初孫妊娠に盛り上がる義両親
義両親にとって待望の初孫である第1子の妊娠がわかったときから、その熱量は微笑ましいを通り越し、すさまじいものでした。私がベビー用品を買いに行こうとすると執拗に同行したがり、外出のたびにベビー服を大量に購入してきたりするのです。
私は「少々重いな」とは感じていたものの、子どもの誕生を楽しみにしてくれていること自体は大変ありがたいと思っていました。しかし義両親のこの激しい熱量が、思わぬトラブルを引き起こしてしまったのです。
「名前は考えているのか」という義父に
妊娠後期に入り子どもの性別が判明するや否や、義両親の関心はもっぱら「名づけ」に。顔を合わせるたび「名前は決まったか」、「考えているのか」と聞かれるようになりました。名づけは私たち夫婦で話し合って決めるつもりだったので、何度聞かれても私は「考え中でーす」と流していました。
ところがある日、あまりに何度も義両親、特に義父が「名前は」と聞いてくることに耐え兼ねた夫が「父さんが良い名前考えておいてよ」と笑いながら言い放ったのです。夫は軽い冗談のつもりでした。
今さら言えない「冗談だったのに」
義父は冗談の通じない生真面目なタイプ。「名前考えてほしい」イコール「名づけ親になってほしい」と思い込まれるのでは? と私は心配になり、夫へすぐ相談しました。しかし夫は「いくら親父でもそこまで勘違いしないよ」と笑うばかり。結局私の予感は的中。
1週間後には義父から大量の名前候補一覧が送られてきたのです。しかも近所の人や親戚中に「初孫の名づけ親になった」と言い回り、評判の占い師にみてもらったりお寺に相談したりと、周囲を巻き込んだ大騒ぎに。今さら「名づけは私たち夫婦がする」とは言いづらい状況で、さすがの夫も焦ったのは言うまでもありません。
最終的に子どもの名前は私たち夫婦で考え、決めました。自分が候補に出した名前ではなかったことに義父はショックを受け、しばらくは機嫌が悪かったとあとから義母に聞き私は胸が痛みました。
義両親の初孫に対する思いの強さ、そしてそれを軽くみてしまった私たち夫婦の甘さが引き起こしたこの騒動を経て、コミュニケーションの大切さを思い知りました。ちなみに現在、義父は孫をかわいがってくれるやさしいじいじです。
著者:川木みさ/女性・自営業。7歳差の1男1女を子育て中。英検1級、児童英語指導者TEYL取得。海外サイトの翻訳や子育て体験談の執筆活動中。
作画:ライコミ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています