仕送りの件は、表向き“私には内密”ということになっています。夫が仕送りの件を持ちかけた際、義母が「嫁には迷惑をかけられない」と頑なに拒んだそうで、2人で話し合った末「妻には内緒で息子がこっそり援助している」ということになったそう。
しかし、予定していた3カ月が過ぎても義母の病気は回復しないようで、仕送りを続けることになりました。仕送りはもとより、長期的な治療が必要になるのであればきちんと私たちも病気について知り、専門家のアドバイスのもと、これからのお金のことをちゃんと計画しなければなりません。
夫に相談すると、義母は病名を私たちに伏せたいと言っているそう……。このまま義母の気持ちを尊重し、黙って援助を続けることにしました。
何だかおかしい…
納得の上仕送りをしているといっても、やはりお金のこと。私と夫が限界まで仕事を増やして捻出している今の状況は、長くは続かないでしょう。
私は改めて収支を確認し、どうにか家計から捻出できないかを考えることにしました。しかしここで思わぬ事実が判明! 銀行で通帳記入をしてみると、夫の副業分が振り込まれていないことに気がつきました。
夫に聞いてみると、夫の副業は今時珍しい給料手渡しだと言います。もらった現金は、そのまま義母の口座に振り込んでいるというのです。
しかし通帳を再度確認すると、毎月15万円ずつきっちりとおろしています。夫は、一体いくら義母に渡しているのでしょう。
通帳を見せて問いただすと、夫は急に怒り出し「母さんを助けたいって気持ちは理解してくれていいだろ!!」と強い口調で言いました。夫の気迫に押された私は、「しばらくはこのままでいいか……」と夫の行動を許してしまったのです。
夫のウソ
ある日、義母から電話がかかってきました。久しぶりに聞いた義母の声はとても元気そうで安心しました。
しばし雑談していると、最近は山登りにはまっていて少し難易度の高い山にも挑戦するなど、アクティブに過ごしているとのこと……。とても大きな病気をしているようには思えず、私は違和感を覚えました。
しかし、病気のことがバレないようにあえて元気に見せているだけなのかもしれないと思い、しばらく調子を合わせていました。
すると話題は年末の話に……。今年は家族で温泉に行って年越しをしようと提案してきた義母。費用は自分が出すと言います。
私たちの仕送りから出そうとしているのなら、とんでもない話です。そのお金は他の大事なことに使ってほしいとお願いすると、義母は「心配しないで。お父さんの残してくれたお金がまだあるの」と自信たっぷりでした。
そこまで言うのであれば、思い切って仕送りを止めたいと話してしまおうと思った私。義母は私には内緒のつもりでいるでしょうが、今を逃したら腹を割って話すチャンスはもうないかもしれません。私は、意を決して話を切り出しました。
「お義母さん、仕送りは今月で打ち切らせてください。月15万円はさすがに……」
すると義母はなんの話かわからない様子。話が噛み合わず、互いにパニックになりました。義母は本当に知らない様子で「そんなお金、受け取った覚えはない」と戸惑っていました。もちろん、病気もしていないと……。前回の健康診断の結果を見せることだってできると自信満々に言っていたので、嘘はついていないでしょう。
となると、疑いの目が向くのは夫です。私に隠れて何かをしているのに違いありません。調査会社に依頼し、夫の隠し事を暴くことにしました。
夫に当たったバチ
数週間後、調査の結果が出ました。夫はアイドルの推し活に夢中で、ライブのチケットやグッズはもちろん、ライブ配信では多額の投げ銭をしていたよう。到底夫のお小遣いだけでは足りない額でした。
そこで義母が病気だという作り話をでっち上げ、推し活資金を得ようとしたのです。それだけでなく、副業をしていると思っていた時間は、ライブ配信を見たり追っかけをしたり、すべて推し活に使われていました。私だけがパートを増やし、クタクタになりながら夫の推し活費用を稼いでいたのです。
私は怒りが収まりませんでした。さらには、ひそかに作ったクレジットカードの返済を滞らせていることも発覚。推し活の範囲を超えています。今後こそしっかり副業を見つけ、しっかりと返済してもらうことにしました。
夫を動揺させる出来事が起きたのは、この後。義母が健康診断で再検査の通知を受けました。義母の再検査の結果はまだわかりません。それでも夫は、自分のついた嘘が現実になって返ってきたように感じたのか、不安で落ち着かない日々を送っています。
私はそんな夫の姿を見ながら思いました。ついた嘘の重さは、結局自分の心にのしかかるもの……。結果が出るまでの不安も、その重さも、夫が自分で受け止めるしかないのです。
◇ ◇ ◇
嘘は必ず自分に返ってくるもの。ごまかし続けた分だけ、不安や罪悪感が重くのしかかり、いずれ本人が一番苦しむことになるのです。この体験談でも「バチが当たった」と怯えている姿こそ、その象徴でしょう。
一時は嘘でごまかせたとしても、いずれ痛い目を見るのは自分自身なのかもしれませんね。
【取材時期:2025年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。