東日本大震災が起きたときのこと。当時の私は、埼玉県にある小さなアパートにまだ生後6カ月の息子と夫の3人で住んでおり、専業主婦として慣れない育児に没頭する毎日でした。
夫の仕事は24時間営業の飲食店のマネージャー。普段から仕事が忙しく、休みも出勤時間も不定期なので、私はほぼ毎日ワンオペ状態でした。大地震が起きた日も、夫は仕事に行っており、私と息子は2人で家にいたのです。
大地震発生! 慌てて外に出てみると
東日本大震災が起きた瞬間、私は息子をおんぶしながら、夜ごはんの支度をしているところでした。いつもとは様子が違う、大きな地震が起きて怖くなった私は、息子をおぶったまま外に出ることに。すると隣に住むママも、子どもを連れて外に出ていたのでした。このママは2カ月前に引っ越してきたばかり。
子ども同士の月齢は近かったものの、初めて会ったときに連絡先の交換をしたぐらいで、まだそこまで親しい仲ではありませんでした。「とっても怖かったね」などと話しながら、私たちは地震がおさまるまで外で様子を見ることにしました。
お互い夫と連絡がつかず、不安が増していくばかり。30分ほど経って地震がようやく落ち着いてきたかな? と判断した私たちは、ひとまず家に戻ることにしました。
夫は帰宅難民に。途方に暮れる私
家に戻ってテレビをつけてみると、世間ですさまじく大変なことが起きているというのがわかりました。それからしばらく経って、やっと夫と電話がつながり話すことができたのです。しかし都内にいた夫は帰宅難民になってしまい、いつ帰れるかわからないとのこと。
とりあえず夫の無事は確認できて安心したものの、東北には私の友だちや親戚がおり、とにかく不安で仕方ありませんでした。さらに地震のせいで本棚の中の本が床に落ちていたり、食器棚から食器が落ちて割れてしまっていたりと、部屋はぐちゃぐちゃ。私は散らかった部屋の中で、ただただ呆然とすることしかできませんでした。
ママ友からのメール
そんなとき、隣に住むママ友からメールが。「今、夫が帰ってきたんだけど、よかったらうちに来ない? 子どもと2人きりじゃきっと心細いよね」という内容でした。まさしくその通りだった私。このママ友からのメールに、私は心が救われたような気持ちになりました。お言葉に甘えてママ友の家へ。
ママ友の旦那さんも、快く受け入れてくれました。夕飯時だったため1時間ほどで帰ったのですが、少しの間だけでも誰かと話ができるというだけで、こんなにも安心できるのだなと実感した出来事でした。それから私たちはすっかり仲良くなり、子どもを連れて公園で遊んだり、近所の子育て支援センターに行ったりと一緒に出かけることが多くなりました。
そのあと、私は何度か引っ越しを重ねてきましたが、そのたびに近所のママたちとの付き合いを大事にするようにしていきました。災害が起きて自分自身も大変な状況にあるとき、周りに声をかけるのはとても勇気のいることだと思います。ですが私もこのママ友を見習って、災害時には積極的に周りに声をかけ、隣近所で助け合っていけたらいいなと思っています。
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監修/助産師 松田玲子
著者:ほりたえりな
男女4人の母。ステップファミリー。元コンビニ店員だが、第4子出産を機に退職し、現在はフリーライターとして活動中。自身の子育て体験談や商品レビューなどを執筆中。