なかでも90代の祖父母からは、子どもたちが大切なことを教わっていると感じています。ただ、同時に困ったことがしばしば起こるのです……。
ベビーカレンダーは、多様化している家族のあり方=“新しい家族のカタチ”について発信する取り組みを開始しました。当事者のリアルな声をご紹介していきます。多様な幸せを実現できる社会、そして、もっと「家族を持ちたい」「赤ちゃんを産みたい」と思う人が増える世の中づくりの一助となりますように。
息子が祖父を転倒させた!?
5歳の長男は、90代の祖父のそばで過ごすのが大好きです。あるとき、祖父が、長男に勢いよく抱きつかれて転倒しかけました。幸いすぐそばに壁があり、背中を支えられました。
しかし、祖父が「ぐわっ」と出した大きな声に、慌ててかけよる義母と私を見て、何か悪いことをしたと感じた5歳の長男は大泣き。泣きじゃくるのが落ち着いてから、ゆっくりと話をしました。年をとると体が弱くなること、急に抱きついたら倒れてしまうこと、これらを話すと、息子は子どもなりに理解をしたようです。それ以来、大好きな祖父が椅子から立ち上がるときは、息子が目で追うようになりました。それを見るたびに私の心が温かくなります。
園より「何かお心当たりはありますか?」
90代の祖母は、認知症が進行しています。手洗い後に水を出しっぱなしでも、「あら、忘れちゃった」と朗らかで、毎回義母が気を付けています。
ある日、息子が通う幼稚園の連絡帳に「手洗いの後、水を出しっぱなしにすることがよくあります。何かおうちでお心当たりはありますか?」と書かれていました。息子に注意をしなくてはと話を聞くと、悪びれるのではなく、「ボクだって忘れる!」と主張。よくよく聞いてみると、祖母が出しっぱなしにするのはよくて、自分がやると注意をされることに、理不尽さを感じてムキになってしまったようです。祖母もやっているから、自分もいいだろうと思っていたところがあるのかもしれません。そこで今度は、認知症という病気について話をしました。こちらについても、子どもなりに理解をしてくれたようで、解決しました。
年の差85の大親友
二世帯住宅として、空間が区切られていても、子どもにとっては関係がありません。特に祖父母とは、気持ちが近い大親友。年の差は85ですが、話しかける声のトーンは幼稚園のお友だちにかける声と同じです。
椅子に座っているか、ベッドで横になっている時間が多い祖父母は、子どもたちがそばに寄ると、ゆっくり手を伸ばして頭をなでてくれます。子どもたちは、そのままなでられながら寝てしまうことも。どんな時も祖父母のそばには、子どもたちの居場所があることは、私にとっても大きな安心です。
年齢の違い、病気のこと、そして、人は一人ひとりが違うということを、子どもたちは家庭内で体験しています。いつかは、外の世界に飛び出していく子どもたち。私には教えられない心のありかたを、その存在を通して子どもたちに教えてくれる祖父母と、その深い愛情に、感謝しています。
著者:松あき
5歳と3歳のわんぱく兄弟のママ兼嫁っこライター。4世代同居で3歳から90歳までの8人家族。大人数ゆえに起こるさまざまなリアル体験を執筆中。