちゃんを泣かせずにラクに布団に寝かせる方法をご紹介します。
新生児の赤ちゃんの「泣く」は自己表現
まず、新生児の赤ちゃんが泣くのは、自分の要求を訴えるための自己表現です。布団に寝かせたとたんに泣くのは、ママと離れたことによる不安などを表現しているのでしょう。
でも、おっぱいも飲んで、おむつも替えて、考えられることをすべてしたのに、まだ泣き続けている赤ちゃんを見ていると、わけがわからずママも泣きそうになります。これからずっとこんなに泣くのかしらと思ってしまいますが、成長するごとに泣くことは落ち着いてきます。
育児全般で言えるのは、「今は、こういう時期なんだ」と思うことです。新生児の赤ちゃんがなぜ泣いているのかがわからないのは初めてのことだから。これから、何度も赤ちゃんの泣いているシーンに出合い、「あれかな?」「これかも!」と試行錯誤しているうちに、赤ちゃんの気持ちがわかるようになりますし、赤ちゃんもママがすることに安心してくれるようになります。そうすることで、徐々に赤ちゃんが泣くことへのつらさが軽くなってきます。
新生児の赤ちゃんの安心する体勢とは
まず、新生児の赤ちゃんの安心する体勢を知りましょう。新生児の赤ちゃんの背中を丸く「C」の形にします。腕は「W」、脚は「M」です。つまり、母体にいるときのような体勢にすることで赤ちゃんは安心します。
背中を伸ばした抱き方をしたり、腕や足を屈曲せずに伸びた状態にしたりすると、赤ちゃんはビックリしてしまいます。布団におろすときは、抱っこで丸くなっている背中がまっすぐ伸びますね。そうすると赤ちゃんはビックリします。ビックリすると、手足もビクッと伸びてしまいます。そして起きてしまうのです。なので、布団におろすときは赤ちゃんの安心する体勢のままおろしてあげましょう。
基本の布団へのおろし方
まずは、赤ちゃんを布団におろすときの基本です。
【1】 赤ちゃんを横抱きし、布団の前でママは膝を床について腰を落とします
【2】 赤ちゃんの首とおしりを支えながら、ママの体ごと布団に寄せていきます
【3】 おしりをおろし、頭をおろし、腕をそっと引き抜きます。
これで寝たままならOK。でも、背中スイッチのある赤ちゃんはおしりを下した時点で「あ、おろされている!」とわかります。だから、寝かしつける前に周りの環境を整えましょう。
ラクに布団に寝かせる方法
次に、ラクに布団に寝かせる方法です。
●敷布団の上にドーナツ型の座布団やバスタオルをドーナツ型にして置く
赤ちゃんの背中が「C」のまま寝られるようにする工夫です。ドーナツ型の座布団を使う場合は、座布団の上にバスタオルなどをかけます。
●赤ちゃんの体をおくるみに包む
腕を「W」、脚を「M」の状態でおくるみに包んでみましょう。この準備ができてから抱き上げます。そして、寝たら布団におろします。
寒い季節でしたら、厚めの毛布をおくるみにして、布団におろすときに頭と脚に少し厚みを増やして寝かせることで、座布団がなくてもそのまま寝てくれます。
スキンシップで安心させる方法も
普段からのスキンシップの中で、全身を触ることも赤ちゃんの不安感を取り除くことにつながります。やさしくさすったり、軽く手を置いてじわーっと触れたりするだけでOK。スキンシップしているときの赤ちゃんの表情を見てください。「あぁ~、そこ気持ちいいいい~」と幸せそうな表情や、「ちょっと! そこはやめてよ!」と難しい顔をすることがあります。スキンシップをすることで、赤ちゃんの好きな場所と苦手な場所がわかります。寝かしつけするときは好きな場所をさすったり、軽く手を置いたりしてあげると、赤ちゃんは安心します。
また、これまで保育所で見てきた多くの赤ちゃんが安心するのが「手」です。寝かしつけするときに、赤ちゃんの手のひらにひとさし指を入れやさしく包みます。赤ちゃんを布団におろすまで手を離さず、最後に手を離します。もし、途中で起きたときも、手を包んでやさしくトントンすると安心して寝入っていく赤ちゃんが多いです。
赤ちゃんを泣かせずにラクに布団に寝かせるには、赤ちゃんが安心する体勢と、赤ちゃんが気持ちいいと思う体の場所を知ることが大事。保育士が実践している方法を、ぜひ活用してみてくださいね!